社員の子育てを支援する「くるみん認定企業」で仕事と育児を両立

「就職や転職を経て、長く安定的に働きたい」「キャリアアップをしてバリバリ働きたい」と考えている方にとって悩むのは、妊娠・出産・子育てについての支援が受けられるかどうかではないでしょうか。

せっかく就職するのですから、子育てに前向きで、産休や育児に関する制度を整えている企業を選びたいところですね。

現在、日本国内で出産や育児に対して休暇や時短勤務を許可するなど、従業員の子育て支援に取り組んでいる企業は「くるみん認定制度/プラチナくるみん認定」を取得することができます。

ここでは、2つの制度について実例を交えながら詳しく紹介。育児に適した働き方を希望し、子育て支援企業を探している方は、ぜひ参考にしてください。

くるみん認定企業は子育て支援に積極的

くるみん認定制度とは、社会保障法の一種である「次世代育成支援対策推進法」に基づき、子育てを行う従業員のをサポートするために制定された制度です。

事業者が厚生労働省に計画を提出して実際に取り組みを行い、子育て支援に積極的な企業として認定を受けると、以下の認定マークが広報活動に使えるようになります。


出典:厚生労働省「くるみん認定及びプラチナくるみん認定企業名都道府県別一覧」

次世代育成支援対策推進法では、近年の急速な少子化の進行を受けて次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境の整備を図るために事業主や国民が子育ての意義を深めつつ、配慮していかなければならないとしています。

企業はくるみん認定を受けるために「一般事業主行動計画」を策定し、提出します。計画目標を達成し、認められると厚生労働省にくるみん認定企業として登録されます。

子育てを行っている従業員を時短勤務や仕事量、その他の方法でトータル的に支援するので、すでに育児中の方やこれから育児に関わる予定がある方に最適な職場環境といえるでしょう。

次世代育成支援対策推進法に基づく子育て支援企業

次世代育成支援対策推進法とは、国・地方公共団体・事業主・個人(国民)が次世代の育成のために環境を整備していくことを定めた法律です。

この基本理念に則って、企業は労働者の職業生活と家庭生活の両立が図られるように目標を定め、職場環境を整備していきます。

くるみん認定企業になるための条件

くるみん認定を受けるためには、以下に紹介する10項目の基準に沿うことが義務付けられています。(出典:「次世代法に基づく「一般事業主行動計画」の策定と「くるみん・プラチナくるみん」認定について(平成31年2月)」

  1. 雇用環境の整備に関する行動計画を策定する
  2. 行動計画の期間が2年以上5年以下である
  3. 策定した行動計画を実施し、目標を達成する
  4. 平成21年4月1日以降に策定・変更した行動計画について、公表および労働者への周知を適切に行う
  5. 次の①または②を満たすこと。
  6.   ①計画期間において、男性労働者のうち育児休業等を取得した者が7%以上
      ②計画期間において、男性労働者のうち育児休業を取得した者及び
      育児休業に類似した休暇制度を利用した者の割合が15%以上
      かつ育児休業をした者の数が1人以上いる※従業員300人以下の企業に特例あり

  7. 計画期間において、女性労働者の育児休業等取得率が75%以上である※従業員300人以下の企業に特例あり
  8. 3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者について、所定労働時間の短縮またはフレックスタイム制度や時差出勤などを利用し始業時刻変更を講じている
  9. 労働時間数について、次の①および②を満たすこと
  10.   ①フルタイムの労働者の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満
      ②月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者がいない

  11. 「所定外労働の削減のための措置」「年次有給休暇の取得の促進のための措置」「その他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置」のいずれかを実施している
  12. 法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと

企業は行動計画を策定して終わりではなく、きちんと遂行されているかを国に対して示さなければなりません。

行動計画を策定たあとは計画に沿って雇用環境を改善していきますが、育児休業期間の延長やノー残業デーの導入など、自ら設定した目標を達成したことを示す資料や書類を提出しなければなりません。

企業が雇用環境を見直すことで従業員の働きやすさが向上するほか、育児に安心して取り組めるので、家庭環境も大切にできるというメリットがあります。

関連:若年層に有利な就業環境「ユースエール認定企業」の探し方

くるみん認定企業に就職するメリット

上記の9つの条件をすべて満たしている企業は、育児休暇や時短勤務など仕事と子育ての両立に欠かせないポイントを押さえています。

くるみん認定を受けるためには、実際に育児休暇やノー残業デーを実施していることが条件となり、提出書類も厳しくチェックされるため、あいまいな状態で認定を受けることはできません。

