事業構造の転換に向けた黒字リストラが続く|キャリアニュース

事業構造の転換に向けた黒字リストラが続く

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コンビニ業界は2018年あたりまで、店舗の増加による事業拡大をはかってきました。

そして2019年からは店舗数の増加について、大手コンビニ3社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン)は従来の拡大路線から、やや鈍化していく方向へと舵を切りました。

そのような状況下でファミリーマートが800人の希望退職者を募集。それに1,111人が応募する結果となりました。

それは、コンビニ業界の経営環境における重要な変化、そして雇用における重要な変化を示す出来事です。

ファミマ、1千人が希望退職 7割が現場の店舗指導員

コンビニ大手のファミリーマートは19日、非正規社員を含む約7千人の社員のうち1025人が3月末で希望退職すると発表した。約7割は店舗指導員など現場の社員だという。

ファミマは2月3日から7日の間に800人の退職者を募集し、1111人が応募した。そのうち86人は業務継続に影響があるとして、制度を利用した退職を認めず、引き留めたという。退職するのは正社員924人、定年後に嘱託職員として働く非正規社員101人。
続きはーファミマ、1千人が希望退職 7割が現場の店舗指導員|朝日新聞

ファミリーマートの黒字リストラ

ファミリーマートには非正規を含む約7,000人の社員がいました。そのうち800人の希望退職ということは1割以上の削減ということになります。

サークルKサンクスと合併した後、不採算店舗を閉店していき、18,200以上あった店舗が16,552店に減少していました。

店舗が減少すると各店舗を担当するスーパーバイザーの人員がその分だけ不要になります。

それが今回行われた希望退職者募集の直接的な要因です。このニュース記事にもあるように退職者の7割が“現場で働く店舗指導員など”と報じられています。

不採算店舗の閉店や希望退職者の募集は、いわゆるリストラの動きです。

ファミリーマートのここ3年間のリストラの動きを追ってみると、まず2018年度に不採算店舗を整理し店舗数が大きく減少します。

2019年度には出店数が増加したが、結果としては大手コンビニ3社の中でファミリーマートだけが9%減少しています。

業績は営業利益5250億円(前期比14.9%減)、税引前利益600億円、当期利益500億円(10.2%増)を見込んでおり、営業利益が気になるものの黒字を確保する見通しであることがわかります。

そして、11.4%の人員削減を計画して希望退職を募ったところ、それを上回る応募があり、むしろ引き留める場面があったという流れです。

コンビニ業界の現状、黒字でのリストラ、募った以上の希望退職者、雇用の今を象徴する出来事と考えられます。

バブル経済崩壊、リーマンショック以後の雇用環境の変遷

終身雇用制度は昭和の高度経済成長に支えられて日本での雇用の基盤となっていました。

しかし、バブル経済崩壊からリストラが盛んに行われるようになり、リーマンショックなどの不況に見舞われるたびにリストラが一般的な経営判断として受け入れられるようになってきます。

そして、赤字で今後の見通しが厳しいなら、当然行うべき経営手法という認識が広まりました。

しかし、それは“業績悪化によるやむなき判断”であるべきもので、不採算部門が業績の足を引っ張り大きな赤字となっているなどの正当な理由が必要でした。

今の日本は経営組織への通念が次第に変化し、終身雇用制度は過去の遺物となりつつあります。言い換えれば“一度雇用した従業員を簡単に手放す時代”となっているわけです。

「ある企業で希望退職者を募っている」というニュースを頻繁に目にするようになります。

企業側だけの変化ではなく、被雇用者にも意識の変化があります。中途採用を行う企業が増えた影響もあり、転職は特殊なことではなくなりました。

まだまだ終身雇用の概念が根強く残っている時代には、希望退職者募集に応じる社員が少なくてリストラを実施するのに苦労が伴いましたが、転職が一般的になるにしたがって希望退職に応じる社員が増えています。

希望退職に退職金の増額など良い条件を出せば、「転職するには絶好のチャンス」ととらえる社員もいるわけです。

このような状況はリストラを実施しやすい社会環境といえるでしょう。

そして、黒字でも収益力強化や事業の効率化を目的にリストラを実施する“黒字リストラ”がみられるようになりました。

日本型雇用から欧米型雇用への変化と迷い

ファミリーマートが実施した今回の人員削減は黒字リストラです。そして予定を上回る数の社員が希望退職に応じました。

これは日本型の雇用から欧米型の雇用への変化が進んできたことを象徴しているといえるでしょう。

そしてこのような動きにはメリットがあります。企業がリストラをするということは、企業側にとって不要な人件費を削減できるだけではなく、従業員にとっても「その企業は今後厳しい」と見るサインになります。伸びしろがあり社員を募集している企業へ転職する方が合理的と言えるでしょう。

またデメリットとして、企業側には能力の高い社員などやめてほしくない社員も退職してしまうリスクがあり、従業員側には、退職は簡単だが次の就職はどうかというリスクがあります。

そして、さらにそのようなリスクを大きくしてしまう問題が存在します。

それはこういった雇用環境の変化は過渡期にあり、その印象だけはかなり先行しているものの、実態はまだ不慣れな部分があるということです。

転職やリストラなんて珍しくないと思いながら、終身雇用の感覚を引きずっている状況ともいえます。

例えば、採用する企業の側は「ずっと働いてくれる信頼性の高い人を望むけどすぐリストラする」という、即戦力が欲しいのか終身雇用をしたいのか迷いのある採用活動をしている状況があります。

また、転職する側はキャリアを積んでいく戦略を必ず持って転職しているともいえない状況です。このようにそれぞれが模索している段階が続いていると考えられます。

特にこれから転職しようと望んでいるなら、自分自身だけでなく企業の採用担当者もこのような動きに不慣れである可能性を考慮しておくべきでしょう。

日本全体がこのような変化に十分慣れてはいないとみられるからです。

この記事のライター

  • B.Walk
  • 男性・45歳
  • ライター