転職活動のゲームチェンジャー、アメリカでのソーシャルメディア事情を紹介

個人利用だけでなく、企業や団体の広告活動としても利用され、生活に必須のツールになったソーシャルメディア。「バズる」「インスタ映え」などの言葉も日常で使われるようになりました。

転職市場においても同様です。ソーシャルメディアを使うことで、企業は少ない時間と労力で情報を拡散させることができます。一方の求職者は希望の企業の最新情報をいち早く入手できるようになります。このように双方にメリットのある採用を可能にするのがソーシャルメディアの魅力です。

近年、日本においてもそのメリットが認められ「ソーシャルリクルーティング」という言葉が注目されています。

ソーシャルリクルーティングの先進国であるアメリカでは、ソーシャルメディアこそが、転職におけるゲームチェンジャーであると言われています。

本記事では、アメリカでの転職希望者が活用するソーシャメディアの種類や活用方法などを紹介します。

日本においても、転職のチャンスを拡大させるヒントになるはずです。

転職活動の基盤づくりのツールからシームレスな採用を実現するツールへと変化

アメリカにおける転職活動に最も必要な要素は、人脈づくりだといわれています。

アメリカ労働省労働統計局の報告によると、全求人の70%が紹介による採用であるという調査結果が出ています。

さらに、米国人材マネジメント協会の調査に対し、84%の企業が採用ツールとして現在ソーシャルメディアを使用していると答え、さらに9%がその使用を検討していると回答しました。

従来、企業が採用にソーシャルメディアを使用していた一番の理由は、実際には転職活動をしていない、魅力的な人材にアプローチすることでした。

しかし現在では、企業は募集をソーシャルメディア上で投稿し、その募集に求職者が応募します。転職活動のすべてのプロセスがメディア上で完結することもありうるのです。

また、ソーシャルメディアを活用することで、転職後のキャリア形成において、自分自身のブランド価値や業界での存在感を戦略的に高めることができるという考え方も定着しつつあります。

転職に使えるソーシャルメディア、各サイトを紹介

ソーシャルメディアと言っても、その種類はさまざまです。ここでは、アメリカの転職で一般的に活用されているソーシャルメディアの種類と得意分野などを見ていきます。

世界最大規模のビジネス用ソーシャルメディア。転職に必須のLinkedIn(リンクトイン)

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LinkedInは、世界最大級のビジネス特化型SNS、および同サービスを提供するシリコンバレーの企業。
引用:Wikipedia|LinkedIn

日本では普及が進んでいないものの、アメリカで転職に活用されているソーシャルメディアの筆頭と言えば、LinkedInです。フォーチュン誌が選ぶ全米トップ企業500社の98%がこのLinkedInを活用しています。
フォーチュン誌が選ぶトップ企業500社のソーシャルメディア利用状況

フォーチュン500(Fortune 500)は、アメリカ合衆国のフォーチュン誌が年1回編集・発行するリストの1つである。全米上位500社がその総収入に基づきランキングされる(ただし、物品税の影響等を排除するため、多くの企業の収入は修正されている)。収入が公開されているすべての企業がランキング対象となり、これは「証券取引所で取引される普通株を所有する企業」と広く理解されている「公開会社」(public company)よりも範囲は大きい。
引用:Wikipedia|フォーチュン500

LinkedInは手間や時間をかけずに、魅力的なプロフィールの作成、人脈の構築、自己アピールができる機能が搭載されたサービスです。

サイト内を検索することで、企業の募集情報を得ることができます。

自分が希望する業界のグループに参加し、会話に積極的に参加すれば、存在感をアピールし、希望の転職の足掛かりにもなります。

さらに、ユーザー数が多いことから、希望の企業の募集担当である同窓生を探し転職につなげるなど、使い方は様々です。

日本では馴染みの少ないLinkedIn。2019年5月末現在、6億3000万人の登録者を有し(Omnicore社データより)、世界的にビジネス系ソーシャルメディアのトップに君臨しているのが、LinkedInなのです。世界200の国と地域で利用されています。日本でも楽天やパナソニックなどの企業が採用ツールとして使用し、成果を上げています。グローバルに展開する企業への転職のヒントを求めるのなら、得られる情報は多いはずです。