そのため、勤務する従業員の誰もが育児に適した雇用環境を求めることができます。

家庭内に乳幼児がいる場合はしばらく子育てに専念しなければなりませんし、親御さんとしてはできるかぎり子どもと一緒にいたいところ。

仕事優先になりすぎず子どもと過ごせる時間が増えるのは、くるみん認定企業ならではのメリットといえるのではないでしょうか。

仕事と子育てが両立しやすい

仕事もこなしつつ、子どもの急病やアクシデント発生時など、子育てにおけるイレギュラーな事柄にも備えられるのがくるみん認定企業のメリットです。

共働きの家庭では、両親のどちらがどの程度子どもの面倒をみるかで悩むことが多いものですが、両立がしやすいように取り計らってもらえるのがくるみん認定企業の特徴のひとつ。

認定基準5の「計画期間内に育児休業等を取得した者」にはパートや派遣、契約社員など雇用期間に定めのある人も含まれているので、正社員以外の方も安心して働くことができます。

出産・育児をしながら長く働ける

認定基準7については、3歳から小学校就学前の子どもを育てるすべての従業員に適用されることが義務付けられています。

つまり、出産とその後のわずかな期間だけ育児が優遇されるのではなく、小学校就学前までフレックスタイム制度や時差出勤が認められることになります。

現状、くるみん認定を受けていない職場では育児休暇や就業時間が柔軟ではないケースが多いですが、くるみん認定がされている職場なら、子どもの送り迎えや育児休業、労働時間の短縮などに柔軟に対応してもらえます。

くるみん認定を取得している企業の実例

くるみん認定を取得している企業は、2017年12月末時点で2,848社に上っています。

制度の周知とワークライフバランスを求める労働者の増加により、今後もさらに認定を受ける企業は増えていくと予想されています。

ますます子育てのしやすい職場環境が整っていくと考えられますが、ここからは認定を受けている企業が実際に行っている取り組みをみていきましょう。

日本航空株式会社

日本航空(JAL)では、男女問わず育児や介護と仕事との両立を支援する制度を整備しています。

子育て支援に関する取り組みとしては、産前・産後休職制度、小学校就学前の子を養育する社員には深夜勤務免除や短時間勤務を認め、男性社員についても育児休暇を適用。

さらにベビーシッター補助や育児用品レンタル補助、家事代行補助サービスなどが受けられる福利厚生システムも整えています。

育児のための休職については、子どもが満3歳になる月の末日までの期間内で休職期間を設定でき、各自の事情に合わせて復帰時期も変更できるように柔軟な制度としています。

日本航空ではこれまでに3度のくるみん認定を受けていて、2018年4月1日から2020年3月31日までの行動計画を新たに策定し、そのなかでワークライフバランスの考えを取り入れて次世代育成支援に取り組んでいます。

株式会社NTTドコモ

NTTドコモでは、社員が出産・育児や介護にあたる際に安心してワークライフバランスを考えられるよう、「両立支援」を実施しています。

出産休暇の前後には有給の特別休暇を付与し、健康診査や保健指導を受ける際には有給で勤務が免除されます。

育児に関して、満1歳に達しない子がいる女性社員は1日2回45分以内の育児時間を有給で取得できます。

満3歳までの子の養育には育児休職をとることができるほか、小学3年生以下の子がいる場合は3パターンからの短時間勤務が可能になりました。

出産・育児休暇以外にも介護に関わる休職・時短勤務、ボランティア休暇などを含めて適宜勤務状況を変更できるように制度を整えており、これらの取り組みがワークライフバランスへの配慮を行っていると評価され、2008年6月にくるみん認定を、2018年5月にはプラチナくるみん認定を受けています。

くるみん認定企業の探し方

くるみん認定の取得企業を探す場合、「厚生労働省のサイトで探す」「全国のハローワークで探す」と2つの方法があります。

マイナビやリクナビなど民間の転職サイトではくるみん認定企業かどうかが判別しづらいですが、厚生労働省が管轄する公式サイトやハローワークなら、認定を受けた企業に直接出会うことが可能です。

ここからは、くるみん認定企業の探し方についてそれぞれ詳しく紹介していきます。

厚生労働省のサイトで探す

厚生労働省のサイト「くるみん認定及びプラチナくるみん認定企業名都道府県別一覧」では、各都道府県ごとにくるみん認定を受けた企業が掲載されています(エクセル形式のファイルなので、ダウンロードしてから確認してください)。

企業名・所在地・認定年・認定回数がそれぞれ表示されており、所在地だけで絞り込むこともできます。

認定年数が古い企業ほど早くから育児や子育て支援に積極的であり、いち早く次世代育成支援対策推進法に基づいて改善を行ってきたと考えられます。

認定を複数回受けている企業は、継続的に認定を受けて雇用環境を改善していく取り組みを行っている企業なので、そちらも就職や転職を考えるうえでの判断材料になるのではないでしょうか。

