「リクナビ問題」の余波で転職市場の個人情報も厳格に|キャリアニュース

「リクナビ問題」の余波で転職市場の個人情報も厳格に

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リクナビの辞退確率データ漏洩問題の影響が、利用企業にも広まってきました。

個人情報保護委員会は12月4日、「内定辞退率」を購入していた37社に行政指導を出しました。

企業の採用データの活用が広がる一方、その乱用ともいえる活用行動には、就活生からも厳しい評価が加えられようとしています。

政府も新たな規制や取り締まりに動き出しています。企業も厳格な対応が求められています。

個人データ「乱用」警鐘 リクナビ問題で37社行政指導

「リクナビ問題」の余波が利用企業にも広がってきた。個人情報保護委員会は4日、「内定辞退率」を購入していた37社にも行政指導を出した。企業のデータ活用が広がる一方、重要情報の「乱用」ともとられかねない問題行為には、個人ユーザーから厳しい視線が投げかけられるようになっている。政府も規制や取り締まりの強化に動き出しており、企業は厳格な対応を迫られる。
続きはー個人データ「乱用」警鐘 リクナビ問題で37社行政指導|日経ニュース

依然残る就職活動における個人と企業の力の格差

リクナビからの内定確率情報を購入した企業への行政処分が下されましたが、個人情報保護法では、そもそも目的外に個人情報が利用された場合には、不正に利用した企業に対する直接的な罰則規定がないことが大きな課題です。

このため、政府の取った行動は、行政指導にとどまっています。国の行政指導に従わない場合のみ、刑罰が科せられます。

例えばこれが一時期頻発した個人情報の漏洩など、一部の社員やデータ管理を委託している企業の不正行為であれば、利用企業自体の行政責任は問いづらいでしょう。

利用企業としての行為ではないからです。

しかし、今回の場合は、明らかにリクルートキャリアや辞退確率情報を購入した利用企業に問題があったにも関わらず、罰則が発生してしかるべきですが、現行法には規定がありません。

これらのことは、隠然と受験生個人と企業の間には取引上の力の格差が存在していることを示しています。

人手不足で、売り手市場といわれている時代ですが、相変わらず企業側に強力な権限が存在している印象が否めません。

利用企業や、リクナビが、被害者受験生に対してどういう釈明や謝罪を行ったのか、多くの人が知りたいところではありますが、個人の秘密に関わるところでもあり、世間に対してハッキリしづらいところでしょう。

新卒採用にスカウト型が増加していることへの期待と恐れ

リクナビのような、学生側から企業を選び、応募する募集型の採用活動だけでなく、最近は企業が学生情報に基づき採用を促す、「スカウト型」の採用活動が拡大しています。

従来は既卒の社会人向けのサービスでしたが、知名度が乏しい中小企業向けに2012年頃からスカウトのクラウドサービスが始まっていたようです。

しかし、ここにきて、大企業も積極的にスカウト活動に乗り出しています。

知名度が高い大企業がなぜわざわざスカウト採用を強化するのでしょうか?

ある企業の担当者曰く、「大企業は堅実なイメージがあり、そのため保守的な人材が集まりやすい。イノベーションを起こせるような人材を採りたい」とのことでした。

製品のライフサイクルが極端に短くなり、従来のビジネスの延長線上でビジネスが考えられなくなっている昨今、従来型の従業員では企業の成長に不安があるのでしょう。

企業の生き残りを図るためには、至極妥当な判断といえます。

しかし、ここで、先述のリクナビの内定辞退率データ漏洩事件が頭をかすめます。

スカウトデータには氏名は無いものの、顔写真などの本人が識別できるデータが採用されます。

個人情報の保護を考えると、万が一漏洩すれば、内定辞退データの比ではないプライバシーの侵害が起きそうです。

学生は近年のSNS慣れしている風潮もありますが、第三者的に漏洩を防ぐ手立てがないのは、恐れさえ感じます。

個人と企業との力の格差を埋めるためには

近年、GAFA(Google・apple・Facebook・Amazon)の行うデータ収集行動は、様々角度から批判を浴びています。

余りに大量のデータを収集・分析できる立場に対して、「独占禁止法上の優越的地位の乱用」という観点から、GAFAに対して規制を強めたり、GAFAの取引に対して課税をしようとしたりする動きが、欧米を中心に始まっています。

「独占禁止法上の優越的地位の乱用」というのは、主に企業間取引において、大手企業が下請け会社に対して、優越的な地位を利用して、不当な値引きや支払い遅延、従業員派遣など「無理な要求」を禁ずるものでした。

しかし、日本の公正取引委員会は12月17日の新指針の発表で、個人を相手にした取引でも、優越的地位の乱用が成り立つとの見解を明確にしました。

具体的には、インターネット上で取得したクッキー(インターネットの閲覧履歴)や位置情報などをもとに個人が特定できるようにして第三者渡した場合で、利用者にデメリットを与えたり、個人情報の使用目的を超えた範囲で取得したりした場合は、独占禁止法違反にあたるとしました。

これは、対個人との取引に対して、かなり踏み込んだ判断だと言えます。

公正取引委員会の指針が出たばかりで、法律上、個人への被害に対して明確な処罰や賠償の法的根拠が出来たわけではありませんが、企業が個人に対する個人情報保護違反をした場合の、「事の重大さ」を認識させる歴史的な一歩になったといえます。

従来、新卒の就職活動においては、学生は「企業に雇ってもらう」というという意味から、弱い立場にあったと思います。

売り手市場の今も原則はそのままです。そのため、今回のような個人情報を不法に売買するということが起こってしまいました。

今後は、より対等な立場でお互いを尊重し、納得した上で採用・就職をするという考え方が、就活生と企業の間に生まれることを期待したいと思います。

この記事のライター

  • hanbaishi
  • 男性・57歳
  • 専門学校教員