繁華街に成功の光は見えたか? | 思考の法則トレーニング②

夜のオフィス街

ビジネスチャンスは、何気ない日常の中にひそんでいます。
あなたはどうやって「それ」を見出すでしょうか?

このシリーズでは、最初に2択の質問を出し、その後に解答と解説をしていきます。
このシリーズを読んでいくうちに、ビジネスに必要とされる「新たな視点」が見付かるかもしれません。

質問02 繁華街に成功の光は見えたか?

あなたは起業家だ。
いろんなビジネスをやってみたが、どれもうまくいかず、今夜は多少、ヤケになって飲んでいる。
その帰りに、夜の繁華街に浮かぶ、ほとんど明かりのついてない高級ホテルを見た。
このシリーズでは、最初に2択の質問を出し、その後に解答と解説をしていきます。
このシリーズを読んでいくうちに、ビジネスに必要とされる「新たな視点」が見付かるかもしれません。

ここで質問です。
あなたは、どちらを選ぶでしょうか?

質問

A 景気が悪いのに値段が高い高級ホテルから客が来ないのだろう。さぞかし経営は大変だろうな。
B 空室は、たいへんな機会損失だ。このホテルの空室をすべて満室にできたら、商売になるかもしれない。

目の前に黄金の風景は見えているか?

あなたには、街の日常的な風景にチャンスがあふれているように見えますか? 

きっとビジネスクリエイターなら、街を歩くだけでもチャンスに満ち溢れた黄金の光景が見えているに違いありません。
しかし、多くの人はそれらをチャンスとはとらえることはできません。

ただ目の前を風景が通り過ぎるだけなのは、目の前の対象に対して「なぜそうなっているのか」? 
という意識を持っていないからです。

「なぜ?」の精神は、問題点を浮き彫りにして、課題解決のアイデアにつながるもっとも重要な疑問符です

ところで、長らく景気低迷が続くと、誰も高級品や贅沢品には見向きもしないのではないかと誤解する人も多いでしょう。

しかし、実際には、安くてコストパフォーマンスの高いものと、高級で付加価値の高いものとに二極化しているのです。

身近な旅行やレジャー産業も同様で、高級ホテル&旅館専用の予約サイト「一休ドットコム」は、不透明感広がる日本経済において、予想を大きく上回る利益を稼ぎ出しています。

経常利益率は、旅行大手の近畿日本ツーリストが1.9%であるのに比べ、実に29.5%という超高収益企業です。

今や旅行予約サイトの中では大手の「楽天トラベル」や「じゃらん」を押しのけ、顧客満足度調査の常連トップ3入りとなっているほどです。

エリートサラリーマンを捨て、起業家に転身した理由

この一休ドットコムの創業者の森正文氏は、元日本生命というエリートサラリーマンです。

しかしC型肝炎で入院したことをきっかけに、限りある人生を、「好きなことをして生きていこう」(日経新聞、人間発見より)と起業を決意。
しかし、退職して会社を興してからも、これといった事業の柱が決まらず、焦っていたといいます。

そんな彼が1999年11月、夜の新宿の街の中で、部屋の明かりがまばらな有名高級ホテルを見上げました。

その時、森氏は「これこそ究極の在庫だ」という考えがひらめいたのです。

翌日からは、直接、高級ホテルのフロントに飛び込み営業。

支配人に直談判して、オークションサイトで空室をさばくことを掛け合い、OKを勝ち取ることができたといいます。

実際に自分で空室をヤフオクでさばくことができた後(小さな実験)、他の高級ホテルも次々と客室を出してくれるようになり、ビジネスチャンスを確信した森氏は、2000年に本格的な予約サイト「一休.com (ドットコム)」を開設することになります。

試行錯誤の中で、やっと大きなビジネスチャンスをつかんだ瞬間でした。

仮想ビジネスゲームで、プロデュース力を鍛える

この起業ストーリーは3つの面で示唆に富んでいます。

1つ目は「日常的な風景に溶け込んだチャンス」を見つけられるかどうかです。

一休ドットコムの森氏は、夜の街に浮かんだ高級ホテルの空室を見つけたときに、高級ホテルの宿泊予約という商売のチャンスを見つけました。

彼の目には、空室が「究極の在庫」に映ったのです。
しかし、普通の人は、ホテルの空室を知っても、景気の悪さを嘆いたり、支配人の苦労に共感したりすることはあっても、自分のビジネスチャンスとしては考えないのかもしれません。