求人機能の追加で進化。職探しのヘルプもしてくれるFacebook

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Facebook(フェイスブック、FB)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州メンローパークに本社を置くFacebook, Inc.が運営する世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)である。Facebook, Inc.はアメリカ合衆国の主要なIT企業であり、GAFA、FAANGの一つで、FacebookのほかInstagramやMessenger、WhatsAppを提供している。
引用:Wikipedia|Facebook

Jobvite社の調査によると、65%の企業が採用関連業務にFacebookを利用しています。アメリカ・カナダ版では2017年2月に追加された求人機能により、企業側はFacebookの企業ページや特定のページに直接募集広告を投稿することができるようになりました。転職希望者はFacebookから即座に応募することもできます。

Facebookの活用で注目すべきは、職探しのヘルプをFacebook自体がしてくれるということです。自分の希望の分野のポジションを検索すると、そのあとはFacebookが自動的に興味に合う可能性のあるポジションを提示してくれるのです。

アメリカではLinkedInに次いで一般的なのが、Facebookを活用した転職。日本版でも求人機能の追加に伴い、一時的には注目を集めたものの、現在では落ち着きを見せているようです。本名で利用をするのがFacebookの特徴です。在職中の転職希望者は、現職の関係者が内容を閲覧する可能性もあるということをお忘れなく。

企業の最新動向も把握できる、最強の自己ブランディングツールInstagram

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Instagram(インスタグラム)は、Facebook, Incが提供している無料の写真共有アプリケーション。日本では略して「インスタ」とも呼ばれることもある。Facebookとの連携機能に強みがあり、利用者データの共有やFacebookと同じターゲット広告の仕組みを持つ。
引用:Wikipedia|Instagram

Instagramはその性質から、個人のブランド価値を構築するのに最適なツールです。もちろん、企業も同様です。

企業のブランドアピールのために最新の企業イベントなどをリアルタイムで投稿しています。

よって、転職者にとってInstagramは、個人の自己アピールを行いつつ、希望する企業の内情や動向を効率的に知ることができるツールであると言えます。

Instagramを転職活動に活用する例を挙げてみます。

マッサージセラピストとして、企業専属ポジションへの転職を希望しているとします。

Instagramで、社内の福利厚生としてマッサージ室を設けている、また、従業員向けにマッサージキャンペーンを行っている企業を見つけることができました。

そうなれば、その企業が転職先候補となり得るのです。

論文などの文字情報のみなりがちな専門的研究プロジェクトも、視覚的な面から確認することができるのもInstagramの特徴です。

日本ではInstagramを使った転職活動は、未だ発展途上といえるでしょう。けれど、そのメリットと特徴を理解すれば、転職者は自己アピールとして活用できそうです。

履歴書を提出せずに人事担当者と会話ができる。人脈構築に最適のTwitter

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Twitter(ツイッター)は、アメリカ合衆国・カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置くTwitter, Inc.のソーシャル・ネットワーキング・サービス。「ツイート」と呼ばれる半角280文字(日本語・中国語・韓国語は全角140文字)以内のメッセージや画像、動画、URLを投稿できる。
引用:Wikipedia|Twitter

自分の専門分野で関心を集める情報を投稿し、プロフェッショナルとしてのブランド価値を高めるためにも使われているのがTwitterです。

流動性のあるコミュニケーションであり、企業の採用者や人事担当者とも、レジュメの提出といった正式な流れの中ではなく、直接会話ができるという利点があります。

希望業界で#recruitersなどのキーワードで検索すれば、最新の採用情報を見つけることができます。

一方でTwitterは良質な人脈構築ツールにもなります。ブログやLinkedInのアカウントをリンクさせることも可能です。

さらに、投稿内容や会話などで、専門性を示し確固たる地位を確立することができれば、企業の採用担当者やリクルーターの印象に残ることにもなるでしょう。

匿名で投稿が可能、また投稿の炎上に対する配慮からも、日本では転職に活用されていない印象のTwitter。Instagram同様、企業の最新情報の閲覧には優秀なツールです。うまく活用すれば、日本でも転職活動を有利に運ぶことができるはずです。

