実際のスライド作成時に気をつけるべき10の鉄則 |5分でプレゼンの達人

スライドの構想も、手描きのラフの作成も完了したら、ようやくパソコンの電源を入れてもOKです。
スライドのラフを描いてプレゼンの全体像を把握する|5分でプレゼンの達人
今回はスライド作成時の10の鉄則とエグゼクティブサマリーについて説明します。

いよいよ、パソコンの電源を入れてください

PowerPointやWord、そのほかプレゼンテーションの作成ソフトで資料を作ります。

ただし、下の図に示したような10個の鉄則を守って作成するようにしましょう。

「シンプル、絵で見せる、メッセージに適した表現を重視せよ」

どんなプレゼンでも資料はシンプルが一番です。

過剰な情報は、聞き手にとってはノイズであり、肝心の大事なポイントが頭に入ってきません。

詳細データが必要であれば、別紙で添付しましょう。
ノイズを減らすコツは、まず情報量そのものを減らすことです。

例えば、同じ内容を示す以下の文とフレーズを見比べてみてください。

「利用者が購入したときに、自動的にオススメ情報を配信するアクセスシステムを導入する」
「オススメ情報の自動配信」

上に書かれた長い文章スタイルのものより、強調したいキーワードだけを残した短いフレーズのほうが頭に入ってきます。

文章で解説すると冗長になってしまうものは、積極的に「図解」「アイコン」「写真」などに代替しましょう。

複雑なしくみや要素の関係性も、シンプルなアイコンと関係図にすることですうっと頭に入ってきます。

また、主観的な印象を長文を費やして表現するよりも、写真1枚、短いビデオ1本見たほうがより多くの情報を得ることもあります。

数値データも数字の羅列はNG。
数値が示す傾向やメッセージに一番ふさわしいグラフを選ぶべきです。

とにかく、メッセージを引き立たせるために、シンプルで直感的に理解できるスライドづくりを目指しましょう。

スライド作成時に気をつけたい10 の鉄則

スライド作成時に気を付けたい10の鉄則

決裁者は気が短く、せっかち

聞き手の中にはプレゼン内容に対して最終判断を下す決裁者が含まれている場合もあります。

こうしたディシジョンメイカーは、大変忙しく、時間に対してせっかちな人が多いのも事実。
途中で退席する可能性も十分ありますから、いざというときに手短に概要を伝える準備も大切です。

「エグゼクティブサマリー」とは?

投資家に事業計画をプレゼンする場合には、必ず、提案書の冒頭に「エグゼクティブサマリー」というシートをつけます。

これは文字どおり、「決裁者のための概要書」です。
本題で説明する内容を噛み砕き、要点だけを列挙した1ページの要約文です。

エグゼクティブサマリーの意義は短時間で要点を伝えることにあります。
聞き手が投資家でなくても、プレゼン全般に使える手法です。

また、プレゼン時間をはじめから短く設定し、1枚企画書で勝負する手もあります。

全体のまとめを1枚の図解で

エグゼクティブサマリーは本来、文章主体で表現するのが定石です。
けれど、私は一目で提案が理解できる図解プロットを使うこと強くオススメします。

どんな現実に対して、どのような提案があるのか。
その結果、どのような理想的未来が期待できるのか。
こういったプレゼンの骨子そのものがエグゼクティブサマリーで表現できればよいからです。

ビジネスでは結論から説明し、相手が興味を持ったら、さらに詳細を説明するのが鉄則。
まずは決裁者に興味を持ってもらうことが先決なのです。

その点で、図解プロットはエグゼクティブサマリーそのものなのです。

エグゼクティブサマリーとは?

経営者、決裁者は忙しく、なおかつ時間に対して厳しいもの。
こうしたエグゼクティブの「要するに、何なんだ?」という質問にしっかり答えられる準備が必要です。

コラム:なぜ、プレゼンの達人たちは「3」の魔術にこだわるのか?

ここから話が変わりますが、プレゼン技術向上に役立つトピックを紹介します。

これまで『プレゼンがうまい人の図解思考の技術』の記事をここまで読んできたあなた。
「なぜ、いつもトピックのドリルダウンは3つなんだろう?」と疑問に思ったかもしれません。

実は、これは結論の理由が3つあるからという理由ではありません。
最初から「結論の理由を3つピックアップしよう」と決めているからです。

では、なぜ3つなのか? その理由も3つあります(笑)。

理由1「反論の余地を残さない最低限必要な数が3だから」

人は何個の理由があれば、「これで十分」と考えるでしょうか?

