ハローワークに提出する再就職手当支給申請書の書き方

この記事では、再就職手当支給申請書の書き方や申請の流れについて解説します。
実際の再就職手当支給申請書を紹介しながら、記入項目や注意点を紹介します。
また、再就職手当支給申請書の作成にあたり、事前に準備が必要なものがありますので、この記事を参考に準備を進めてみてください。
再就職手当支給申請書とは?
再就職手当支給申請書とは、再就職手当をもらうための申請に必要な書類のことです。再就職手当支給申請書は、ハローワークの雇用保険窓口やWebサイトから入手できます。
そもそも再就職手当とは、失業後に早期再就職した場合にもらえる祝い金のことです。再就職手当の制度は、失業者の早期再就職を促すことを目的に設けられました。
以下では、再就職手当の基礎知識として、支給条件や支給額の計算方法などについて紹介します。
再就職手当の基礎知識
- 再就職手当の支給条件
- 再就職手当はいくらもらえるのか
- 再就職手当はいつもらえるのか
再就職手当の支給条件
再就職手当は、誰にでも支払われるものではありません。以下の支給条件を満たす必要があります。
再就職手当の支給条件
- 受給手続後7日間の待機期間後に就職または事業を開始した
- 失業の認定を受け、基本手当の支給算日数が所定給付日数の3分の1以上残っている
- 退職した会社と関係のない(資本、資金、人事、取引面)会社に就職した
- 自己都合で退職した場合、3ヶ月の給付制限中の1ヶ月目はハローワークか職業紹介事業者の紹介で就職した
- 再就職先は1年を超えて勤務することが確実である
- 就職後は原則として雇用保険に加入する
- 過去3年以内に、再就職手当または常用就職支度手当をもらっていない
- 求職申込み前から内定していない
再就職手当の支給には、以下のような注意点があります。
再就職手当の支給に関する注意
- ハローワークに離職票を提出した失業申請日から7日間は待期期間
- 待機期間に働いた場合は、待期期間に含まれない
- 就職活動や内定決定は、待機期間に行っても問題ない
- 会社都合で退職した場合、待期期間を過ぎれば再就職手当がもらえる
- アルバイトや派遣社員などでも雇用保険に加入していれば支給される
- 1年以下の有期雇用契約でも更新の予定があれば支給の対象になる
再就職手当はいくらもらえるのか
基本手当の支給残日数によって、もらえる再就職手当の金額が変わります。
基本手当の支給残日数は、再就職先の入社前日が基準です。
基本手当の支給残日数による再就職手当の計算式は、以下の通りです。
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の場合:
→所定給付日数の支給残日数×70%×基本手当日額 - 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の場合:
→所定給付日数の支給残日数×60%×基本手当日額
たとえば、給付日数90日、基本手当5,000円の再就職手当は以下のようになります。
再就職手当受給金額の計算例
- 残日数60日×5,000円×70%=210,000円
→支給残日数が3分の2以上:支給率70% - 残日数59日×5,000円×60%=177,000円
→支給残日数が3分の1以上:支給率60%
早期就職を目指した方が、失業保険を全額もらうより多くの手当が支給される場合もあります。
再就職手当はいつもらえるのか
再就職手当は、ハローワークに再就職手当支給申請書を郵送後、約1.5ヶ月で振り込まれます。
ただし、再就職日や申請書の郵送日、金融機関の営業日などによって、再就職手当が支給されるのが遅れることもあります。
また、審査状況を電話で確認することはできません。ハローワークへ来所し、本人確認書類の提示が必要です。
厚生労働省
早期に手当を受けたい場合は、早めに手続きすることがおすすめです。
入社から振込までの例
- 4月1日:再就職
- 4月5日:ハローワークに申請書を郵送
- 5月7日:支給決定通知書が届く
- 5月14日:入金
再就職手当支給申請書の書き方
