求職活動支援費(広域活動・職業訓練・交通費)の支給条件と申請方法

退職後にハローワークを利用して転職活動を進めていると、「遠方の企業と面接したいけど交通費が高い」「面接の間だけでも子どもを預けたい」など、さまざまな悩みに直面することがあります。

実は、失業保険を受けている人が手続きをすれば、遠方への面接の交通費など、転職活動のうえで必要な費用に対して「求職活動支援費」が支給されます。

ただし、求職活動支援費の支給には条件があり、誰でも受け取れるわけではありません

この記事では、求職活動支援費の詳しい内容や支給条件、申請方法を解説します。

求職活動支援費は転職活動の強い味方

求職活動支援費は、失業保険の給付のうち、就業の促進を目的として支給されるものです。

平成29年1月の雇用保険法の改正により、広域求職活動費と呼ばれていたものが、求職活動支援費へと変更されました。

その内訳は、以下の3つに分かれています。

求職活動支援費の3つの内訳

  • 広域求職活動費
  • 短期訓練受講費
  • 求職活動関係役務利用費

それぞれの概要を説明します。

広域求職活動費

広域求職活動費とは、遠方の企業説明会や面接に参加する際に必要な交通費や宿泊費などを支援する制度です。

雇用保険の基本手当を受給している人が条件を満たした場合、申請すれば受給できます。

短期訓練受講費

短期訓練受講費とは、再就職をするために1カ月未満の教育訓練を修了した際の費用を支援する制度です。

雇用保険の基本手当を受給している人が対象となる訓練を修了した場合、申請すれば受給できます。

求職活動関係役務利用費

求職活動関係役務利用費とは、転職活動のために利用した保育等のサービスの費用を支援する制度です。

雇用保険の基本手当を受給していて、子育てをしている人が条件を満たした場合、申請すれば受給できます。

ハローワークで雇用保険を受給するために必要な書類と認定のポイント

遠方での面接に使える!広域求職活動費の支給条件と申請方法

広域求職活動費は、遠方への求職活動を支援する制度ですが、具体的にどのような場合に支給されるのでしょうか。

ここでは、広域求職活動費の支給条件や申請方法、いくら貰えるのかを紹介します。

広域求職活動費の支給条件

広域求職活動費を受給するには、以下の条件を全て満たす必要があります。

広域求職活動費の支給条件

  • 雇用保険の受給資格者であること
  • ハローワークが紹介する遠隔地の事業所の常用求人に応募し、その事業所を訪問して面接すること
  • 雇用保険の手続きを行っているハローワークから、訪問する事業所を管轄するハローワークまでの距離が鉄道で200km以上(バスなどの車賃は1/4kmを鉄道1kmに換算)あること
  • 雇用保険の待期期間の後に広域求職活動を開始したこと
  • 広域求職活動にかかる費用が訪問先の事業所から支給されないこと、またはその支給額が広域求職活動費に満たないこと

これだけではわかりにくい部分もあるので、それぞれの条件を簡単に説明します。

雇用保険の受給資格者とは

失業した日から2年以内の間に、雇用保険に加入していた期間が合計で1年以上あると雇用保険の受給資格が得られ、「基本手当の受給資格者」となります。

また、会社の倒産などの理由で失業した場合は、失業した日から1年の間に6か月以上の雇用保険加入期間があると受給資格を得られます。

基本手当の受給資格者の場合、受給資格決定日から、支給終了日または受給期間満了日のどちらか早い日までが受給資格の期間として扱われます。

常用求人とは

常用求人とは、簡単に言うと、「雇用期間に定めのない求人」のことを指します。
ただし、厚生労働省は「1年以上雇用されることが確実である求人」という定義を使っているため、選択の幅は意外と広いかもしれません。

広域求職活動費の支給額

遠方への転職活動に便利な広域求職活動費ですが、一体いくら支給されるのでしょうか。

支給額は、管轄のハローワーク間の距離を基準に計算されます。
ハローワーク間の順路を、通常の経路および方法で計算したときの交通費が支給されます。

また、ハローワーク間の距離が400kmを超えると、宿泊費も支給されます。
宿泊費の額は、距離と訪問する事業所の数によって定められています。

広域求職活動費の申請方法

それでは、広域求職活動費はどのように申請すればいいのでしょうか。申請の流れは以下のとおりです。

広域求職活動費申請の流れ

  1. 地元のハローワークで遠隔地の事業所の求人の紹介を受け、書類を受け取る
  2. 遠隔地で面接を受け、事業所に書類の記載をお願いする
  3. 地元のハローワークに書類を提出する

