「不満」は成功に続く扉 | 思考の法則トレーニング⑤

不満、問題の除去

先行きの見えにくいこの時代に、どうやったらビジネスで成功することができるでしょうか?
ビジネスゲームに勝つための思考の法則「5Aサイクル」

成功者に共通するビジネスプロセス「5Aサイクル」

  1. 顧客が抱える問題の「認知」(Awareness)
  2. 問題解決のための従来と異なる「アプローチ」(Approach)
  3. アイデアのスピーディな「実行」(Action)
  4. 実行結果の「分析」(Analysis)
  5. マーケットニーズに合わせた柔軟な「適応」(Adjustment)

その答えの1つが成功者に共通する行動様式「5Aサイクル」の中から見つかるかもしれません。

このシリーズでは、最初に2択の質問を出し、その後に解答と解説をしていきます。

日常の「不」を解消せよ!?

郵便受けを開けたあなたは、近くのビデオレンタル会社からの催促状を目にした。
そこには「6ヶ月の延滞金として30 万円」の請求額が!
たしかに、明細には、半年ぐらい前に借りた記憶のある海外ドラマシリーズのタイトルが並んでいる。
だが、てっきり返却したものだと思っていたのだ。あなたが、この経験から発想することは何か?

請求書を手にする図

ここで質問です。
あなたはどちらを選ぶでしょうか。

質問

A いかに払わなくて済むかを調べる。利用規約を調べ、場合によっては弁護士に相談する。
B もし、同じような目に合って延滞金で大変な思いをしている利用者がいるのであれば、それを解消すれば大きなビジネスになるかもしれない。

レンタルビデオの延滞料が、ビッグビジネスの芽となった

米国のとあるビジネスマンの元に1通の催促状が来ました。送付元はレンタルビデオ大手のブロックバスターで、内容は延滞しているレンタルDVDの料金をただちに払うように求めるものでした。

このビジネスマンは、多額の遅延料を請求されて、何を考えたでしょうか?

普通は、どのようにすれば延滞料を払わずに済むかとか、妻にどう打ち明けるか、あるいは逆ギレしてビデオ屋に怒鳴りこむといったチョイスくらいしか考えられないと思います。

しかし、そのビジネスマンは、逆でした。

彼はブロックバスターからの催促状を見て、延滞料を気にする必要のないレンタル屋はできないだろうか、と考えました。

そして、もし、月額定額料金で何枚でもDVDが借りられるサービスがあれば、うけるのではないか、と思ったわけです。自分の体験した不満を解消するビジネスが実現すれば、同じような不満を感じる人々の共感が得られるはずだと確信したのでした。

彼は、リード・ヘイスティングといい、Netflixという業界1位のオンラインムービー会社の創業者兼CEOです。

Netflixは最新ドラマはもちろん、Netflixオリジナルの映画『ROMA/ローマ』がアカデミー賞の候補に挙がるなど、オリジナル動画の制作・配信に力を入れているのが特徴です。

映画やドラマの定額制ストリーミング配信は、お茶の間の映像サービスとして広く普及し、直近の売上は157億ドルを超えるまでに成長しました。

『NETFLIX コンテンツ帝国の野望 :GAFAを超える最強IT企業』『NETFLIX コンテンツ帝国の野望 :GAFAを超える最強IT企業』

業界大手は、顧客の不満に鈍感になりがち

一方、ヘイスティング氏に催促状を送ったブロックバスターは、当時、全米3000店舗を持ち、ビデオやDVDのレンタルを行っていましたが、ネットフリックスを始めとする無店舗型のDVDレンタルやインターネット動画サービスの普及により、経営が悪化。2010年には、連邦破産法第11条を申請して、破産してしまいました。

ブロックバスターがヘイスティング氏に延滞料を請求したことで、形成が逆転したというのは興味深い話です。

業界大手というのは、顧客の不満に鈍感になりがちです。ビジネスがうまくいっていると、顧客に不満はないはずだ、と勘違いしてしまうのかもしれませんね。

ネガティブを解消するビジネスはものになりやすい

ところで、ヘイスティング氏は、日常的な「不」に着目し、この解消するモデルを思いついたわけですが、これは何も特別なことではありません。

私たちは、生活する中で、また仕事をする中で、数々の「不」を体験しています。
体験しながらも、「不」に慣れてしまったことでその解消ニーズを感じにくくなっているだけなのです。

あなたの考える「不」のつくものをピックアップしてみましょう。
「不安」「不満」「不信」「不当」「不具合」「不確実」「不道徳」「不義理」…世の中には、数えきれないほどの「不」が存在します。

