キーワードはインダストリー4.0、ベトナム雇用展望に見る市場が求めるスキルとは?

日本でも旅行や移住、海外転職先として、近年注目されているベトナム。

世界最大級のメガバンクであるHSBCが毎年行う「駐在員生活快適度調査」では総合ランキングでベトナムが10位に入り、世界の都市のランキングを発表するサイトでは、最も安く豊かに暮らせる都市の1つとしてダナンが選ばれました。

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日本人だけでなく世界中のビジネスマンがベトナムを注目していることを示しています。

そんなベトナムでの就職・転職をかなえるには、どのようなスキルが必要とされているのでしょうか?

今回はベトナムのVietnamWorksが実施、公開したCareer Prospects & Skill Trends in Vietnam (2018-2022)の結果を紹介します。

ベトナムでの転職を希望する人、アジア全体のジョブマーケットに興味のある人など参考にしてください。

ベトナムの労働市場に影響を与えるのは「オートメーション化」

今回の調査は、ベトナム最大級の人材サービスグループであるNavigos GroupのオンラインジョブサイトVietnamWorksが、200名の人事担当者とマネジメント層を対象に2018年下半期に実施しました。

この調査の結果は2022年までのベトナムの労働市場予測となるものです。

ロボット技術とオートメーションが大きな変化をもたらす

ベトナムの労働市場に大きな影響を与える技術的要因

ベトナムの労働市場に大きな影響を与える技術的要因を問う質問に対し、59%の回答者が「ロボット技術とオートメーション」と答えました。

さらに、「モバイルインターネットやクラウド」が57%、「処理能力とビッグデータ」が54%と続いており、大きな変化をもたらすと予測されています。

仕事の性質と労働構造の変化により、採用の需要は変化する

ベトナム労働市場に影響を与える社会経済的要因

ベトナムの労働市場は仕事の性質の変化と労働構造に関わる社会経済の影響を受けて、人材採用も劇的に変化すると見られています。

労働市場に影響を与える社会経済的要因に対する質問に、回答者の66%が「仕事の性質の変化と自由な働き方」をあげています。
「エリート層の増加」は55%、「若年労働層の増加」は54%と、これに続きました。

興味深いのは、回答者の40%が「プライバシーの必要性」と「環境問題に対する認識の高まり」とも回答しており、人材の採用に対して大きな影響を与えることになるでしょう。

また、回答者の1/5が「女性の社会進出」と回答しており、こちらも労働市場に影響を与える要因となっています。

ハイテクとエンジニアリングが有望な分野になる

ベトナム労働市場における有望な分野

今後有望な分野については、回答者の90%近くが、「ハイテクとエンジニアリング」そして「コンピュータとテクノロジー」に関連する需要が増すと答えています。

また、今後5年の間に成長するであろう分野として多くの回答者が選んだのは「アート、デザイン、エンターテイメント、スポーツ、メディア」(62%)でした。

一方で、今後需要が下がると予想されているのは、「アシスタントや事務職」(42%)となっています。
この職種は2018年では採用の需要が増加するポジションのトップ3位に挙げられていたものの、繰り返しが多い単純作業は、長期的に見ると、機械よって置き換えが可能であると考えられているようです。

「問題意識が持つこと」が、今後の求職者にとって必要な能力

ベトナム労働市場の変化によりニーズが増える能力

今後5年で労働市場の変化により、ニーズが増える能力についても調べています。

回答者の87%は、求職者に「問題が意識を持つこと」を求めており、「創造性」(86%)、「柔軟性」(85%)がこれに続いています。

一方で「手先の器用さと正確さ」は15%に留まり、あまり重要視されなくなっていくようです。

「アクティブラーニング」が従業員における最も重要な基本スキル

ベトナム労働市場が今後求める基本スキル

人事担当者の87%は、従業員にとって最も必要となる基本スキルとして「アクティブラーニング」をあげています。

そして「ICTリテラシー」(77%)、「自己および他社のモニタリングスキル」(77%)がこれに続いています。

言葉による表現や文章力、読解力などのコミュニケーションスキルは上述の3つのスキルに比べると重視されないという結果となりました。

「協調性」が最も重要な職務の枠を超えたスキル

ベトナム労働市場で今後必要な職域を超えたスキル

技術力の向上を要因として、多くの仕事の性質も変化しつつあります。
そのため、複合的なスキルの需要が高まっています。

従業員にとっての将来のキャリアを見越した上で、今後必要と考えられているのは、他者の行動と自身の行動を調整し調和させる「他者との協調性」で、79%の回答者が必要と答えています。

