「ジョブリターン制度」「地域限定社員」、そして「ジョブ型」|キャリアニュース


「ジョブリターン制度」「地域限定社員」、そして「ジョブ型」
会社を一度辞めた元社員を対象に、再雇用を打診する「ジョブリターン制度」を採用する企業が増えつつあります。
日本ではこれまで馴染みのあまり無い採用制度ですが、なぜジョブリターン制度が広がりつつあるのかを分析してみました。
辞めた会社にカムバック 元社員の再雇用が広がる理由
近年、一度会社を退職した元社員を再雇用する動きが広まっています。従来の日本企業では、あまりなじみのないものでしたが、会社側・働く側双方においてかなり意識も変化。
ジョブリターン(再雇用)制度を導入する企業が増えている背景には、何があるのでしょうか。人事労務コンサルタントで社会保険労務士の佐佐木由美子氏が解説します。
続きはー辞めた会社にカムバック 元社員の再雇用が広がる理由|Yahoo!ニュース
人手不足・採用ミスマッチ低減・人材活用
ジョブリターン制度が広がりつつある背景には3つの理由があると考えられます。
①人手不足問題
最も大きな理由となります。
労働力人口の減少に伴う、企業の人材獲得競争の激化が背景にあります。
「人手不足に対する企業の動向調査」(帝国データバンク:2019年10月)によると正社員が不足している企業は50.1%、業種別では情報サービス(75.3%)、建設(70.4%)が特に高くなっています。
②採用ミスマッチの低減
元々その企業で勤めていた者を採用する訳なので、社内における人間関係、仕事内容を既に知っています。
よって採用後にミスマッチが起きにくく、また即戦力でもあるので教育コストなどを削減することも可能となります。
③人材活用
女性の場合は妊娠・出産・育児などを理由に、退職を余儀なくされる場合があります。
また介護や配偶者の転勤のために退職せざるを得なかったケースもあります。
こうした人材をターゲットにした採用制度の一つがジョブリターン制度です。
「地域限定社員」も拡大中
日本企業の多くが新卒の「一括採用」を行っています。
しかし2019年4月に経団連と大学側とで、この「一括採用」を見直し年間を通じて採用できる「通年採用」を拡大していくことで合意しました。
従来の「一括採用」は職務・勤務地・労働時間を限定しない「メンバーシップ型」の雇用契約ですが「通年採用」では「ジョブ型」の雇用契約を結ぶことが可能になります。
「ジョブ型」の雇用契約では職務・勤務地・労働時間を明確に限定することが可能です。その契約形態の一つが近年増え続けている「地域限定社員」です。
この「地域限定社員」が増えている背景には学生など若年層の労働への価値観の変化があります。
少子高齢化社会の進行により、仕事と親の介護の両立しなければならない社員がそのためにキャリアアップを諦めたり退職せざるを得ないケースが増えています。
多くの企業が人材不足を課題としている今、人材を繋ぎとめるために人事制度を見直しているのです。
先述の「ジョブリターン制度」も「地域限定社員」も背景は同じです。
両制度とも人材不足に喘ぐ企業側と、親の介護などを理由に「働きたくても働けない」労働者側とのニーズが一致しており、今後も拡大されていくでしょう。
「終身雇用」の転換期か
「終身雇用」の終焉がいよいよ現実的になってきたと思います。
少子高齢化が進み、またRPA(機械による作業自動化)が広がっている今、労働者に求められるのは「高い専門性とスキル」です。
実際にみずほフィナンシャルグループでは2021年度下期に転勤のある「総合職」と転勤のない「一般職」を統合します。
店舗における事務作業等をRPAによって自動化して専門性を求められるコンサルティング業務に注力したい、というのが企業側の考えです。
また同年10月には社員による「副業の解禁」も行います。
社内外における専門性を高めてもらうことを狙いにしているとのことです。
このような状況の変化に労働者側も対応しなければなりません。
「ジョブリターン制度」や「地域限定社員」、そして「ジョブ型」の雇用が今後拡大すれば「終身雇用」などは消えてなくなるでしょう。
逆に考えれば、自分の専門性やスキルを活かせる環境が整えられつつある、と考えることもできます。
欧米社会のように雇用の柔軟性が高まれば未だに日本の労働環境の課題である「長時間労働」などの解決などにも繋がるでしょう。
この記事のライター
- makiburu
- 男性・34歳
- 鉄道会社:駅係員 兼 企画・宣伝業務