ここに「ベイズの公式」というものがあります。

「ベイズの定理」とは確率論における重要定理の一つです。一般的な確率とは、未来にある事象が起こる期待度を数値化したものです。これとは逆に、既に起こったことから過去の原因の確率を導いていくのが「ベイズの定理」です。そして、この確率を説くときに使う公式が「ベイズの公式」です。

例えば、A回成功してB回失敗した後の次の1回の成功確率は、(A+1) / ( (A+1)+ (B+1) ) となるといいます。

これで計算すると、1つの証拠があり、次の証拠も同じ結論を裏づける可能性は66.6%。
2つなら75% 、3つなら80%です。

多ければ多いほうがよさそうですが、4つ目以降は、83.3%、85.7%と微増です。
つまり、3つの理由があれば8割方正しいということです。

これが、なるべく少ない証拠で、なおかつ高い正確率であるのは、3つという理由です。

理由2「人間の短期記憶に残せるフレーズが3つだから」

「Millerのマジカルナンバー7±2」と呼ばれる実験結果があります。

ジョージ・ミラーは「The Magical number seven, plus or minus two: some limits on our capacity for processing information」という論文の中で、一度聞いただけで直後に再生するような場合、日常的なことを対象にする限り記憶容量は7個前後になるということを示した。

この7個というのは情報量ではなく意味を持った「かたまり(チャンク)」の数のことで、数字のような情報量的に小さなものも、人の名前のように情報量的に大きな物も同じ程度、7個(個人差により±2の変動がある)しか覚えられないということを発表した。

引用:https://ja.wikipedia.org/?curid=171318

人間の短期記憶(ワーキングメモリ)には7つの数字しか入れられないということを実証しました。

そして、その後の実験で、数字であれば7つだが、文字だと6つ、単語だと5つであることがわかっています。

だとすれば、単語のコンビネーションである文章では、もっと少ないはずです。

この事も、聞き手の脳裏に刻み込むなら、3つ程度のフレーズでなければならないということを示しています。

理由3「プレゼンの達人たちは、3つに分割しているから」

スティーブ・ジョブズ(アップルCEO)、スティーブ・バルマー(マイクロソフトCEO)、元米国副大統領のアル・ゴアなどプレゼンの達人と呼ばれる人々がいます。

アップル元CEO スティーブ・ジョブズ氏のプレゼン

マイクロソフト元CEO スティーブ・バルマー氏のプレゼン(英語のみ)

元米国副大統領のアル・ゴア氏のプレゼン

プレゼンの達人たちは、必ずプレゼンのタイムラインを3章に分けています。

さらに彼らは、商品の特徴や抱えている課題を述べるときにも3つの特徴をピックアップして説明しています。

これは科学根拠というよりも、多くの成功事例が物語っているということなのです。
実際、私自身も、3つのポイントにまとめられた説明は聞いていて飽きないし、印象に残りやすいと感じます。

以上が、物事を分割したり、ドリルダウンする場合に、私が「3」を意識している理由です。

「3」を意識するには、日常的に何かのアクションを起こすときや、何かを判断するときに理由を3つ挙げる練習をしておくことです。

例えば、単に「ノドが乾いたからコーラ飲みたい」と思ったときに、あえて3つの理由付けをしてみてください。

● 理由1.ノドが乾いており、体が水分を欲している
● 理由2.近くにコンビニがあり、好きなコーラが置いてある
● 理由3.コーラを買うための金銭を手元に持っている

こんな屁理屈を言う人がいたらうっとうしいだけでしょう。
ですが、ことプレゼンにおいては、妥当な数(つまり、3つ)の論理的裏づけがあると、納得力が違います。

ぜひ、皆さんも3つの魔術を使いこなしてみてください。

参考図書

永田 豊志

株式会社ショーケース 代表取締役社長

永田豊志(Toyoshi Nagata)
知的生産研究家、株式会社ショーケース 共同創業者・代表取締役社長。

リクルートで新規事業開発を担当し、出版事業の立ち上げに参画。その後、コンピュータ系雑誌の編集長や、キャラクター版権管理ビジネス会社社長などを経て、2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケースを共同設立。

新規創業9年目で東証マザーズへ上場、その1年半後には東証一部へ上場。現在は、商品開発やM&Aなど経営全般に携わっている。

また、ライフワークとして、ビジネスパーソンの知的生産性研究に取り組んでおり、そのノウハウを広めるべく執筆活動や講演などを行う。