若年層に有利な就業環境「ユースエール認定企業」の探し方

厚生労働省が主導する「ユースエール認定制度」は、就職や転職を希望する若い世代(35歳以下)の人達を積極的に採用しサポートする環境が整った企業を認定する制度です。

ここではユースエール認定企業の特徴と就職するメリットを中心に紹介しながら、ユースエール認定企業を探す方法やハローワークの活用方法などを詳しく紹介します。

ユースエール認定制度とは?

ユースエール認定制度とは、若者の採用・育成に積極的であり、若者に対する雇用管理の状況を正しく提示している優良な中小企業を厚生労働省が認定する制度のことです。

平成27年(2014年)10月1日から順次施行されている若者雇用促進法に基づき、常時雇用する従業員が300人以下の企業について認定を行っています。

ユースエール認定制度を受けるためには、12の要件からなる認定基準を満たさなければなりません。「時間外労働の法令遵守」「採用・育成に関する情報の公表」などは、要件のなかでも特に重要な項目となっています。

12の認定基準

  1. 学校求人など、若者対象の正社員の求人申込みまたは募集を行っていること
  2. 若者の採用や人材育成に積極的に取り組む企業であること
  3. 以下の要件をすべて満たしていること
    1. 「人材育成方針」と「教育訓練計画」を策定していること
    2. 直近3事業年度の新卒者などの正社員として就職した人の離職率が20%以下
    3. 前事業年度の正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下かつ、月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員が1人もいないこと
    4. 前事業年度の正社員の有給休暇の年間付与日数に対する取得率が平均70%以上又は年間取得日数が平均10日以上
    5. 直近3事業年度で、男性労働者の育児休業等取得者が1人以上又は女性労働者の育児休業等取得率が75%以上
  4. 以下の雇用情報項目について公表していること
    1. 直近3事業年度の新卒者などの採用者数・離職者数、男女別採用者数、平均継続勤務年数
    2. 研修内容、メンター制度の有無、自己啓発支援・キャリアコンサルティング制度・社内検定の制度の有無とその内容
    3. 前事業年度の月平均の所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得対象者数・取得者数(男女別)、役員・管理職の女性割合
  5. 過去に認定を取り消された場合、取り消しの日から起算して3年以上経過していること
  6. 過去に7~12までに掲げる基準を満たさなくなったため認定辞退を申し出て取り消した場合、取消しの日から3年以上経過していること
  7. 過去3年間に新規学卒者の採用内定取消しを行っていないこと
  8. 過去1年間に事業主都合による解雇または退職勧奨を行っていないこと
  9. 暴力団関係事業主でないこと
  10. 風俗営業等関係事業主でないこと
  11. 雇用関係助成金の不支給措置を受けていないこと
  12. 重大な労働関係法令違反を行っていないこと

若者雇用促進法に基づいて制定された制度

若者雇用促進法は、若い人たちの雇用の促進を図りつつ、能力を有効に発揮できる環境を整備するために整備された法律です。

この法律に企業や雇用主側が従うことで若い人が自由に適職を選択できるようになり、スキルアップや能力開発の促進、さらには企業の雇用状況の健全化が期待されています。

若者の離職率の高さや少子高齢化に伴い新設された

厚生労働省が行った調査では、2014年時点での若者の3年以内の離職率は31.8%、全体の3割にものぼっています。

2014年に限らず、他の年度についても同様の結果が得られていることから、若者の職場への定着率の低さ、アルバイトや派遣など非正規雇用での働き方を選ぶ人の多さも見て取れます。

正社員で働きたいと考えていても何らかの理由で非正規雇用を選ばざるを得ない「不本意非正規社員」の割合が以前にも増して伸びていることから、働き手にとって安心できる雇用環境を整備するために、若者雇用促進法が施行されたのです。

35歳以下の人が、入社後の研修制度が整い有休もしっかり取ることができるホワイト企業に就職したい場合、ユースエール認定企業はひとつの指標になり得ます。

若年者雇用に積極的な企業と出会える

ユースエール認定を受けるためには、若年層の雇用と育成に積極的であること、実際の雇用状況について記載した書類を提出し、厚生労働省に認可されなければなりません。

つまり、若い人にとっては一般企業に就職・転職するよりも、ユースエール認定を受けた企業を選ぶほうが優良な雇用環境にめぐりあえる可能性が高まります。

若者の雇用促進は企業の義務になっている

企業にとっては、即戦力となる中途採用者の雇用だけではなく、将来を担う若者の雇用促進も避けて通ることのできない課題となっています。

若者雇用促進法は企業のさまざまな雇用上の問題、トラブルを受けて成立・施行されたもので、新卒採用を行う企業に対して幅広い情報提供を努力義務としています。


若年者雇用対策とは|非正規雇用者(フリーター)の正社員支援制度

平成29年度以前は法律の内容にあいまいな部分も少なくなかったため、長く働くための指標となる労働時間・新規学卒者の離職率・有給休暇の取得について厳格化し、企業に対して今まで以上に努力を求める形となりました。

