2位じゃ、ダメですか? | 思考の法則トレーニング⑧

優勝トロフィー

ビジネスで成功するために、自らをどの地位に置けば良いのでしょうか。

このシリーズでは、最初に2択の質問を出し、その後に解答と解説をしていきます。

2位じゃだめですか

あなたは世界最速のゲノム解析コンピュータを開発責任者。
しかし、会社の予算削減の折、株主からは「なにも1位にこだわらなくてもいいのではないか。
予算の中でできることをやれば?」と言われる始末。
しかし、上司の事業部長はやるからには1位にならないと意味がない、と強気だ。
1位を求められる図

ここで質問です。
あなたはどちらを選ぶでしょうか。

質問

A それが何位であっても、精一杯やった結果ならいいじゃないか。頑張った過程が重要だ。
B やはり1位にこだわるべき。何事もトップを目指さなければ意味がない。1位と2位以下はまったく違うインパクトのはず。

ダメ出しが、世界一への強力なモチベーションに

「2位じゃだめですか?」と事業仕分けの際に、蓮舫議員に突っ込まれたことで有名になった富士通のスーパーコンピュータープロジェクト。

スーパーコンピュータとは科学技術計算を主要目的とする大規模コンピュータである[3]。その時代ごとの普及価格帯のコンピュータの性能ではほぼ実行不可能な超大規模な計算処理をこなすことを目的として作られたコンピュータであり、その目的を実現するために、特別な構造のハードウェアや、そのハードウェアのために最適化されたソフトウェアを備える。
引用:https://ja.wikipedia.org/?curid=4658

しかし、その後、見事に世界一の処理速度を叩きだし、一時期は地上最速コンピューターの座をものにしました。
その名は「京(けい)」。

京というのは10の16乗を示す単位ですが、1秒間に1回計算すると3億2000万年かかるような計算を1秒で処理するわけです。
そのスーパーコンピュータ「京」には、8万8000個以上におよぶCPUや巨大なメモリ、が搭載されています。
(「京」は2019年8月でその任務を終え、後継の「富岳」が今後活躍する予定です)

当然ながら、事業仕分けの後で、会社内部ではいろんな議論が巻き起こったといいます。
「もう予算はしぼられるんだから、無理しなくても・・・」という声もあったようですが、プロジェクトメンバーは、1位でなければ意味がない、

なんとかトップをとってスーパーコンピューターの重要性を国内外に示したい、と歯をくいしばり、部品メーカーや協力会社のスタッフ総出で、奇跡の演算処理速度を叩きだしたのです。

金メダル以外は、忘れ去られてしまう?

ところで、1位と2位以下との違いはなんでしょう?

オリンピックを思い起こせば、その差は歴然ですね。
金メダルとそのほかでは、インパクト、知名度、人々の記憶への残り方、すべてが違います。

金メダルは、国内だけでなく、世界中に多く知れ渡ります。

このボーダレス社会において、知名度が国境を超えるかどうかは、大変重要なファクターです。

ビジネスにおいても、1位と2位以下では大きな開きがあるものです。

特にインターネットとグローバリゼーションで、時間的・距離的な垣根が小さくなった今、1位のビジネスはすべての顧客を総取りでき、巨大になる傾向があります。

一方、2位以下はどれも1位と対決するほどの規模を持てず、独自性を追求して生き残るか、やがて廃れてしまうでしょう。

たとえば、月間アクティブユーザ数23億8000万人という世界最大規模の利用者数(2019年)を誇るフェイスブックは、なんと137カ国中126カ国で1位をとっています。

世界地図で見れば、中国、ロシア、旧ロシアを除いてほとんどがフェイスブックをメインのSNSとして利用しています。
1位と2位の差は歴然としており、2位がどこなのか知らない人も多いでしょう。