それぞれの手順について、詳しく紹介します。

求人紹介

ハローワークで広域求職活動費の対象となる求人を紹介されたら、「広域求職活動指示書」「広域求職活動面接等訪問証明書」という2種類の書類を受け取ります。

このうち、広域求職活動面接等訪問証明書は面接時に持参し、事業所に記載してもらう必要があるので、忘れずに受け取りましょう。

なお、複数の事業所で面談を行う場合には、広域求職活動面接等訪問証明書は事業所の数に応じて配布されます。

面接

紹介された事業所で面接などを行います。
このとき、広域求職活動面接等訪問証明書のうち、事業所が記載する欄があるので、忘れずに記載をお願いしましょう。

書類提出

面接を終えて帰ってきたら、ハローワークに以下の書類を提出します。

面接終了後に提出する書類

  • 支給申請書
  • 広域求職活動指示書
  • 雇用保険受給資格者証
  • 広域求職活動面接等訪問証明書

このうち、支給申請書はハローワークで入手できるほか、ハローワークインターネットサービスからの入手も可能です。
ただし、申請には「広域求職活動を終了した日の翌日から10日以内」という期限があるので、うっかり期限を過ぎてしまわないように注意しましょう。

資格取得や教育訓練時のサポートに!短期訓練受講費の支給条件と申請方法

短期訓練受講費は、資格取得や教育訓練を支援する制度ですが、具体的にどのような場合に支給されるのでしょうか。
ここでは、短期訓練受講費の支給条件や申請方法、いくら貰えるのかを紹介します。

短期訓練受講費の支給条件

短期訓練受講費を受給できるのは、以下の条件の全てに該当する人です。

短期訓練受講費支給の条件

  • 教育訓練を受講する前に、その訓練を受けるためのハローワークの職業指導を受けていること
  • 基本手当の受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者、日雇受給資格者のうちのいずれかであること
  • 雇用保険の待機期間の後に教育訓練の受講を開始したこと

また、対象となる訓練は、以下の条件のいずれかに該当するものです。

受給対象訓練の条件

  • 一般教育訓練給付の対象講座を実施している教育訓練実施者が実施していること
  • 公的職業資格の取得を目標とする1カ月未満の教育訓練であること
  • 一般教育訓練給付の対象講座として指定されていないこと
  • 教育訓練の開始時期、内容、対象者、目標および修了基準が明確であり、教育訓練の実施者が、その訓練について、適切に受講されたことを確認し、修了させるものであること

訓練の条件について詳しく説明していきます。

公的職業資格の取得を目標とする1カ月未満の教育訓練とは

国や地方公共団体、または国から委託を受けた期間が法令に基づいて実施するもので、例として以下のようなものが該当します。

  • 大型特殊免許
  • フォークリフト運転技能講習
  • 介護職員初任者研修

短期訓練受講費の支給額

短期訓練受講費の支給額は、実際にかかった訓練経費の2割です。
下限はありませんが、10万円という上限があるので注意してください。

短期訓練受講費の申請方法

それでは、短期訓練受講費はどのように申請すればいいのでしょうか。
申請の流れは、大きく受講前と受講後に分かれます。

受講までの流れ

  1. ハローワークで「短期訓練受講費支給要件照会票」を受け取る
  2. 短期訓練受講費支給要件照会票に必要事項を記入し、教育訓練実施者に提出して証明をしてもらう
  3. 証明をしてもらった短期訓練受講費支給要件照会票をハローワークに提出する
  4. ハローワークから交付された「短期訓練受講費支給要件回答書」に「支給要件を満たしています」という記載があることを確認する
  5. ハローワークの職業相談窓口で受講指導を受け、「短期訓練受講指導書」を受け取る
  6. 訓練を受講し、教育訓練修了証明書や領収書などの必要書類を受け取る

受講後の流れ

  1. 教育訓練の修了日の翌日から1カ月以内に必要書類をハローワークへ提出する
  2. 短期訓練受講費が支給される

受講後の申請に必要な書類は、以下のとおりです。

短期訓練受講費の申請に必要な書類

  • 雇用保険受給資格者証等
  • 教育訓練実施者が発行する「教育訓練修了証明書(短期訓練受講費)」
  • 教育訓練実施者が発行する教育訓練経費の「領収書」
  • 教育訓練経費等確認書(短期訓練受講費)
  • 教育訓練実施者が発行する「返還金明細書(短期訓練受講費)」(領収書を発行後、受講料の値引きなどにより、教育訓練経費の一部が返還された場合に限る)
  • 受講指導を行ったハローワークが発行する「短期訓練受講指導書」

