あなたならどうする!?パートナーの突然の転勤

転勤は依然企業主導

2017年に厚生労働省所管の政府機関である独立法人労働政策研究・研修機構が従業員300人以上の1万社を対象に行った調査では、「正社員(総合職)のほとんどが転勤の可能性がある」と答えた企業は全体の33.7%、このうち、企業主導で転勤を決めたケースは79.7%でした。転勤を断るケースが増えたとは言え、企業側から持ち掛けるケースが圧倒的に多いことが分かります。

企業が転勤において家族等の事情を考慮した例は以下の図表の通りです。親の介護問題が目に付きますが、結婚、夫婦、子育て等にまつわる問題も多いことがわかります。

        引用元:独立法人労働政策研究・研修機構調査

転勤は就業者のライフプランの設計に困難をきたし継続就業の妨げになる、あるいは家族形成を阻害するとの指摘が調査結果でも述べられています。しかし現状の企業の人事システムでは企業側が常に考慮してくれるとは限りません。ここではある日突然「パートナーの転勤がやってきた!」ケースをいくつかご紹介し、このニュースを深掘りしてみます。

夫が転勤、会社を辞めてついていくのはもったいない?

読売新聞の人気口コミサイト「大手小町」に2019年7月10日、以下のようなお悩み相談が寄せられました。
夫が転勤、会社を辞めてついていくのはもったいない?

相談内容要約:

30代の5歳と2歳の子供がいる共働き夫婦です。夫が3年間地方に転勤になり、単身赴任してもらうか、正社員雇用の会社を辞めて付いていったほうがいい迷っています。夫婦どちらの実家も遠く、子供の面倒を見てくれる人もおらず、かわいい盛りの子供なので夫に付いて行きたいが、老後預金2000万といわれる状況では将来の収入減も心配です。職場は休職に理解がありますが、必ず戻れる保証はありません。家族で過ごす時間を優先させるか、会社員としての保障を優先すべきか悩んでいます。

パートナーの転勤でキャリアを中断されるケースはまだまだあり、共稼ぎ世帯にとっては深刻な問題です。正社員のキャリアを中断するとその後は派遣やパートになってしまうケースも多く、その後の世帯収入は大きく減ってしまいます。相談者のように子供2人ですとさらに将来の教育費の問題もあり、簡単には退職の決断をしにくい一面があります。

妻側の言い分、夫側の批判

同じような悩みを取り上げた記事が以下にあります。こちらの記事ではキャリアが中断してしまうことへの苛立ちや仕事を失った不安感、夫への不満を赤裸々にぶちまけています。
夫の海外赴任に帯同する妻は本当に恵まれているのか? ~置き去りにされている家族の心~ – 女性が日常で感じているモヤモヤ

何かと辛辣な批判コメントも多いBLOGOSでの記事ですが、その中でも男性側から寄せられた「夫婦で何を優先すべきかよく相談したのか」という冷静な指摘が印象に残ります。

妻のキャリアも優先するのなら思い切って家事代行サービスも視野に入れるべきという指摘も男性側からありました。家族の時間を優先すべきと判断したから赴任先に帯同したのではないかという批判もあります。

前述の読売新聞の相談も、相談者自身が「子供が幼い今の時期は家族の時間を優先したい」という決断をすでにしていたことが回答者のアドバイスを引き寄せました。

多様化する夫婦の働き方

1人だけの問題ではなくなった?

雇用の不安定化もあり、共働き世帯にとってパートナーのキャリアは決して軽視してよい問題ではありません。子供の教育費や老後に備えた預金もあり、将来に渡ってのリスクを管理する重大な問題になりつつあります。男性側も冷静にそれを認識しているように思えます。

そんな状況を踏まえ、子育て中の共稼ぎ夫婦をターゲットに創刊した日経DUALでは2019年7月19日付けの記事で以下の特集を組んでいます。

転勤がやってきた!ある4組の夫婦の例

共働きで海外転勤 夫婦4組の共通点とキャリア悩み
この記事では異なる立場の4組の夫婦が登場します。

  • 夫を残して海外に単身赴任する妻のケース
  • 仕事を辞めて夫とともに海外に移住する妻のケース
  • 夫が仕事を休職して妻に帯同して移住するケース
  • 後から妻や子供が夫を追いかけて移住するケース

どのケースにもそれぞれの悩みがあります。夫とともに海外に移住したケースでは壮絶な夫婦喧嘩を乗り越え、赴任先で大学に再入学、帰国後にキャリアを再形成しようと奮闘する姿が描かれます。

夫自身が休職して帯同したケースはもっと大変です。まず周囲の無理解と戦わなくてはなりません。夫の職場とは休職を巡る手続きの煩雑さに悩みます。何度も悩みながら、夫婦で話し合いを重ね赴任先のシンガポールで現地企業に就職し、柔軟にキャリアを発展させていく男性の姿が描かれます。

一旦は子供の教育もあり、妻が日本に残る決断をしたケースではワンオペ育児の大変さや家族が離れて暮らすことへのデメリットから妻が仕事を辞めて夫を追いかけて現地に移住するケースが描かれます。勝手の分からない現地での育児の大変さもありますが、夫婦共に協力してキャリアを形成して乗り越えようとする姿がレポートされます。

4組の夫婦に共通するのは懸命に変化に対応しようとする「柔軟さ」です。そしてパートナーや勤め先である企業ともよく相談しよりよいキャリア形成の為、周囲を巻き込もうとうする姿勢です。

転勤に対する企業側の意識の変化

では企業側は就業者の自助努力のみに頼っているのでしょうか?2017年3月13日の産経新聞(WEST版)では結婚、配偶者の転勤も怖くない…キャリア継続へ企業取り組みというタイトルで企業側の努力や工夫をレポートしています。

それによるとパートナーのどちらかが転勤になった場合、プライベートな事情も含めた中長期的なキャリア展望について、上司と定期的に対話することを推奨。業務上の必要性がなければ希望はかなえられないが、配偶者の勤務地でその人が活躍できる業務がないか企業側が検討し、退職や休職でキャリアを中断することがないよう考慮するとあります。

もちろん配偶者の海外赴任などに伴って休職できる「配偶者同行休業制度」を整える例もありますが、仕事を中断しないですむ方が理想的なのは言うまでもありません。

こうした企業努力の背景にあるのは「優秀な社員に長期的に働いてもらうために、プライベートも含めたキャリアプランが不可欠」との考えです。

世帯の変化

厚生労働省の調査では共働き世帯は20年で約1.5倍に増え、今後ますます増えていくことが予想されます。


引用元:独立法人労働政策研究・研修機構「専業主婦世帯と共働き世帯」

こうした環境の変化を踏まえ、就業者側だけでなく、企業側の努力も今後ますます求められるであろうことが予想されます。

Career Growth 編集部

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