ビデオを使って最短、最速の自己アピールが可能なYoutube

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YouTube(ユーチューブ)は、アメリカ合衆国・カリフォルニア州サンブルーノに本社を置く世界最大の動画共有サービス。Youは「あなた」、Tubeは「ブラウン管(テレビ)」という意味である。
引用:Wikipedia|YouTube

作品や業績の映像サンプルを公開し、実績をアピールするだけでなく、転職活動に必要なコミュニケーションスキルや個性を表現することができるのがYoutubeです。音楽家、俳優、教師、コンサルタント、トレーナーなどの職種では、すでに活用されてきました。

自分のペルソナやキャリアに関連するスキルを示すためのプロフィールビデオの投稿すれば、あらゆる業種で使えるツールにもなります。

例えば、最短のプレゼンとも称される「エレベーターピッチ」で、自分の希望や希望する業界に向けた自己アピールや、自分が関わった研究やプロジェクトについて簡単な説明を動画にすることもできます。

「エレベーターピッチ」は直訳すると、「エレベーターで強力に売り込む」という意味。シリコンバレーでは、エレベーターの中で投資家と出会った起業家は、目的の階までの数十秒間で自社のプロジェクトを売り込むといわれています。『エレベーターが着くまでの短い時間で、的確に要点を伝えられなければ、未来はない』とされるほど、成功には『短く効果的に話すこと』が必須条件なのです。
引用:https://furikake.doda.jp/article/2018/09/10/110.html

Youtubeの利点は、10億を超えるユーザーに向けた宣伝活動を行うことです。

求職者はYoutube上に企業の注目を得るためのビデオを投稿することもできますし、LinkedInやFacebookなどの他のソーシャルメディアへのリンクをビデオにつけることもできます。

日本でも、企業イメージ向上のために、動画を作成することは一般的になってきました。個人の動画制作はYoutuberというイメージが定着し、一般的には転職者のツールとはとらえられてはいません。今後はデジタルネイティブとなるミレニアル世代がビジネスの中心になりつつあります。転職希望の個人がYoutube動画でビジュアルレジュメなどを制作し、自己アピールとして使用するといった流れも定着するかもしれません。

米国で、2000年代に成人あるいは社会人になる世代。1980年代から2000年代初頭までに生まれた人をいうことが多く、ベビーブーマーの子世代にあたるY世代やデジタルネイティブと呼ばれる世代と重なる。
引用:コトバンク|ミレニアル世代

女性関連業界を希望するならPinterestを要チェック

Pinterest(ピンタレスト)は、ピンボード風の写真共有ウェブサイトでユーザーはイベントや興味のあること、趣味などテーマ別の画像コレクションを作成し管理することができる。また、他のピンボードを閲覧して自身のコレクションか「好み」の写真として画像を「リピン」することもできる。アイオワ州ウェストデモインのベン・シルバーマン、ポール・シャッラ、エバン・シャープが創設し、カリフォルニア州サンフランシスコに本拠を置くPinterest, Inc.が運営、インベンターと投資家の小規模集団が出資したCold Brew Labsが管理している。
引用:Wikipwdia|Pinterest

ピンタレストは月間2億5000万人のアクティブユーザーを獲得しているソーシャルメディアサイトです。

インテリアデザイナー、アーティスト、グラフィックデザイナーなどの職種にとっては自分のビジュアル作品を投稿し、アピールするのに活用されています。

特に女性に好まれているのが特徴で、女性向けに特化したサービスを提供する企業が、最大の恩恵を受けているソーシャルメディアです。

Pintererst自体、日本では認知度も低く、あくまで個人ユーザーの交流としての使用にとどまっているようです。前述ような、デザイン系職種の転職希望者が、ビジュアル的なヒントを得たりセンスを磨くという点で、Pinterestは参考になるサービスであると言えるでしょう。

ソーシャルメディアを効果的に活用するための注意点

転職希望者にとって、ソーシャルメディアは将来の雇用主との素晴らしいコネクションを築くツールです。

上手に活用すれば、恩恵を受けられますが、その使い方には注意も必要です。ソーシャルメディア活用時の効果的な使い方や注意点も見ていきましょう。

すべてのメディアを通じて、大切なのは「アクティブユーザーでいること」です。

LinkedInでは、更新のないユーザーではなく、頻繁に更新しているユーザーを優先する傾向があります。

自分自身のプロフィールに職歴、学歴、職種に関連するスキルのすべてが完全に反映されているか確認を忘れず、こまめな更新を心がけてください。

また、アメリカ国内のすべての業界が同じようにソーシャルメディアに関心があるとは言えないようです。

GetGoodGrade社によると、広報やコミュニケーション関連の募集企業が、企業のソーシャルメディア利用を最も高く評価しており、82%が重要であると認識しています。

