金が余っている人に金を貸すべきか? | 思考の法則トレーニング①

市場の予測

先行きの見えにくいこの時代に、どうやったらビジネスで成功することができるでしょうか?
ビジネスゲームに勝つための思考の法則「5Aサイクル」

成功者に共通するビジネスプロセス「5Aサイクル」

  1. 顧客が抱える問題の「認知」(Awareness)
  2. 問題解決のための従来と異なる「アプローチ」(Approach)
  3. アイデアのスピーディな「実行」(Action)
  4. 実行結果の「分析」(Analysis)
  5. マーケットニーズに合わせた柔軟な「適応」(Adjustment)

その答えの内の1つは、上記の5Aサイクル1つ目の「顧客が抱える問題を適切に認知すること」にヒントがあるかもしれません。

このシリーズでは、最初に2択の質問を出し、その後に解答と解説をしていきます。
このシリーズを読んでいくうちに、ビジネスに必要とされる「新たな視点」が見付かるかもしれません。

質問01 金が余っている人に金を貸すべきか?

あなたは融資を担当する銀行マン。会社からは貸し倒れの心配のない大企業に融資しろ、と言われている。
しかし、そんな会社はどこも堅実で、「うちは借入の必要はない」と断る始末。 
一方で、「今日借りられなければ、来月は路頭に迷う」という人々が、店舗に大勢押し寄せている。
彼らに融資をしてもよいのだろうか?

ここで質問です。

質問

A 貸し出したらこげつくかもしれない。やはり、大手の安定した会社に融資をしよう
B もちろん、貸す。お金を必要とする人に貸して、そこから利益を得るのが融資の本質

あなたはどちらを選びましたか?

銀行融資の矛盾は、なぜ生じるか?

銀行のビジネスモデルってどのようなものでしょうか?

個人預金などで低利で資金を集め、より高い金利を払っても資金を手当したいという顧客に対して融資を行い、利ざやを得るのがビジネスモデルのはずです。

だから本来は、企業の成長と銀行融資はビジネスの両輪のはずです。

しかし、銀行が貸し倒れを恐れるあまり、融資先のビジネス成長性よりも現在の財務状況や返済能力ばかりに目が行くと、そもそも借り入れニーズのない企業に融資するという「矛盾」が生じます

そもそも預金で集めたお金が融資に回らず、国債の大量購入に当てられて、別のリスクにさらされているという想定外のリスクも・・・。

このように、「大人の事情」によってビジネスが本質からはずれてしまう例は少なくありません。

実際、私も会社を経営してよくわかりましたが、必要なときにはなかなか借りられず、要らないときに「借りてくれないか」と営業するのが銀行というものです。

つまり、資金ニーズよりも、信用余力がどれくらい残っているかが審査のポイントになりがちだということ。

しかし、それでは本当に必要としているところにお金が回りません。

本来、借り手の「借入金をどのように投資し、ビジネスを大きくしようとしているのか(未来の計画)」を見なければ、融資ビジネスは成立しません

しかし、リスク回避が先行してしまうと、未来ではなく、財務諸表など過去の成績ばかりを気にするようになります。

その結果、前述のような矛盾が生じるわけです。

マイクロファイナンスの台頭

そんな中、「マイクロファイナンス」と呼ばれる貧困層を対象にした低金利の無担保融資を行っている銀行があります。

それが、バングラデシュのグラミン銀行です。

グラミン銀行は、バングラデシュの農村部の貧困を救済する政府プロジェクトとして、ムハマド・ユヌス氏が初代総裁としてスタートしました。

最初の融資は42の貧困家族に27ドルという、実に小さな規模でした。

そのシステムはまたたく間にバングラデシュ全土に広がり、世界40カ国以上に広がりました。

彼らは2015年までに世界の貧困層を半減する、という目標をかかげて融資業務を拡大させています。

グラミン銀行と創業者のムハマド・ユヌス氏はこの功績によりノーベル平和賞を受賞しています。

書籍『ソーシャル・ビジネス革命―世界の課題を解決する新たな経済システム』画像『ソーシャル・ビジネス革命―世界の課題を解決する新たな経済システム』

貧困層にお金を貸しても、貸し倒れない?

