Google創業の物語 | 思考の法則トレーニング⑩

AI、ロボットのイメージ

ビジネスで成功するためのアイデアは、今あなたの目の前にあるかもしれません。

このシリーズでは、最初に2択の質問を出し、その後に解答と解説をしていきます。

優れた情報を自動的に抽出するにはどうすれば良いか?

あなたは図書館の司書だ。
100 万冊を超える図書館所蔵のすべての本をデジタル化するにあたり、優れた本を「自動的に」ピックアップする方法を考えなければならない。
どのような方法がもっとも理にかなっているといえるだろうか?

ここで質問です。
あなたはどちらを選ぶでしょうか。

質問

A 有名な本、売れた本、あるいはテーマごとに専門家に選んでもらう。エキスパートの選択眼は間違いない。
B 対象が膨大すぎて人海戦術は適切な選択ではない。優れた情報とは何かを再定義し、新たなロジック、アルゴリズムを考えるべきだ。

優れた本の共通点を探せ!

スタンフォード大学の膨大な蔵書の電子化プロジェクトに、2人の学生が参加していました。

彼らは、デジタル化される膨大な情報の中から、「どのようにすれば優れた情報を見つけることができるか」というミッションを受持ち、様々な方法を模索していました。

そこでたどりついた1つの結論は「優れた本とは、類似テーマの他の本から参照されている」という気づきだったのです。

類似テーマの本の著者は、その分野の精通者であり、彼らが参考にする本は、優れた内容に違いない。

その回数や、どのようなテーマで参照されているかをアルゴリズムとしてシステム化してしまえば、膨大な蔵書の価値をオートマティックに測る有効な方法になるのではないかと考えたのでした。

つまり、「どうやったら優れた本を自動的に探し出せるか?」を「優れている本の共通点は、他からたくさん参照されていること」と問題を再定義したわけのです。

優れた本を選び出す方法は、当然、ほかにも考えられるでしょう。過去の販売実績から売れ行きの良い本を見つけ出すこともできます。
しかし、話題性で一時的に売れた本がはたして優れた内容なのか疑問が残るところです。

もちろん、カテゴリごとに専門家が選りすぐるという方法も考えられます。
しかし、あらゆるテーマの専門家を探しだして、作業を割り当てる手間も、その選出作業も膨大なものになるでしょう。

この方法は論理的ではあっても、膨大な蔵書の価値を評価する方法としてはあまり経済的とはいえません。

異なる分野のアプローチを活かしたGoogle

2人の学生は、この優れた本を定義するアルゴリズムは、世の中のウェブサイトの優劣を決めるにも大変有効だと考えました。

ウェブサイトは2019年時点で17億1100万サイトです!(情報元)。
Googleが当初、推定した世界の書籍の数は、1億3000万冊ですから、サイトの数は本どころの話ではありません。

しかも、当時の一般的なウェブサイト検索システムは、キーワードの一致したサイトを単純にピックアップするだけだったので、山ほどのゴミサイトをひっかけてしま
い、まともに使えませんでした。

彼らは電子のアイデアを活用し、「ほかの類似テーマのサイトから参照されている
(=つまり、被リンクが貼られている)サイトは、優れた情報を掲載しているサイト」だと定義し、世界中のウェブサイトを検索ロボットに周回させて、サイトごと評点をつけていきました。

この点数は、その学生の1人、ラリー・ページの名前を冠して「ページランク」と呼ばれました。

ページランク (PageRank) は、ウェブページの重要度を決定するためのアルゴリズムであり、検索エンジンのGoogleにおいて、検索語に対する適切な結果を得るために用いられている中心的な技術。Googleの創設者のうちラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンによって1998年に発明された[1][2]。名称の由来は、ウェブページの”ページ”とラリー・ペイジの姓をかけたものである。
引用:https://ja.wikipedia.org/?curid=12917