一方、交通や建設関連企業は、ソーシャルメディア経由の採用は特殊なものであり、重要と考えている企業は13~14%程度にとどまっています。

やみくもにソーシャルメディアの活用を考えるのではなく、自分の希望の業界・業種に合う転職活動を行うべきだと示していると言えます。

ソーシャルメディアはあくまでツール。自分に合った転職活動を

現在、米国では当たり前となったソーシャルメディア上での転職活動。

この背景には、紹介による転職が多かったこと、採用にあたってはリファレンス(元上司・同僚からの推薦状)が必要であった事があります。

そのため、紹介や推薦をリアルタイムかつアクティブにできる、ソーシャルメディアが転職成功のカギを握るツールになったのです。

GAFAやFANGと呼ばれるグローバルに展開する巨大企業や、非上場の巨大ベンチャーとなるユニコーン企業など、競争率の高い人気企業への転職を希望する場合は特に、転職事例の収集や社員とのコネクションは最も重要な要素の一つです。

GAFA(ガーファ)は、アメリカ合衆国に本拠を置く、Google、Amazon.com、Facebook、Apple Inc. の4つの主要IT企業の頭文字を取って総称する呼称である。
引用:Wikipedia|GAFA

FANG(ファング)は、2015年頃から米国の株式市場で使われるようになった、巨大ネット(ハイテク)銘柄群のことをいいます。これは、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を提供する「Facebook(フェイスブック)」、世界最大のネット通販(電子商取引)を運営する「Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)」、世界最大の動画配信サービスを提供する「Netflix(ネットフリックス)」、検索エンジンやクラウドなどを提供する「グーグル(Google)」の4社の頭文字をつないだ呼称(造語)となっています。
引用:https://www.ifinance.ne.jp/glossary/stock/sto044.html

ユニコーン企業は、評価額が10億ドル以上の未上場のスタートアップ企業。「創業10年以内」「評価額10億ドル以上」「未上場」「テクノロジー企業」といった4つの条件を兼ね備えた企業を指す。
引用:Wikipedia| ユニコーン企業

ソーシャルメディアなしでの人脈構築は時間やタイミングのロスにつながる可能性もあります。この点が、転職活動におけるソーシャルメディア利用の最大の利点と言えるでしょう。

さらに、最新情報に敏感になること、自己のブランド価値を高めることは、ソーシャルメディア上に限らず、キャリア形成にも必要な要素です。
限られた文字数のプロフィール欄で自分をどうやって表現するかなど、ソーシャルメディア上のアピールに必要な内容を検討することが、自己分析にもつながると言えます。

また、Lineの機能で求人も可能なLine@など、日本でも独自の進化を遂げているサービスも知っておくと良いでしょう。

単に希望だけでなく、普段自分が使用しているソーシャルメディアを生かして、自分のライフスタイルにあった転職方法を見つけられるかもしれません。

それぞれのソーシャルメディアの特徴を知り、自分に合うツールを選ぶことで、賢く有利に転職活動を進めていきましょう。

参照記事
https://www.letseatgrandma.com/blog/getting-hired-using-social-media/
https://www.shrm.org/hr-today/trends-and-forecasting/research-and-surveys/pages/social-media-recruiting-screening-2015.aspx
https://www.thebalancecareers.com/best-social-media-sites-for-job-searching-2062617
https://knockemdead.com/how-1st-time-job-seekers-can-build-networking-mentor-relationships/
https://www.omnicoreagency.com/linkedin-statistics/
https://www.umassd.edu/cmr/social-media-research/2018-fortune-500/
https://www.slideshare.net/linkedinjapan/rakuten-lts-casefinal
https://www.slideshare.net/linkedinjapan/freee-66754476
https://www.slideshare.net/linkedinjapan/panasonic-case-study20140301
https://www.monster.ca/career-advice/article/youtube-tips-for-seekers-ca