ところで、このマイクロファイナンスをビジネスとして見たときに注目すべきポイントは、「意外にリスクは少ない」ということです。

実は、切実なニーズを満たしてしてもらった恩を仇で返す顧客は稀なのです。

これらの貧困層は貸し倒れリスクが決して高くありません。
貧困層=リスク高い、金持ち=低リスクと考えるのはステレオタイプの固定観念です。

本当にリスクが高いのは、融資の精査がいい加減になり、相手方のことをよく調べもせずに知名度や誰かの紹介だからといって、ジャブジャブお金を貸し付けることです。

「本当に必要としている人たち」は非常にまじめで、せっせとローンを返済してくるため、私たちのイメージよりもはるかに優良な借り手なのです。

それどころか、この融資によって銀行の会員5000万人の半分は学校に行くことができ、安全な水と食料を口にすることができ、国の発展に寄与しているということです。

ビジネスの基本スタンスは「Win-Win」

もちろん、このシステムが万能で、魔法の杖であるということではありません。

このシステムを悪用して貧民層に高利貸しを行った悪質な企業もありますから。
どんなシステムでも良いことばかりではありません。

それでも、あなたに知っておいてもらいたい重要なことは、「持続可能なビジネスはWin-Winでなければならない」ということです。

書籍『Win-Win セールス』画像『Win-Win セールス (7つの習慣 コヴィー博士の集中講義シリーズ)』

「そんなの理想だよ」「絵に描いた餅」「仕事はクライアントとの騙し合い」と揶揄する人もいるでしょう。

たしかに、なるべく手間をかからない楽な案件を高額で受注し、いかに安い賃金で丸投げするかを考えている人にとっては、ウィン・ウィンというのは絵空事に見えるかもしれません。

しかし、誰かの犠牲の上に成り立つビジネスはぜったいに長続きしません

それを支援したいという投資家も現れません。どんなビジネスであっても、顧客のニーズを満たす、顧客の期待を上回る価値を提供し、それによって利益を伸ばす。

それが商売の原理というものです。

ここで、「顧客価値」の概念をおさらいしておきましょう。

顧客価値とは顧客が得られるベネフィット(便益)から、顧客が支払う必要コストを引いたものです。

先の例題にあった顧客価値を考える際に、この式を当てはめれば、どれだけ顧客価値に差があったか再認識できるでしょう。

喉から手がでるほど資金を必要としている個人や会社に、タイミングよく融資できれば、そのベネフィットと顧客価値は計り知れません。

顧客価値の総量は、感謝の言葉の数でわかる

ところで、顧客価値というのは目に見えませんよね。
だから、顧客価値をもっとわかりやすい形に変えて、従業員の指標にしている会社もあるんです。

それは「感謝」の言葉です。

たとえば、外食、介護大手のワタミでは「地球上で一番たくさんの〝ありがとう〟を集めるグループになろう」というわかりやすいスローガンをかかげています。
聖人君子のキレイ事ではありません。

感謝は売上の代替指標です
「ありがとう」の言葉の数は、顧客満足度を示す重要なKPI(重要業績指標)です。

それは、感謝が集まるところに大きな利益も集まるからです。

そして、もう1つ大切なこと。それは、本当の感謝の言葉は、顧客の期待を上回る価値が提供されたときに出るということです。

だから、どうすれば顧客から「ありがとう」をもらえるか、顧客の期待をきちんと理解し、自分はどうすればそれを超えることができるのかという視点に立って、自分の提供するビジネスの価値を見直すことが大事だと思います。

当たり前すぎるビジネスの基本が、いろいろなしがらみや慣習によって、時折、視界不良になることがあります。そんな時こそ、基本に立ち戻るべきです。

誰かを幸せにする対価が売上の源泉となるべきです。

だからこそ、事あるごとに、自分に問い直してみましょう。
自分のビジネスは、誰をどのように幸せにしているだろうか、と。

ビジネス構想力のヒント

  • 顧客のニーズを満たし、期待を上回る価値を提供しましょう
  • それがビジネスの基本であり、もっとも確実に利益を得る方法です

顧客とのウィン・ウィンの関係を築けるビジネスを発想しなければ永続的な繁栄はあり得ません。

5Aサイクルに役立つビジネス・コンセプト「顧客価値」

ビジネス・コンセプト「顧客価値」画像

参考図書