これを解消するようにサービスを考えたり、改善を行なったりすることが、顧客満足度を高め、あなたのビジネスに利益をもたらすのです。

あなたがビジネスイノベータなら、「不」をもっと意識して生活し、そこからビジネスチャンスを見つけるべきです。

人は、ポジティブなものを提供されるよりも、ネガティブなものを解消してくれるもののほうが、対価を支払いやすい特性があります

だから、あなたの顧客に、どんなことで困っているのか、何を不満に思っているのかを聞くことが、最初の一歩です。自分の頭だけでアイデアをひねるよりも、顧客のもとに直接足を運ぶほうが、早いものです。

2つの利用者をつないで不満を解消させるプラットフォーマー

顧客の「不」を解消するのがビジネスになるのであれば、異なる顧客の不満を同時に満たすことができれば、もっと大きなビジネスに育つはずです。

リクルートは、就職先、不動産、車、結婚式場といった人生のターニングポイントで、それに関わる「買い手」と「売り手」をつなげる情報ポータルを構築することで、非常に高い収益を得てきました。

買い手の「自分に合うものがどこにあるのかわからない」という不満と、売り手の「顧客にアピールする機会がない」という不満を、つなげるブリッジとして機能しています。

従来は情報誌、現在はネットと、媒体は変わっても、情報を提供したい側と探す側のお見合いサービスを行なっていることに変わりはありません。

リクルートのように、提供側と利用側に対して情報を集約することで、お互いの便益を高めるような「場」の提供を行なう企業を「プラットフォーマー」と呼びます。

プラットフォーマーとは、企業や個人などが、特定のインターネットサイトなどの利用者を対象に、販売や広告などのビジネスを展開したり、情報発信したりする際のサービスやシステムといった基盤(プラットフォーム)を提供する事業者。
有名なプラットフォーマーとして、ウェブブラウザー「Google Chrome」やスマートフォン向けOS「Android」などを提供するGoogle、OSも含めて「iPhone」を開発したApple、様々な個人や企業が利用するソーシャルメディア「Facebook」を運営するFacebook、インターネット通販サイト「Amazon」を展開するAmazon.com(Amazon.co.jp)などがある。
引用:コトバンク

従来は情報誌などコストのかかる手段しかありませんでしたが、ネットというほぼ無料の提供手段が普及したことで、プラットフォーマービジネスは、様々な分野で百花繚乱の状態です。

必ずしも「不」が見えない場合もある

「不の解消」を企業理念として掲げている日本企業もあります。
化粧品やサプリメント大手のファンケルです。

「不安を安心に、不快を快適に、不満を満足に変える」という同社創業者である池森賢二氏が掲げたこの言葉は、顧客満足度向上を追求し続けるファンケルのDNAとなっています。

しかし、最近は、長引く不況と顧客のニーズの多様化によって、「不」が見えにくくなっているといいます。

顧客が商品選択の際に、比較や検討に時間がかかりすぎたり、不景気の中で買うという行為に後ろめたさを感じたりするようになっているからです。

そのため、ファンケルでは「ITを駆使してCRM(顧客リレーションシップ管理)に磨きをかけ、顧客が感じている潜在的な「不」を読み取り、それらを解消していくことが重要」(同社中島氏)としています。

CRMとは、顧客情報や顧客対応履歴を蓄積して管理する、顧客管理システム。顧客の情報を共有することにより顧客への対応を均質化できる他、多面的な情報を蓄積することで次のニーズを予測できる。
引用:コトバンク

つまり、目に見えた「不」ではなく、顧客の感じている無意識の、潜在的な「不」を見つけることで、新たな顧客価値を生み出そうとしているんですね。

そんなファンケルは、顧客サポートランキング(日本ブランド戦略研究所調べ)で常にトップ10入り、年によっては1位の座を勝ち取っています。
企業にとって顧客の「不」を効率的に発見できるしくみを持っていると、非常に強いですね。

人間は、環境への耐性が優れているため、不満や不安を感じても、すぐに慣れてしまいます。
そのため、ビジネスにできそうな日常的な「不」は見過ごされがちです。

高度なCRMシステムがないとしても、普段から、ちょっとしたシーンで感じた顧客ニーズ、自分自身の感じた「不」を書き留められるようにメモする習慣を身につけるだけでも、大きなチャンスにつながるはずです。

ビジネス構想力のヒント

仕事の最中や日常生活の中で、ふと感じる「不満」「不安」「不便」といった「不」を見逃さないようにしましょう。
それらを解決することは、大きなビジネスにつながるチャンスです。

「不」の解消でビジネスチャンスを掴む

不の解消でビジネスチャンスを掴む図