SNSは、利用者規模が大きければ大きいほど、その利用価値が高まるサービスです。

そのため、1つが抜きん出ると、その差は大きくなる一方です。
例えば、かつてMIXIなどほかのSNSを使っていた人がフェイスブックに転向したように。

こうした利用者規模に応じて利用価値そのものが高まることをちょっと難しい言葉ですが「ネットワークの外部性」と呼んでいます。

ネットワークの外部性とは、例えば、電話網への最初の加入者の便益は明らかにゼロである。2人目の加入者には、1人目の加入者と通信ができるという便益があるため、この便益を加入に伴い費用と比較して、実際に加入するかどうかを決定することができる。しかしながら2人目の加入が1人目の加入者に与える便益は考慮されないため、ここに外部性が存在する。
正のネットワーク外部性は、バンドワゴン効果をもたらすことがある。ネットワーク外部性が存在する場合、新規加入者にとっての便益は既存加入者の数に依存するために、加入者数の少ない間はなかなか普及しないが、加入者数がある閾値を超えると一気に普及するといった現象が発生する。
引用:https://ja.wikipedia.org/?curid=229375

ところが、このネットワークの外部性、今ではインターネット業界にかぎらず起こっているように感じます。

それは、広い範囲で経済がつながり、ネットで品質や価格情報が共有され、物流含めたインフラが整ったことによる利便性が大きいと思います。

そのため、リアルビジネスにおいても、こうしたネットワークの外部性、つまり、利用者が増えると、ますます増え、そうでない企業との差が大きくなる傾向が強くなっています。

世界の1位でなく、1位になれる世界を発見する

私は何が何でも1位にこだわるべきだ、ということを言っているのでありません。

そんなことしたら、世界にはサービスごとに1社しか生き残れないことになってしまいます。

しかし、一方で2位を目指すという戦略も成り立たない。
なぜなら、業界規模1位の繰り出すコストや物量作戦には勝てないからです。

だったら、どうするか? 
そう、ニッチマーケットです。
SMAPの歌のように「世界で1つだけの花」になることです。

ナンバー1は、各カテゴリで1社しかありませんが、独自のサービス、独自の顧客価値を創造し、切り開いたマーケットでオンリーワンをとればいいわけです。

現在のように、ジェネラルなマーケットでは独占・寡占が進みやすいですから、なるべく特別な領域を狙っていく。

それでも、今までは「ニッチ=小さな」かもしれませんが、世界がつながっているこれからは、それが大きなマーケットチャンスになりうるわけです。

日本では商売にならなくても、世界につなげるとと立派な商売になる可能性は十分あります。

リーダーか、ニッチャーか?

経営学をかじった人ならご存知でしょうが、かのコトラーは、企業4つのセグメントに分類しました。
コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則

それは、市場全体を支配下に置くマーケットリーダー(業界最大手)、リーダーを狙う2番手チャレンジャー、リーダーのやらないような分野で小さくビジネスをやる、前述3社のやらないニッチな市場(固有の小さなマーケット)に対して、製品提供を行うニッチです。

このうち、マーケットリーダーは、いろんなタイプの商品を品揃えし、市場を席巻している一番シェアの高い企業です。
他のライバルが値下げ合戦をやろうが、差別化商品を提供しようが、追従する余裕があります。

大規模生産による低コスト化が働いているため、価格競争になったとしても最終的には勝つことができます。

いわゆるコストリーダーシップというやつです。

現代のような1対100弱のネットワーク社会においては、1番手、2番手、3番手と規模の異なる同じような企業を存続させるのは難しくなってきました。

1つの市場には、1つの勝者。もし、勝者になれないのであれば、別の市場で勝者になる。
それが、新しいビジネスのルールなのです。

日本におけるファストファッションの代表格ユニクロの創業者柳井正氏も「日本国内ではなく、世界で1強100弱になりつつあるから、世界で勝たなければならない」とよく言っています。

そういえば、FacebookもiPhone も検索エンジンも米国製で、国内に対抗馬がないですよね?
日本での携帯電話シェアNo.1はNTTドコモですが、それでも世界シェアでみると1%しかありません。

これからは日本一ではなく、世界一にならないと生き残れないということかもしれません。
だったら、自分が世界一になれるフィールドを探しに行きませんか?

ビジネス構想力のヒント

世界がつながった今、事業戦略のための選択肢は2つに絞られました。1つは、ある分野でトップをとり、規模のメリットを活かす。
もう1つは、独自マーケットでオンリーワンを築く戦略です。
オンリーワンは規模が小さくとも、新しい顧客価値を創造することで、顧客の数だけマーケットを創造できる可能性があります。

ビジネスに役立つキーワード「コトラーの競争地位分類」

コトラーの「競争地位分類」図