ページの下部には「プラチナくるみん認定」を受けた企業も掲載されています。

こちらは子育て支援の最高峰である「プラチナくるみん認定」を受けた企業だけがピックアップされているので、より良い雇用環境を求める方はぜひ参考にしてください。

全国のハローワークで探す

日本全国にあるハローワークでくるみん認定企業を探すことができます。ハローワークにはいくつかの種類があり、以下のように分けられています。

ハローワーク内の端末で求人を検索する際、フリーワード欄に「くるみん」と入力すれば該当する企業が一覧で表示されます。

自分で調べるのが難しい場合は、ハローワークの担当者に「くるみん認定企業(またはプラチナくるみん認定企業)に応募したい」旨を伝えてください。

また、オンラインのハローワークサイトからも「くるみん」をキーワードに入れて検索できます。「ハローワークインターネットサービス 求人情報基本条件入力」のページに入ります。

就業を希望する地域を選択し、ページ下部にある詳細検索条件の中の「フリーワード」タブを開いて、検索ボックス内に「くるみん(またはプラチナくるみん)」と入力し、検索します。

検索結果一覧をチェックし、職種や就業時間などが希望条件に合っていれば、求人番号をクリックして詳細を開きます。

くるみん認定企業は、詳細ページの一番上にくるみんマークが表示されています。

プラチナくるみん認定制度とは

プラチナくるみん認定制度は、くるみん認定をすでに受けている企業にのみ適用されるものです。

くるみん認定で「子育て支援に積極的であり雇用環境を整備している」と認められ、そこからさらに高い認定基準を満たすとにプラチナくるみん認定へとステップアップし、以下のマークが広報に使えるようになります。

出典:厚生労働省「くるみん認定及びプラチナくるみん認定企業名都道府県別一覧」

男性労働者の育児休業等の取得割合がくるみん認定制度よりも高く引き上げられており、認定基準はくるみん認定制度より2つ多い12項目。

12の基準を満たしながら、所定外労働の削減のための措置または年次有給休暇の取得促進のための措置がとられているかを詳しくチェックされます。

また、短時間正社員制度/在宅勤務/テレワークその他の働き方などの多様な労働環境が整備されているかもみられるため、プラチナくるみん認定を受けていれば「子育て支援について柔軟に雇用環境を整えられている企業」と考えることができます。

この制度は2015年4月1日より始まったもので、まだ4年程度と新しい制度ではありますが、育児に積極的でありハイレベルの子育て支援環境を整えている企業を探しやすくしてくれます。

認定制度の周知にともなって認定企業の数も年々増加しており、2019年8月末現時点で、認定企業数は326社となっています。

高い水準で子育て支援を行う企業

プラチナくるみん認定を受けている企業は、子育て支援に積極的であることはもちろん、育児休暇や時短勤務などの制度で働きやすい環境作りを行っています。

従業員の満足度を上げ、安全で安心感のある家庭環境を作っていくために雇用環境の改善に着手して実績を上げている企業は、安心して就職・転職がしやすいのではないでしょうか。

ワークライフバランスのとりやすい企業ほど長く働けますし、第2子第3子と子どもを生み育てていくことも可能に。

プラチナくるみん認定制度では男性労働者への育休取得状況が見られるので、男性も育児に関わっていける環境が探しやすいのが特徴となっています。

継続的な子育て支援が期待できる

プラチナくるみん認定を受けている企業は継続的に雇用環境を見直して、努力や工夫を続けていると考えられます。

ハイレベルな子育て支援体制を整えているので、働きやすい環境を求める方にとっても安心ですね。

これから育児に関わっていく予定の方、将来的に結婚や出産を経て職場復帰を考えている方など、それぞれが希望する働き方も、プラチナくるみん認定企業なら叶えられる可能性があります。

もちろん企業ごとに努力目標や達成が難しい部分はありますが、国の基準に即して努力を行っているというのは従業員にとって大きな安心感につながります。

子どもとの時間を大切にしながら仕事を続けたい方は、プラチナくるみん認定企業を中心に就職・転職先をチェックし、企業ごとの取り組みを確認してから応募すると良いでしょう。

企業の取り組みは、企業サイトのCSRページに記載されています。日本航空のCSRページは以下のように掲載されています。

くるみん認定制度は育児や子育ての味方

くるみん/プラチナくるみん認定制度は、労働者が安心して妊娠・出産・育児に取り組めるよう促すとともに、どの程度雇用条件や福利厚生を改善しているかチェックするためのものです。

従業員が1人でも多く応募し長く定着することが企業にとってはメリットとなりますが、くるみん認定は企業のイメージアップにも繋がります。

社員にとっては、育児休暇を求めることで退職による失業の心配がなく、転職を繰り返すリスクも減るので、子どもをもつことを諦めたり子育てが十分にできなかったりといった問題も解決できます。

雇用環境の整備によって人生の節目である結婚・妊娠・出産・育児がクリアでき、さらに企業の後押しを受けて育休から職場復帰を果たしたり、子育て中に時短勤務を重ねて無理なくワークライフバランスをとることも可能に。

育児を視野に入れて就職を考えている方は、ぜひ厚生労働省やハローワークのサイトから検索をかけ、くるみん / プラチナくるみん認定企業の詳細をチェックしてみてください。