協調性に続き必要とされているのは「人材管理能力」であり、「心の知能指数」や「判断、意思決定能力」これに続き、いずれも60%を超えています。

心の知能指数(Emotional Intelligence Quotient)は、心の知能 (英: Emotional Intelligence、EI) を測定する指標である。心の知能とは、自己や他者の感情を知覚し、また自分の感情をコントロールする知能を指す。
引用:Wikipedia|心の知能指数

今後の人事部門は「オートメーション化の推進」と「新しいテクノロジーに対応できるスキルを持つ従業員の雇用」を重視

ベトナムのインダストリー4.0のための取り組み

またベトナムではインダストリー4.0(第4次産業革命)を迎えており、人事部門もこれに備えて、準備をする必要があるようです。

インダストリー4.0とは、製造業におけるオートメーション化およびデータ化・コンピュータ化を目指す昨今の技術的コンセプトに付けられた名称である。具体的には、サイバーフィジカルシステム (CPS) 、モノのインターネット (IoT) 、クラウドコンピューティング、コグニティブコンピューティングなどが含まれる。インダストリー4.0は一般に第四次産業革命として言及される。
引用:Wikipedia|インダストリー4.0

このインダストリー4.0に対応するために人事として必要なことを問う質問に対し、人事担当者の87%が「オートメーション化の推進」または、「新たなテクノロジーに対応し処理できるフルタイム従業員の雇用」を重要と捉えていると回答しています。

また、人事担当者の多くは「現在の従業員の質を向上させる」(82%)ことにも注目しています。

「現在の従業員へのトレーニング」の向上と答えた人事担当者のうち、47%が「社内トレーニング」を行うとしたのに対し、20%は「外部業者を通じてトレーニングを行う」と回答しています。

今後のベトナムの労働市場、キーワードはインダストリー4.0

今回の調査結果を受けて、NavigosGroupのCEOは以下のコメントを発信しています。

ベトナムの労働市場は、第4次産業革命により、前例のないほどの変化を経験しています。

信頼性の高いソースからの情報や変化に迅速に対応し、効果的な雇用戦略を構築することで、市場の状況を理解し、絶えず改善をしていなかければならないということの重要性を示しています。

雇用される従業員に関しては、積極的に学ぶという態度となるアクティブラーニングや、デジタルスキルやチームワークやマネジメントなどに代表されるソフトスキルが、デジタル時代における労働市場で優位に立つカギとなります。

それと同時に、教育機関はエンプロイアビリティを高めるカリキュラムを組む必要があります。

将来的なキャリアを見据えて、必要スキルのトレンドを見極めること、また学生たちに実践的な経験を通じて知識やスキルを強化させるプログラムなどが必要です。

エンプロイアビリティとは経営学用語の一つ。企業が従業員を雇用する場合に、その従業員が持っている雇用に値する能力のこと。
引用:Wikipedia|エンプロイアビリティ

米中貿易摩擦の影響でベトナムの雇用が拡大

また、今回の調査を行った同社が発信したレポートによると、今年に入り中国からベトナムに拠点を移した企業が多く存在し、東南アジアにおいて、採用の需要が大幅に拡大するとみられています。

特に多国籍で展開する家電関連企業のマーケティングと人事ポジションの求人が増えつつあるものの、募集要件を満たした応募者が不足が顕著なため、他業界からの経験者採用を開始したとも報じています。

米中の貿易摩擦を受け、生産拠点を中国からベトナムに移す日本企業も相次いでいます。

インダストリー4.0や拠点を移す企業の増加など、ベトナムでの就職・転職を後押しする材料はそろいました。

今後需要の高まるスキルを意識し、希望の転職を実現するための準備を進めましょう。

参照記事
https://www.enworld.com.vn/blog/2018/12/report-on-career-prospects-and-skill-trends-in-vietnam-2018-2022
https://oliver-uploads-aus.s3.amazonaws.com/2018/12/18/07/19/12/756/Career%20Prospects%20&%20Skills%20in%202018%20-%202022.pdf
http://hrmasia.com/vietnams-consumer-electronics-sector-faces-recruitment-boom/

Career Growth 編集部

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株式会社ショーケースと株式会社レーザービームが共同運営・提供しているCareer Growthの編集部提供コンテンツ。

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