転職なんて怖くない!20-30代のキャリア構築の今

“指針なき社会”の到来

文春オンラインの人気コラムニスト山本一郎氏による記事は歯に衣着せぬ本音をぶちまける物言いで炎上案件を含めて様々な話題を世間に提供してきました。山本一郎氏と言えば、東京オリンピック開催に向けて、東京都が打ち水によって暑さ対策をしようとキャンペーンを張ったことを「竹やりでB29を撃ち落とそうとするようなもの」と皮肉って有名になったのが記憶に新しいところです。

もはや「文春砲」の矛先はスキャンダルだけではないようですが、その山本氏が2018年11月29日、文春オンライン上の自身のコラム助かりませんからね、私たち30代、40代の世代は~人生の最後までレールが続いてないことが確定している~でこうぶちまけています。

どこかしらリスクを負って自分の足で立っていかなければ死んじゃう世代(今の30、40代は)でもあります。(中略)いざ正社員になったぞ正規雇用だぞと言っても、その会社だって何年居られるか分からないじゃないですか。

そうなれば、自分はキャリアとスキルと人脈を持ってどこにでも行けるように準備しておかなければ人生戦略として成り立たないぞ。(中略)安心できる状況など、どこにもない。この漠然とした不安は、神なき世界、指針なき社会がもたらす災禍であって、つまりは成功するためのロールモデルがないからじゃないかとすら思うわけです。

氷河期後に社会に出た世代は?

1つ気になるのが、山本氏は昭和40年代の後半の生まれ。ちょうど就職氷河期が始まった世代の方です。日本経済を支えてきた年功序列、終身雇用制度を信頼して企業に就職し、上の世代をロールモデルとしてひた走ろうとした時にまさにこれらのシステムが崩れ始めたのを目にした世代です。

いわばいきなり「梯子を外された」世代であり、その不信感は察するに余りあります。また従来の終身雇用、年功序列システムでは雇用者のキャリア構築は会社によって決められるものでした。与えられた仕事をいかにクオリティ高く仕上げるかに出世や給料のアップが掛かっていたといえます。

しかしそうしたシステムの崩壊を目の当たりにし、必然のこととして受け入れざるを得なかった今の20代は、もっと柔軟に対処しようとしているように見えます。

転職サイトの利用者数増加

2018年『グローバル人事塾』主催のパネルディスカッション『大手転職サイト編集長バトルトークLive!』で催された転職サイトの編集長たちのパネルディスカッション転職サイトはなくなる?リクナビNEXT、DODA、@typeの編集長が語る、転職マーケットの今と未来【前編】でDODA編集長・大浦氏は以下のように述べています。

2007年から2017年の10年間で『DODA』 の登録者数は7倍になりましたが、一方で4〜5月の新卒社員の登録者数はなんと30倍。新卒社員として入社した瞬間に転職サイトに登録しているわけです。積極的に転職活動をするというよりは、とりあえず登録したということだと思いますが、ポイントは転職が日常化してきているということです。

背景にはスマートフォンの普及によってモバイルでのインターネット情報活用が20代でさらに活発化したことがあげられますが、やはりそれだけはないでしょう。転職やキャリア構築の情報について敏感になっている今の20-30代がうかがえます。

20-30代はジョブローテーションに好意的

2019年6月26日付けのexciteニュースでは【社内制度アンケート結果】転職活動中の20~30代の約80%がジョブローテーションに好意的 新たなスキル習得、モチベーション維持に期待

というタイトルで20-30代が社内移動制度についてどうのように考えているのか、独自のアンケート調査結果をレポートしています。この記事によれば今の20-30代の約80%が「転職先企業にジョブローテーション制度があったほうがいい」と回答し、制度がある企業を好ましく思っていることがわかります。

また約5割が「キャリアアップ・仕事の幅を広げるため」ジョブローテーション制度が必要であると回答しています。こうしたアンケートから今の20-30代が受け身ではなく積極的にキャリアを構築しようと模索している姿が浮かび上がります。

もちろん1つの仕事をじっくりとやり抜きたい、専門性を身に着けたいのでキャリアチェンジはしたくないという否定派の声もあります。しかし選択肢があれば転職を思いとどまったという声も多く、こうした様々な要望に応えられる柔軟な人事システム求められているといえます。

道なき道へ進む世代

確固とした「ロールモデル無き時代」に対し嘆いているのはある一定の世代であり、初めから何もないシビアな状況の中「荒野」に立たされた世代である今の20-30代は懸命に時代の変化という荒波に対処しようとしているように見えます。