教育訓練給付金の制度内容と支給条件・申請方法について解説

求職中のママの強い味方!求職活動関係役務利用費の支給条件と申請方法

求職活動関係役務利用費は、育児をしながら求職活動をする人を支援する制度ですが、具体的にどのような場合に支給されるのでしょうか。

ここでは、求職活動関係役務利用費の支給条件や申請方法、いくら貰えるのかを紹介します。

求職活動関係役務利用費の支給条件

求職活動関係役務利用費を受給するには、以下の条件すべてに該当する必要があります。

求職活動関係役務利用費支給の条件

  • 基本手当の受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者、日雇受給資格者のうちのいずれかであること
  • 対象となる求職活動または教育訓練を行ったこと
  • 対象となる子どものための保育サービスを利用したこと

それぞれの条件について説明します。

対象となる求職活動とは

ここでの「対象となる求職活動」は、「失業認定における求職活動」と同じだと考えて差し支えありません。
具体的には、以下のような活動が挙げられます。

  • 求人を出している会社で面接を受ける
  • 筆記試験を受ける
  • ハローワークや許可ある職業紹介事業者が行う職業相談や職業紹介などを利用する
  • 公的機関などが行う求職活動に関する指導を受ける
  • 個別相談が可能な企業説明会などに参加する

対象となる教育訓練とは

教育訓練は、ハローワークから推薦されたものだけでなく、教育訓練給付や短期訓練受講費の対象訓練から自分で選ぶこともできます。
対象となる教育訓練は、具体的には以下のとおりです。

  • ハローワークの指示・推薦による公共職業訓練
  • 就職支援計画に基づく求職者支援訓練
  • ハローワークの指導による各種養成施設
  • 教育訓練給付の対象訓練や短期訓練受講費の対象訓練

保育サービスとは

ここでの保育サービスは、幼稚園や保育園、認定こども園だけでなく、託児所などの一時預かり事業も対象になります

対象となる子どもとは

対象となる子どもには以下のような条件がありますが、自分の子どもを預けて求職活動や教育訓練を行っているのであれば、全く問題はありません

  • 法律上の親子関係に基づく子(養子も含む)
  • 特別養子縁組を成立させるために監護を受けている者
  • 養子縁組里親に委託されている者、養育里親に委託されている者

これらの条件に当てはまるか不安であれば、ハローワークに相談することをおすすめします。

求職活動関係役務利用費の支給額

求職活動関係役務利用費は、保育サービスの利用にかかった費用の80%を支給してもらえます。

ただし、求職活動は最大で15日、教育訓練は最大で60日という上限日数があるので注意が必要です。

それを踏まえて、実際に貰える金額の計算をしてみましょう。申請は、保育サービスが日払いの場合と月額の場合で2パターンあります。

日払いの場合

保育サービスが日払いの場合、実際に利用した保育サービスの利用料を申請します。
ただし、申請額には1日あたり8,000円という限度があるため、1日あたり6,400円までしか受け取れないので注意が必要です。

そのため、保育サービスに1日あたり9,000円かかったとしても、申請は8,000円で行わなければならず、貰える金額は1日あたり6,400円になります。

月額の場合

保育サービスが月額の場合、以下の式にあてはめて支給額を計算します。
月額費用 ÷ その月の暦日数 × 求職活動や教育訓練をした日数 × 80%

たとえば、6月に求職活動を8日間行い、月額60,000円を支払った場合の支給額は以下のとおりです。
60,000円 ÷ 30日 × 8日 × 80% = 12,800円

求職活動関係役務利用費の申請方法

求職活動関係役務利用費の申請は、実際に保育サービスを利用した後に行います。
申請に必要な書類は、以下のとおりです。これらの書類をまとめて、失業認定日にハローワークに提出します。

求職活動関係役務利用費申請に必要な書類

  • 求職活動支援費(求職活動関係役務利用費)支給申請書
  • 受給資格者証等
  • 保育等サービス事業者が発行する領収書
  • 保育等サービス事業者が発行する「保育等サービス利用証明書」
  • 保育等サービス事業者が発行する「返還金明細書」(利用料の返還があった場合のみ)
  • 面接証明書など、求職活動を行ったことを証明する書類(求職活動を行った場合)
  • 教育訓練受講証明書など、訓練を受講したことを証明する書類(教育訓練を受けた場合)
  • 対象となる子の氏名、本人との続柄を確認できる住民票記載事項証明書等
  • 保育等サービス利用費について、地方公共団体等の第3者から補助を受けた場合は、その額を証明する書類

求職活動支援費を活用して転職活動を進めよう

求職活動支援費は、なにかと出費がかさむ転職活動を支援してくれるありがたい制度です。

使用した費用の目的に応じて、広域求職活動費、短期訓練受講費、求職活動関係役務利用費と別れています。

自分が受給対象になるかもしれないと思ったら、条件をしっかり確認し、ぜひ有効活用してください。