普段から、観察したものからどのようなビジネスが成立するかをイメージトレーニングしましょう。

筆者自身も現在のビジネスが軌道に乗るまでは、ありとあらゆる商売の可能性を検討していました。

電車に乗っているときも、テレビを見ているときも、観察した事象から「もし、この問題を解決したらビジネスになるだろうか?」と常に自問自答したものです。

今はIT企業の経営をしていますが、タイミングしだいではメロンパンの移動販売かお掃除サービスでもやっていたかもしれません(笑)。

それくらい、広範囲にいろんなビジネスの可能性を模索していました。

誰もが、すぐに始められるビジネスプロデュース能力の鍛錬方法は、仮想ビジネスゲームです。

目にしたビジネス、思いついたビジネスの市場性、実現性、採算性などを、さっと頭の中でシミュレーションしてみるのです。

こうした習慣をふだんから身につけておくと、いざ、ビジネスの評価をするときにも大いに役立ちます。

「きみはこのビジネスの可能性についてどう思う?」と突然、上司からふられでも、的確に回答できるでしょう。

ビジネスチャンスを掴むためのポイント1

何気ない日常の風景に溶け込んだチャンスを探す目を養う

小さな実験で、大きな市場の手応えを確認

2つ目の示唆は、「小さな実験」です。
一休ドットコムの森氏は、まずはホテルの空室を自分自身で、ヤフオクを使ってさばいてみました。

それによって、結果が想定したとおりになるのかを確認できたのです。

なにもビジネスは全財産をかけた博打ではありません。結果的には成功しないと意味がないのです。

だからこそ、許容できる範囲で何度も失敗するべきです。
小さな実験はそのために不可欠なプロセスなのです。

小さな実験は、「フィジビリティスタディ(実用化実験)」とも呼ばれます。数量限定的なテスト販売やプロトタイプ(試作品)を使ってのユーザによる評価など、なんでもよいのです。

要は、自分の仮説が正しいのかどうか、想定していなかった問題やニーズをつかめるのかどうか、という確認ができればいいわけです。

ビジネスクリエイティブな人々は、こうした小さな実験を大変好みます。そして、これを何度も、何度も繰り返す。

新しいビジネスのヒットの確率は5%程度だと言われています。
しかし、失敗すれば、その分ノウハウがたまるので、次に成功する確率は高まります。

失敗を重ねるほど成功に近づける。そして、本当に成功するのです。

ビジネスチャンスを掴むためのポイント2

失敗を厭わず「小さな実験を繰り返す」こと

テンションが上がった状態で実行に移すスピード感

3つ目の示唆は、実行スピードです。

ビジネスチャンスを見つけても行動しなければ意味がありません。

うだつの上がらないサラリーマンが「俺はすでに気づいていたんだよ」と居酒屋で管を巻いているのは見苦しいものです。

こういった人は実行力が圧倒的に足りないのです。

日本人は思ったことを行動に移すのが苦手な人が多い。
だからこそ、他人に比べてアイデアが素晴らしいかどうかよりも、実行までのスピードが早いほうが格段に有利になるのです。

森氏は、それがわかっていたのでしょう。だから、すぐさま行動しました。

間髪入れずに、翌日から飛び込み営業で交渉し、そして貴重な最初の機会を得ることができました。

もし、彼が熟考していたらどうなったでしょうか。

「冷静に考えてみたら、そんなの誰かがやっているだろう」「どうせ、できっこない」と否定的な面が邪魔をして、結局、実行しなかったかもしれませんよね。

チャンスというのは長くは待ってくれないもの。だからこそ「思いついたら、即実行」で丁度よいのです。

ビジネスチャンスを掴むためのポイント3

「気づいたらすぐに実行」を心がけること

ビジネス構想力のヒント

何気ない日常の風景の中にもビジネスチャンスが満ち溢れていることを常に意識することが重要です。
常にトレーニングしている人は、本番で強いものです。
そして、ささいなことでもいい、何か1つビジネスの芽を見つける習慣をつけましょう