ユースエール認定企業のメリット

ユースエール認定の特徴を押さえたら、認定企業と認定されていない企業の間にどのような違いがあるのかを見ていきましょう。

若い人にとって、ユースエール認定企業に就職することでどのようなメリットがあるのかも踏まえていきたいと思います。

若者の雇用や育成支援が行われる

利益追求のために中途採用者や経験者を優遇する企業とは反対に、ユースエール認定企業は若者への雇用を積極的に行っています。

企業の動向にもよりますが、高卒を含む新卒者はもちろん、第二新卒やフリーターの方など、未経験者にも広く門を開いているのが特徴といえるでしょう。

もちろんただ雇用するだけではなく、研修や勉強会、先輩によるフォローアップ、そして現場での訓練を通じてスキルアップできる環境が整っているので、これからもっと経験を積んでいきたい若者に嬉しい職場です。

いわゆるブラック企業には、「明るい社風」「働きがいのある職場」など、ポジティブなPRばかりを行って社内の問題点を改善しようとしないケースが少なくありません。

その点においてユースエール認定企業は若い人たちが安心して就職し、仕事になじみながらスキルを伸ばしていけるよう、社内環境や教育体制を整えています。

これから就職や転職をする人にとって、企業が社内環境や労働条件に気を配り、研修や教育もしっかり行っているというのは心強いポイントではないでしょうか。


教育訓練給付金の制度内容と支給条件・申請方法について解説

非正規ではなく正社員として働ける

非正規雇用が一般的なものとなった今、アルバイトや派遣など非正規雇用として雇い入れたのちに勤務状況をみながら正社員にステップアップさせる企業は少なくありません。

しかし、ユースエール認定を受けている企業は最初から正社員として働けるように環境を整えており、若者の就業意欲を受けて正規雇用の道をつけています。

意欲も体力も充実している若いうちから非正規雇用で働くことは、将来への希望やチャンスを逃すリスクもあります。

正規雇用を確約している企業こそ、若い人にとって理想的な環境といえるのではないでしょうか。

ハローワークを通して気軽に認定企業が探せる

ユースエール認定企業は厚生労働省の「若者雇用促進総合サイト」内からチェック・応募することができます。

それ以外にも、日本全国に57ヶ所設置されている新卒応援ハローワークと、28ヶ所のわかものハローワークなどの拠点でもPRされています。(わかもの支援コーナー・窓口については全国206か所に設置)

公式サイト以外にも上記のハローワークを通じて企業が探せるので、気軽に優良企業に出会うことが可能となっています。

参考:ハローワークのキャリアコンサルティングとジョブカードとは?メリットと取得手順

長く働ける職場との出会いが期待できる

優良企業とは、労働環境がクリーンであり働き手にもやさしい「ホワイト企業」のことを指します。

勤務時間の超過や残業代の未払い、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどのトラブルを起こさない企業がユースエール企業に認定されているので、まだ一度も就職したことのない若い人にとっては不安やリスクが少なく、安心して就業することができます。

無事会社に入社できても、3年以内に離職をすると「第二新卒」となり、ある程度のスキルや経歴があるものとして転職市場に出ていくことになりますが、スキルが十分に見についていない場合は不安が残ります。

その点、ユースエール企業は勤務形態や労働条件に無理がなく、3年といわずに長く働き続けられる期待がもてるため、ぜひ積極的に検討したいところです。

35歳以下の就業者にとって有利な就業環境が整備されている

ユースエール認定制度は35歳以下の若年層にふさわしい企業を認定し、保障しているものです。

たとえば最低限労働に見合った給与が支払われること、体調や家庭の状況を考慮してくれること、その他の福利厚生などが挙げられます。

給与が十分に支払われることはもちろん、昇給や昇格ができるのか、スキルアップをサポートしてもらえるのか(資格取得のための費用補助など)、会社の雰囲気なども気になるポイントではないでしょうか。

ユースエール認定企業の多くは、若い人の求める条件を理解したうえで認定企業に登録されていますから、雇用環境を整えようとして常に努力・工夫しています。

そのような企業と出会えれば長く働ける職場になりますし、スキルアップやキャリアアップの可能性も見えてくることでしょう。

離職や退職のリスクが減る

一般の転職サイトを使って就職する場合、応募先の企業が優良であるか否かがわからないため、焦って入社すると「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性も。

