高卒の併願OKの制度に移行した場合のメリット・デメリット|キャリアニュース

高卒の併願OKの制度に移行した場合のメリット・デメリット

高卒で就職する理由としては、「就職しなくてはならない」という事情が主な理由です。

その事情に加えて、1社専願制というのは、やはり高校生の事情に拍車をかけているというイメージを強く持ちます。

高卒採用、慣行に転機 「1人1社」に新興企業が異議

企業の高卒採用意欲が強まる一方だ。17日に選考と内定が解禁となった2020年3月卒の求人倍率は27年ぶりの高水準になり、大卒も上回る。若手の人材不足を解消する貴重な戦力として、高卒に目を向ける企業が増えたためだ。新興企業も熱い視線を注ぎ、伝統企業が優位とされる採用ルールの見直し機運も高まっている。

厚生労働省はこのほど20年3月の高卒予定者について、19年7月末時点の求人倍率が2.52倍だった
続きはー高卒採用、慣行に転機 「1人1社」に新興企業が異議|日経新聞

優秀であるにもかかわらず、高校卒業時に就職活動に失敗する現実

私は、専門学校の教員ですが、入学者の中に、優秀であるにもかかわらず、高校卒業時に就職活動に失敗し、専門学校に入ってくる学生を多く見ています。

つまり、選択肢が少ない高校生の現行制度と、働かなくてはならない事情が相まって受験チャンスが少なくても高校生からの不満は出にくい状況にあると言えます。

また、1社受けて結論が出ないと次が受けられない専願制度は、高校のニーズにも合致しています。

まず、複数の受験先に対応するには、進路指導の教諭にノウハウが不足しています。

専願制の場合は、長年付き合いのある企業の求人の方が担当教員側に経験値があり、そういった求人に高校生を誘導しがちになります。

これが、併願OKの制度に移行した場合、教員の作業ボリュームのキャパを超えてしまうでしょう。

高校の先生は、通常の授業に加えて部活動の指導もあり、付き合いの無い求人先の研究もしなくてはなりません。自分の子供の就職に関しては、親も大学生以上に強い関心を持っているでしょうから、完全にオーバーフローしてしまうでしょう。

さらに、高校側としては、3年生の夏休み明けというのは、進路決定済みの高校生に対する指導に苦労する時期です。

併願制にしてさっさと進路が決まってしまうと、高校生に安堵とともに向学心が急速に乏しくなり、指導に苦労するからです。この仕組みは、大学や専門学校など上級学校に進む際のAO制度に似ています。

AO制度とは、自己推薦入試制度のことですが、近年、多くの大学や専門学校で採用されている入試制度です。

多くの上級学校では、急速な少子化に伴い、定員割れに悩んでいるため、この制度が多用されています。

この制度も、高校側から見ると悩ましい制度です。高校生の進路が早目に決まるのは良いことなのですが、やはり、進路決定後の高校生の指導に苦労するからです。

そんな、高校側の事情を文部科学省も認めているため、1社専願制が堅持されているのでしょうが、事は就職をする高校生を主体に検討されるべきでしょう。

入社後3年以内の離職率が大学生の3割を上回り、4割になっているということは、明らかにミスマッチが起こっていると言えます。

若いため、職業意識が作られないままに就職していくため、ある程度の離職率は仕方ない面もありますが、現状の制度に大きな原因があると言えるでしょう。

いずれ、併願制度への移行は免れないとは思いますが、いきなり完全オープンにすると、教師側の負担も大きくなり、結果として高校生も戸惑ってしまうことでしょう。

同時受験を容認するにしても、教師側に企業研究に対するトレーニングが必要になるでしょう。

特に長年付き合ってきた地元の老舗企業以外の新興企業にも目を向けていかなければなりません。私は、専門学校で毎年就職指導をしていますが、高校と違い原則併願可能な求人ばかり指導しています。

その中でも、どうしてもよく知っている企業に学生を誘導しがちになります。

カリキュラムに「就職実務」授業を追加し、職業意識を高めておくことも重要

また、工業高校や商業高校など就職希望の多い高校に関しては、カリキュラムに「就職実務」授業を追加し、職業意識を高めておくことも重要です。高校の先生にも充分な準備が必要です。

最近は、履歴書の他にエントリーシートやさらにオープンエントリーシートの利用など、応募方式も多様化しているからです。

また一方、企業側の教育体制の整備も必要です。日本の企業の多くは中小企業です。一部の大企業を除いて、バブル崩壊後、従業員に「即戦力」的な能力を求めるあまり、自社での教育体制が余り整備されていない企業が多いと思います。

ましてや、大学生と高校生を並行して採用する企業の場合、4歳以上の年齢差のギャップをどう埋めるかは大きな課題です。

全く同じ教育をするには無理がありますし、まずは、採用コースを分けて教育することが妥当ですが、その分人事や現場でのOJTに負担がかかってくるでしょう。高校生を採用するというのはそういうことなのです。

企業にとって、高校生を採用するということは、単に労働力の充足をするというメリット意外に、従業員の年齢構成を適正化するというメリットもあります。ベテランも若手もいるからこそ、技術の伝承もスムーズに行われていきます。

また、最近、リファラル採用という社員の紹介による採用方法が注目されていますが、社員の同年齢化、同質化というデメリットも指摘されています。

本来、企業体は、企業理念に共感する多様な人材を集めてこそ、多様な方向に成長の可能性が出てきます。

さらに、近年の企業に求められるイノベーションの担い手としても、高校生は期待されていくでしょう。

そのためにも、国や高校側も高校生の立場に立って自らもイノベーションを起こしていく必要があるでしょう。

高卒者向けの転職活動と履歴書・職務履歴書のポイントを解説

この記事のライター

  • 亀井 徹
  • 男性・41歳
  • 社会課題研究家

Career Growth 編集部

ニュース編集 担当

株式会社ショーケースと株式会社レーザービームが共同運営・提供しているCareer Growthの編集部提供コンテンツ。

主として第2新卒、20代前半から30代後半までを主とした、グローバルな仕事・就職・転職の情報を扱う。