国策なきグローバル経済で製造業は不況のママ|キャリアニュース

国策なきグローバル経済で製造業は不況のママ

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一企業の業績が地方の雇用と地域経済を揺さぶってしまう事態は、今に始まったことではありません。これは、2020年オリンピックを目の前にしての好景気、人手不足が叫ばれる中で起こった印象的な出来事です。

大手企業の日本製鉄は業績が厳しく、決算では4,900億円の損失を計上する結果となりました。

そこで経営の効率化を図り、国内の工場の一部休止を決定することになります。

そして、その工場に地域の経済や雇用を大きく依存していた地方の市町村からは、当然のことながら不安の声があがります。

日本製鉄・和歌山の高炉休止 地域経済や雇用に影響懸念

日本製鉄が全国各地の組織を大規模再編し、和歌山製鉄所(和歌山市)の高炉1基を令和4年9月末までをめどに休止すると発表したことを受け、和歌山県内では地域経済や雇用などへの影響が懸念されている。自治体は早急に影響を抑える対策に乗り出す方針だが、一部の協力会社などからは不安の声も聞かれた。
続きはー日本製鉄・和歌山の高炉休止 地域経済や雇用に影響懸念|産経新聞

グローバル経済の中の浮き沈み

日本国内では、円安と観光庁による訪日外国人旅行者増加への政策でインバウンド需要が高まり、地方の観光地も含めて好景気が続いてきました。

マクロ経済も順調で、IT関連のイノベーションが景気をけん引する形で、新たなサービスや需要が生み出されつつ好景気が続いています。

しかし鉄鋼に関しての経営環境は決して良いとは言えず、鉄鋼の価格の低迷と燃料価格の上昇で利益が低下する状況です。

日本製鉄の和歌山製鉄所が建設されたのは昭和17年。以来、最大で年間900万トン以上生産する時期がありましたが、現在では年間400万トンほどに落ちてきています。

さらに、海外での競合激化が加わり、日本製鉄にとって厳しい環境が続き、このままでは今後経営状態の好転は見込めないと予想されます。

さらに設備が老朽化しているため、思い切った対策を講じる必要に迫られました。

地域経済・雇用と企業の存在

製鉄所には、そこで働く従業員がいます。また、関連施設や製鉄所に依存した事業者も含めて、その地域の雇用に少なからず影響を与えます。

関連事業者や住民から不安の声があがり、和歌山県や和歌山市など自治体は、情報収取や操業休止の取りやめを要請するなど対応に追われました。

日本製鉄の和歌山製鉄所は全てではなく第1高炉、第3連続鋳造機の一部設備、第4・第5コークス炉、第5-1焼結機と限定的で、雇用への影響は500人程度を見る向きもあります。

和歌山県内の他の企業には人手不足のところもあり、雇用の減少分の受け皿は十分あるとの見方も含めて、情報発信などの対応策がとられる見込みです。

ところで、地方の経済状況は、そこに所在する企業に左右される面が大きいものです。

1956年財政再建団体となった大阪府茨木市は、盛んに企業誘致を進め財政の健全化と、大阪府下でも有数のベッドタウンへと発展を遂げています。

日本の大手企業が工場や大型事業所などを茨木市内に設け、大阪市や京都市への通勤圏でありながら、市内にも雇用が多く、比較的豊かな街でした。

そして、グローバル経済の中、リーマンショック後の不景気のため、業績が悪化したパナソニックや東芝が国内の工場を廃止する動きにより、茨木市内の工場を閉鎖、少なからず影響を受けています。

通勤や生活を考えると、企業の「事業所の場所」とそこで働く「従業員が住む場所」は、雇用という枠組みの中で関連性が高いのは当然です。

つまり日本製鉄の和歌山製鉄所の休止発表からの一連の動きは、これまで当然のように続いてきた雇用の場所依存性の問題が、ここでも起きていることを示しているとも受け取れます。

望まれる雇用のフレキシブル化

今回の和歌山市での製鉄所休止が、雇用という側面に示しているものは単純ではありません。雇用が減った分を他の企業が雇用するという単純な解決は難しいと思われます。

鉄鋼製造の熟練工が、他の企業で何ができるのでしょうか?

鉄鋼製造の技術は優れていても、他の技術まで優れているわけではありません。つまり雇用には職能が関連するわけです。

そして、その職能を生かした雇用があるとすれば、それははるか遠い地域でしょう。このように「雇用の場所依存性」は何かと付きまとう問題なのです。

しかし、それを解決していく兆しがないわけではありません。大企業が中心ですがテレワークが採用されつつあります。

政府が主導する「働き方改革」でもテレワークを推進する動きがこれを後押し。ITの発展によって、様々なサービスや商業形態が生まれただけでなく、製造のIT化など多様な方向へと進みつつある中、テレワークでカバーできる範囲は広がってきています。

同時に転職への意識も高まってきています。終身雇用制度は、現代において維持が難しいと言われ、転職ありきの雇用が当然のようになってきました。

さてここで、転職が盛んでテレワークが当たり前、住む場所と職場は離れている状況を想像してみると、工場や事業所が休止することは、その地域の雇用にそれほどの打撃を与えないものと考えられます。

地元企業の存続や誘致は、現在の必要性として重要です。それに加えて転職の活発化やテレワーク推進など、雇用のフレキシブル化が重要でしょう。

この記事のライター

  • kyoto
  • 女性・33歳
  • フリーランス