これが言わずと知れたGoogle創業の物語なのです(現在は、さまざまな指標を組みわせて評価されており、そのアルゴリズムは公開されていません)。

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もちろん、優れた情報の抽出には、経験を積んだ編集者によるセレクション、分野ごとの専門家によるアドバイスなど、いろんなアプローチがあるでしょう。

これらは、Yahoo!のディレクトリサービスやオールアバウトの専門ガイドとして実際にサービス化されています。

しかし、これらの手法は膨大な情報量を効率的に処理するには、労働集客的な限界があります。

結局、天文学的な数に登る世界中のウェブサイトをインデックス化するというニーズに答えることはできず、検索ビジネスはGoogleの一人勝ちとなりました(今やYahoo!もGoogleの検索エンジンを入れている状態です)。

壁にぶち当たったら、質問を再定義する

問題の解決策は、このように問題を再定義することで見えてくることがあります。

問題の再定義とは、質問を変えてみることです。
「どうやったら、うまくいくのか?」を「うまくいっている人の共通点は何か?」に言い換えるのです。

たとえば、「どうやったら、この病気が治せるだろうか?」という課題は「この病気にかからない人に共通点はないだろうか?」と言い換えることができます。

18世紀に猛威を振るった天然痘の治療方法発見のきっかけは、地元開業医エドワード・ジェンナーの着眼点の切り換えでした。

「なぜ、乳搾りをしている女性は天然痘にかからないのか?」

答えは、意外なものでした。天然痘にかからない人たちは、すでに牛を宿主とした牛痘にかかっていたのです。

牛痘は人間が感染しても軽度の症状で済むうえ、天然痘にDNA配列が似ていることから、天然痘の免疫として機能していたことがわかったのです。

ジェンナー医師は、牛痘をもとに作ったワクチンを打った少年に、天然痘のウィルスを打ってみましたが、発症しませんでした。
その後、あっけなく天然痘は撲滅しました。

観察眼の視点を変えると、難解な問題がスルっと解けることがあります

「どうやったら、雨をしのぐ洋服が作れるか?」ではなく、異なる世界で水をはじくものを探すのです。

自然界に目を向ければ、「なぜ、蓮の葉は水をはじくのか?」と着眼点を変えることができます。
おかげでレインコートが誕生しました。

また、軍事目的で「どうやったら、暗がりで敵の位置を把握できるのか?」という質問を、暗がりで器用に動く動物に目を向け「なぜ目の見えないコウモリはぶつからないのか?」と変換したことで、レーダーが誕生しました。

問題解決のための視点を変えれば、世の中はヒントで満ち溢れているということが分かります

問題解決につまったら、別のアングルから問題を見なおしてみることです。

問題を別の角度から見るためのツールとして便利なオズボーンのチェックリストがあります。

着眼点の変更は、普段のビジネスにも大活躍

「なぜ、顧客はうちの商品を買ってくれないのか?」というあなたの質問を変換してみましょう。

それは、「うちの商品を買ってくれる顧客の共通点は何か?」という質問に転換できます。

その共通点を見つけ出すことで、今まで気づいていなかった、まだ見ぬ顧客がどこにいるのか検討がつくでしょう。

「なぜ、彼のプロジェクトはいつも遅延するのか?」という質問にダイレクトに答えるよりも、答えは「時間どおりに進行するプロジェクトリーダーの共通点は何か?」に見つけられます。

答えはいつも私たちのすぐ近くに存在するのですが、当たり前すぎて気づかないことが実に多いのです。

そんな時、問題を再定義し、自分への質問を言い換えてみましょう。
すっと、思わぬ答えが導き出せるかもしれません。

ビジネス構想力のヒント

  • 解決のアイデアを組み立てるときに、問題解決の答えをそのまま探すのではなく、問題自体を言い換えてみる。着眼点を変えてみることが大事だ
  • どうやったら、解決できるか?」ではなく、「うまくいっているものに何の共通点があるのか?

ビジネスに役立つキーワード「オズボーンのチェックリスト」

このチェックリストは、あなたが解決策に困った時の助けになるでしょう。
オズボーンのチェックリスト