「高年齢者雇用安定法」の閣議決定で何が変わるのか|キャリアニュース

「高年齢者雇用安定法」の閣議決定で何が変わるのか

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「高年齢者雇用安定法」は正式名称を「高年齢者等の雇用の促進に関する法律」といい、すべての高齢者が年金を受け取れる年齢になるまで本人のやる気とスキルに応じて働き続けられるような社会を制定するために作られた法律です。

このニュースでは、現在の「高年齢雇用安定法」と改正案の違いについて、元々3つであった項目が改正案では4つ増えて7項目になることが記されています。

また、改正案が実施されるメリット・デメリットについても述べています。

「高年齢者雇用安定法」改正閣議決定 70歳定年が生活にどう影響するか

昨年から時々話題になっていた定年を70歳まで延長させる「高年齢者雇用安定法」の改正案が2月4日に閣議決定されました。

メリットやデメリットとしてどのようなことが考えられるのでしょうか?

50代・60代の方々だけでなく、全世代に影響することはないのでしょうか?
続きはー「高年齢者雇用安定法」改正閣議決定 70歳定年が生活にどう影響するか|Yahoo!ニュース

進む少子高齢化に対応するために

「高年齢者雇用安定法」改正案が閣議決定され、政府が70歳雇用を推進する背景には、少子高齢化の進展による労働者不足の問題があります。

総務省統計局のデータでは、令和2年1月1日現在の日本の総人口の概算値は1億2602万人で前年同月に比べ30万人減少しており、ピーク時の2008年12月の総人口1億2810万人と比べると208万人も減少しています。

近年の日本では、結婚する年齢が上がったことで晩婚化が進み、第2子、第3子を出産する人が少なくなったために合計特殊出生率が低下しているため、今後も人口が減り続け、2065年には8808万人にまで減少すると予想されています。

一方、人口減少に反して、労働力人口は2013年以降増加していますが、それは女性や高齢者の労働市場への参加が増えたことによるもので、15歳~64歳の生産年齢人口は著しく減っています。

また、社会保障を持続させる目的もあります。高齢者人口がピークに達すると予想される2040年には、高齢者4000万人に対し、社会保障給付費が190兆円にも達すると推計されています。

しかし、現状のままでは、主な給付対象である高齢者の増加に対して、社会保証制度を支えている生産年齢人口が減少しているため、社会保障制度を維持することが難しくなります。

このような背景があり、政府は定年延長を推進し、労働力の確保や社会保障財政の安定化を目指しているのです。

年功序列賃金制度の崩壊

野村総合研究所グループのNRI社会情報システムによる就業意識調査によると、正社員・パート・嘱託として働く55歳から64歳のシニア世代は平均して70歳まで働きたいと答えています。

政府も現状では年金財政を維持することが困難であるため、年金支給開始年齢を70歳まで遅らせたい考えです。

そのために、政府は企業に定年を70歳まで延長するように要請しているのです。

しかし、雇用延長は企業に人件費の増加をもたらすため、年功序列賃金を維持したまま雇用延長することを企業が認めるはずがありません。

70歳定年制を採用する場合、賃金カーブのピークは現状の50代前半から40代に移り、それ以降の給与水準は下がることになります。

また、社内に高齢雇用を処遇するポストがないために、高齢者は本社より給与の低い子会社や関連会社へ出向する可能性もあります。

そうすることで、たとえ70歳定年制を採用したとしても、企業の総人件費は増えないのです。

また、「高年齢者雇用安定法」には、「定年制の廃止」「定年の引き上げ」「継続雇用制度」の3つの選択肢がありますが、8割に近い企業が「継続雇用制度」を導入している現実があります。

一旦、雇用契約を終了させた後に、新しい条件、即ち以前よりもやすい給与で労働者を再雇用するのです。

終身雇用制と年功序列賃金のおかげで、日本人は結婚や子供の教育、住宅ローンなどの計画を立て生活してきましたが、これらのシステムを維持していくのは最早無理だと言われています。

高齢化社会に向けてすべきこと

70歳定年制度が採用されることにより年功序列賃金制度がなくなると、高齢者が低い賃金水準で働く可能性が出てきます。

「高年齢者雇用安定法」の改正案の施行により高齢者が労働市場で以前よりも長く活躍するようになっても、賃金水準が低くては高齢者の生活の質を高めることはできません。

また、低い賃金水準は高齢者の働く意欲の低下を招き、職場の生産性にも影響を及ぼすことが懸念されます。

今後、企業は段階的に定年を引き上げながら、賃金水準をゆるやかに調整していくことになることが予想されますが、「同一労働同一賃金の原則」を高齢者にも適用し、高齢者が年齢を理由に労働市場で差別されないような制度や意識改革を実践していく必要があります。

また、高齢者は、体力や視力、聴力などの低下が顕著になってくるため、多様な職種や職務、働き方の選択肢を得ることができるようにすべきです。

そのために、人事管理や人事評価制度の整備を推進して、高齢者が働くことに適した環境を作る必要があります。

そして、労働者は高齢になって初めて職種・職務・働き方について直面するのではなく、若いうちから高齢期のキャリアについて考えるべきであり、企業も高齢期のキャリア形成を支援する制度を整えなければいけません。

今回の定年延長は年金支給開始年齢を遅らせたいという政府の都合ですが、これからの日本社会は働く人の意思の尊重を追及していかなければいけません。

高齢者が働きやすい環境を整備し、海外のように定年制を廃止して、働きたい人はいつまでも働くことができる社会の実現を政府に強く求めます。

この記事のライター

  • M
  • 女性・42歳
  • 自営業