リストラの言い訳を与えたコロナウイルス、禍根残すの必至|キャリアニュース

リストラの言い訳を与えたコロナウイルス、禍根残すの必至
免税店の運営会社として知られるラオックスグループは、2020年2月14日の取締役会で、グループ全体で140人の希望退職者を募集することを決定した。
新型コロナウイルスによるインバウンド需要の減少を見越して事業形態の転換を早めるため決断に踏み切った。
ラオックスグループは2019年12月期の決算において36億8,400万円の経常損失を計上している。
ラオックスが希望退職者募集、新型肺炎流行で中国観光客依存の事業体制見直しへ
ラオックスグループが、2月14日の今日開催した取締役会において、希望退職者の募集を行うことを決定した。募集人数はラオックスが約140人、子会社のシャディは約20人で、退職日は3月31日。
今回の募集の背景についてラオックスグループは、中国での新型コロナウイルスの発生と拡大により、インバウンド事業の主要顧客である中国からの訪日旅行客数が減少していることで業績への悪影響を懸念。中国からの訪日観光客に依存する体制からの転換が必要と判断し、新たな事業体制の構築に向けた組織・人員の見直しを図るという。
新型コロナが事業構造改革に水を指す
ラオックスグループは、その売上の多くを、国内の免税店の売上(インバウンド事業)と海外との貿易(グローバル事業)に頼っている。
この2つの事業は、2019年のラオックスグループの売上のうち約半分を占めている。
参考:https://www.laox.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2020/02/release_20200214_tanshin_jp.pdf
グループは、この2つの事業の他にも事業の柱を育てるべく、2019年は新たに百貨店やショッピングモールへのテナント出店、中国における日本食レストランの展開などの新規事業にも取り組んできた。
2019年12月期の決算における損失の多くは、不採算の事業の整理や新規事業の出店にかかる一時費用などが占める。
事業構造の転換を推進する新規事業が未だ投資段階にある中、追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスである。
2020年2月現在、ラオックスグループの主要顧客である中国は、新型コロナウイルスとの戦いの最中にある。
中国から日本向けの団体旅行は禁止され、日本の観光産業における損失は1,400億円に及ぶとされている。
この影響により、ラオックスグループは当初の想定よりも早急に事業の構造改革を行う必要に迫られたのである。
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まさに会社の新しい曲がり角にあったところに、新型コロナウイルスの影響をもろに受けてしまったラオックスグループ。
しかし、今後現れる経済への影響はこれに留まらない。
NHKが2020年2月7日〜14日にかけて行った主要企業100社を対象としたアンケートでは、27%の企業がすでに影響を受けていると回答した。
参考:http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/421212.html
JETROが実施した調査によると、回答のあった93%の企業から業績へのマイナス影響があると回答。
また、54%の企業がサプライチェーンへの影響がすでに及んでいると回答している。
新型コロナによる「雇い止め」リスクも
日本においても毎日のように新型コロナウイルスの感染者数が増す中、経済においても悪影響を強めている。
まず煽りを受けたのは、観光産業である。
宿泊業や観光需要に頼る飲食店などは、すでに売上減に直面している。
そして、2020年2月現在、アップルを始めとした製造・小売業にもその影響が及びつつある。
製造業への影響が及んだ際最も恐ろしいのが「雇い止め」のリスクである。
国内では、日産自動車が生産ラインを一時停止することが報じされていた。
自動車工場などの生産ラインでの製造業務に従事する人の多くが、雇用期間を定めて雇用される期間工である。
新型コロナウイルスの影響により生産能力の低下や景気の後退が起こった場合、期間工の契約を更新しない雇い止めが増加するリスクがある。
期間工をはじめとする非正規雇用労働者の契約打ち切りは、リーマンショックなど景気悪化の度に問題となってきた。
GDPのマイナス成長が報じされる中、コロナウイルスによる混乱が加速してしまうと、非正規雇用労働者の雇用が再び失われる可能性がある。
冒頭ご紹介したラオックスグループの希望退職募集のニュースは、新型コロナウイルスが雇用に及ぼす危機的状況の現れである。
新型コロナウイルスの影響が長期化すれば、今後より多くの企業が雇用を維持できなくなり景気の減退を加速する恐れがある。
この記事のライター
- へこすけ
- 男性・31歳
- 会社員