働き方改革の「有給取得義務化」は履行されたのか|キャリアニュース

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働き方改革の「有給取得義務化」は履行されたのか

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有給休暇の取得は本来、日本人の労働者すべてが持つ権利です。
しかし、それが何十年にも渡って無視されてきたのが実情です。

近年の働き方改革ではこの点が特に課題とされ、2019年4月から「有給取得義務化」も始まりました。
Yahoo!JAPANニュースが配信したLIMOの記事も含め、多くの報道が「この1年の成果」を振り返っています。当記事ではそうした報道を紹介しながら、以下の点を解説します。

・義務化の成果はあったのか
・義務化の動きを人々はどう感じているのか
・どうすれば義務化がより広く浸透するのか

有給取得義務化について、多くの方が理解を深めてくださる一助になれれば幸いです。

「働き方改革」で社畜はいなくなる?~「有給取得義務化」3つのポイントとその効果とは?~

「働き方改革」とは、2018年6月に可決・成立した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」のことです。2019年度から本格始動し始めた政府主導のプロジェクトで、年次有給休暇の取得義務化が目玉とされています。

長時間労働の是正や雇用待遇による格差の改善など、今までの働き方を変える取り組みが行われています。ところで、働き方改革によって日本人は働きやすくなってきたのでしょうか。
続きはー保育士もフリーランス化広がる! 保護者にもハッピーな新しい働きかた|Yahoo!ニュース

義務化の成果を人々はどう感じているか

このニュースの背景は「有給取得義務化」からほぼ1年が経ったことです。
有給取得義務化は、2019年4月から施行された新ルールです。
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

内容は「年5日の有給休暇を確実に取得させる」というものです。

しかし、多くの人は「この1年間で、どれだけ実現されたのか」という点を疑問に思っているでしょう。

「実現された企業も多くあるはず」「しかし、お題目だけで終わった企業の方が多いのでは?」ということですね。

その疑問に答えることが参考記事の1つの目的だったといえます。実際に、2ページ目には、エン転職によるアンケートが紹介されています。

「どれだけ有給休暇を取得しやすくなったか」という設問の回答結果です。

これを見ると「有給休暇を取得しやすくなった」と回答した人は40%となっています。

半分に近い人が有休に関する効果を実感しているのは、一つの成果といえます。

さらに、参考記事は有給取得義務化で「どんなポイントが変わったのか」という点も整理しています。

この内容を、まだ正確に理解できていない日本人が多いでしょう。

「年5日という日数はわかる」
「しかし、その5日をどう取得させるのか」
「年5日以外に、何か特徴はないのか」

などの点がわからない、という人が大部分ではないかと思います。
これについては、「下の3つのポイントが変わった」とまとめられています。

「有給取得義務化」で変化した点

・義務化…「取ってもいい」ではなく「取らせる」
・全員対象…パート・アルバイトの人々も対象
・5日間…会社が年5日、有休をとらせる時期を決める

最後の年5日は「5日しか休めない」ということではなく、5日は「会社が時期を決めて必ず休ませる」ということです。
業務に影響が出ない時期を選んで指定する、ということですね。

有給取得をさせない企業に罰則を設けるべき?

有給取得が義務化されても、まだ従業員になかなか有給休暇を取らせない会社があるのも事実です。

そのような会社に対し、ネット上では「犯罪と認定すればいい」という声も見られます。

これは参考記事のコメントにも書かれており、多くの「いいね!」を獲得している内容です。
義務化された以上、それに違反するのは「違法」であり「罰則」を設けるべきという考え方です。

どのように取り締まるか、どのくらいの罰則にするのかは、まだ議論が必要でしょう。
しかし、義務化した以上は「有給休暇を取らせないことは、国の方針に背いている」ことは確かです。

そのため「罰則を設ける」という考え方は、方向性としては間違っていないといえます。

後はそれを「現実にどう実現するか」という調整が課題といえるでしょう。

義務化されたのは2019年4月であり、2020年1月現在、まだ9カ月しか経っていません。
今回の参考記事のように「義務化したけどどうなったか」という検証をメディアが重ねることで、ルールの改善も進んでいくでしょう。

そのような必要性はメディアも実感していると見え、参考記事と同じ日に、キャリコネでも同じテーマで別の記事が書かれています。
https://www.excite.co.jp/news/article/Careerconnection_13082/

この記事には、有給消化率を「全社で85%」という目標を掲げている会社の事例が登場します。
これは現代の日本では「ホワイト」な部類であり、実情を語った40代男性も「いい方向に変わっている」とコメントされています。

ただ、忘れてはいけないのは、本来有休は「100%取得できるもの」であるということです。

実際、記事の2ページ目では「100%取得を目指す企業もある」ことを指摘しています。

しかし、そうした企業の「データ改ざん」の可能性も指摘されており問題の根深さを痛感します。

日本全体での、働き方と給与水準についての議論が必要

日本人がなかなか有休を取得できないのは、やはり「周りが取得していないから」でしょう。

逆に周りが取得している中で取得しないのは恥ずかしい、というのが日本人の基本的なメンタリティといえます。

そのため、義務化のような制度も一定レベルまで浸透したら、加速度的に普及していくでしょう。

さまざまな働きかけによって、早めにその段階に持っていくべきです。

日本人の生産性が低いことは有名で、多くの有識者やメディアが指摘しています。

作家の橘玲氏は、現代ビジネスのコラムで「日本人の生産性が低いのは、合理性を憎んでいるから」と説いています。

この記事では統計データも紹介されていますが、それによれば、日本人の生産性は「主要先進国で最下位」です。

GDPはそこそこ大きいものの「無駄な労働をしている」ということです。

よく指摘されるのが「物価や人件費を下げ過ぎ」ということです。
企業が人件費を下げたいのは当然ですが、それによって平均給与が下がれば、日本人の購買力も下がります。

それで「安さ」で勝負するしかなくなり、ますますデフレスパイラルが拡大しているのが今の日本です。

抜け出すために最低賃金を上げればいいのかというと、それも難しいでしょう。
今の最低賃金でも十分に喜んで働いてくれる途上国の人々が、年々日本に入って来ているためです。

ある意味では、今まで東南アジアの人々より「楽に生活してきた」日本人が、彼らの生活に近づいたといえるかもしれません。

日本人でも東南アジア人でも、労働が均等に収入に反映される状態に近づきつつある―。という状態だとすれば、日本人のお給料が安くなったのも当然といえるのかもしれません。

ただ、そうしたグローバル化を考慮しても、やはりヨーロッパ各国の生産性は日本より高いわけです。

彼らがどのように「よく遊び、よく働いて」いるのかから学ぶ必要があるでしょう。

この記事のライター

  • 藤井誠二
  • 男性・35歳
  • 会社経営者・フリーライター・イラストレーター