入社から退職までの期間が短すぎるのは困りものですし、職場によっては簡単に辞められない場合もあるため離職リスクの少ない企業を見つけておくことが大切です。

ただし、ユースエール認定を受けているからといって何もかもが完璧というわけではなく、企業の業種や業態、職場環境により状況は異なります。

ユースエール認定制度はすべてをカバーしているわけではありませんが、その点を踏まえつつ若者雇用促進総合サイトやわかものハローワークなどでお仕事を探していけば、条件の良い企業に出会える可能性は高くなるはずです。

民間の転職サービスを使わずに優良企業に出会える

「doda」「マイナビ」など、民間の転職サービスを使ってお仕事を探す方法もあります。

こちらは企業ごとに抱えている案件が異なるため、数・質・種類といった点でサービスごとに違いがあります。

基本的にどのサービスを使ってもお仕事を探すことは可能ですが、掲載されている求人のどれが優良企業であるかを見抜くのは至難のわざ。

就職や転職の経験がない方の場合、何をもって「優良」とするのかもイメージしづらいかもしれません。

ユースエール企業は、政府によって12の項目について審査を受け、正式に優良企業と認定されています。

最初の就職で失敗したくないと考えている方にとっても安心ですし、民間の転職サービスを使わなくても良い出会いが期待できます。

ユースエール認定企業に就職・転職する方法

ユースエール認定企業に就職・転職するには、大きく分けて2通りの方法があります。

1、若者雇用促進総合サイトから検索する

若者雇用促進総合サイトのトップページにある「企業を検索する」ボタンを押し、次のページで詳細な検索条件を選択します。

フリーワードや産業・従業員数・職種・勤務地でも検索できますが、企業区分として必ず「ユースエール認定企業」を選びましょう。

該当する結果が表示されるので、詳細を見てみたい場合は企業名をクリックします。

企業の事業内容や従業員数、公式サイトのURLが表示されています。採用ページのURLが出ていれば、直接採用ページへ移動して応募ができます。

※採用活動が締め切られている場合、応募はできず確認のみとなります。

ちなみに、ユースエール認定企業のほかにも2つの認定制度があり、「くるみん認定企業」は仕事と育児の両立を支援している企業「えるぼし認定企業」は女性の活躍を推進している企業です。

このうち、くるみん認定を受けた企業はさらに高い水準を達成すると「プラチナくるみん認定企業」となります。

2、ハローワークで探す

10代から20代までの方は、一般用のハローワークではなく「新卒応援ハローワーク」か「わかものハローワーク」を利用すると良いでしょう。

それぞれ利用者登録が必要ですが、一度登録をすればあとはいつでも気軽に訪れ、担当者への相談や企業の検索ができます。

新卒応援ハローワークやわかものハローワークでは、ユースエール認定企業が優先的に取り上げられているため、その時々に応じた最適な企業に出会えます。

もしも自宅や学校、勤務先の近くに新卒応援ハローワークやわかものハローワークがない場合は、一般向けのハローワークに相談することも可能です。

ハローワークに常駐するスタッフは年齢・性別問わず多くの求職者を担当してきているので、若い方でも気軽に相談ができます。

ユースエール認定企業や優良求人を探している旨を伝えれば、相談に乗りながら企業の検索や確認を行ってもらえるでしょう。

もちろん、就職に適したタイミングや企業が採用活動を始める期間のアドバイスなども受けられるので、自分自身の現状を伝えつつ、希望条件も率直に話してみてはいかがでしょうか。

関連記事:若者雇用促進総合サイトの解説と若年雇用向けおすすめサイト10選

その他若年層転職を支援するサイトで情報を集める

新卒者・既卒者・第二新卒者・フリーターなど10代~20代の方に対応した民間の転職支援サイトも登場しています。

「ウズキャリ第二新卒」は第二新卒者以外にも、フリーターや既卒者でも不問としているサイト。ブラック企業を排除し、未経験可能な求人も多数掲載しています。

もちろん30代に入ってからでも使えるサイトもありますので、サイトのトップページや利用方法について書かれているページで年齢制限がついていないかチェックしておくと安心かと思います。

優良企業が多数紹介されているとはいえ、若者雇用促進総合サイトだけでは多少心もとない方も多いかもしれません。

自分に合う企業に出会うためには、できるだけ多くの情報を集めて比較することが大切。1つのサイトやサービスだけに頼らず、民間のサイトを活用する方法がおすすめです。

優良企業を中心に比較・検討しよう

近年、若者雇用促進総合サイトをはじめ、民間の転職サービスや転職サイトでもブラック企業を排除する姿勢を打ち出すケースが増えてきました。

日本社会全体がブラック企業への対応を真剣に検討している状況ですが、そのなかでも特に若者への雇用と育成に力を入れている企業は、就職や転職に最適な環境といえるでしょう。

簡単に辞めたくならない優良企業を探すためには、優良企業を選りすぐって掲載しているサービスを利用するのがもっとも効率的な方法ですから、1つでも多くの情報を集めながら比較検討を進めていきましょう。