再就職手当支給申請書はA4用紙2枚で、必要事項を記入するのは1枚目です。
再就職が決まった時点で要件を満たしていれば、ハローワークで再就職手当支給申請書を受け取れます。また、ハローワークの公式サイトでもダウンロード可能です。
再就職手当支給申請書の準備・書き方
- 再就職手当支給申請書の作成で必要なもの
- 本人記入欄の書き方
- 再就職先記入欄の書き方
再就職手当支給申請書の作成で必要なもの
再就職手当支給申請書の作成にあたり、準備が必要なものは以下の5つです。
必要になるもの
- 採用証明書
- 失業認定申告書
- 雇用保険受給資格者証
- 再就職手当支給申請書
- 印鑑
本人記入欄の書き方
再就職手当の申請者本人が記入する項目は、大きく分けて2ヶ所あります。
1つ目の項目は、申請者の個人情報である以下の項目です。
本人記入項目
- 名前
- 郵便番号
- 住所
- 電話番号
上記画像の通り、四角い記入枠があるので左詰めで記入します。
2つ目の項目は、「就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと」を確認する内容であり、下記のイとロいずれかを選びます。
- イ:再就職手当又は常用就職支度手当を受給したことがある。
- ロ:再就職手当又は常用就職支度手当のいずれも受給したことがない。
最後に、申請書を提出する日付と申請者本人の署名と捺印をすれば完了です。
再就職先記入欄の書き方
再就職手当支給申請書には、再就職先(転職先)に記入してもらう項目もあります。
再就職先記入項目
- 名称
- 事業所番号
- 所在地
- 事業の種類
- 雇入年月日
- 採用内定年月日
- 職種
- 一週間の所定労働時間
- 月額賃金
- 雇用期間
- 記入年月日
- 事業主氏名・捺印
上記項目で注意が必要なのが「雇用期間」です。
再就職手当の受給要件には「1年を超えて勤務することが確実であると認められること」とあるため、1年を超えるような雇用期間でなければなりません。
雇用期間が「イ:定めなし」「ロ:定めあり」いずれの場合でも、「契約更新条項」が「イ:有」で「1年を超えて雇用する見込み」が「イ:有」であれば、要件を満たすと判断されます。
再就職手当支給申請から振り込みまでの流れ
以下では、再就職手当支給の申請から振り込みまでの流れを紹介します。
再就職手当支給申請から振り込みまでの流れ
- ハローワークで失業認定の手続きを行う
- 再就職先から再就職の証明書類を受け取る
- 再就職手当支給申請書を作成・提出
1. ハローワークで失業認定の手続きを行う
再就職手当支給申請で必要な手続きや書類の入手は、基本的にハローワークで行います。
まず、再就職手当の申請者本人は、失業の認定を受け失業手当を受け取れている状態でなければなりません。
就職活動中は、再就職手当支給申請に関する手続きは特に行う必要はありません。ただし、原則として4週間に1度行われる失業の認定は必ず受けてください。
再就職手当支給申請のための具体的な行動は、就職活動をして企業から内定をもらった後に始めることになります。
2. 転職先から再就職の証明書類を受け取る
再就職が決まったら、就職先から再就職したことを証明するための書類を受け取ります。呼び方は様々ですが、「就労証明書」や「採用証明書」と言われるものです。採用証明書は失業手当の手続きの際に受け取れる「受給資格者のしおり」に含まれています。
再就職の証明書類に必要な項目を記入してもらったら、ハローワークに提出し、再就職したことを報告します。
再就職手当の金額は支給残日数が関わっており、対象となる期間は再就職する前日までになるため、再就職の前日にハローワークへ行き、最後の失業認定を受けてください。
この最後の失業認定を受けていないと、再就職手当を受け取れる支給残日数が確定しないため注意してください。手続きで必要になるものは、以下の4点です。
- 採用証明書
- 失業認定申告書
- 雇用保険受給資格者証
- 印鑑
ここまでの手続きを「就職の届出」と呼びます。
3. 再就職手当支給申請書を作成・提出
「就職の届出」を行なったら、ハローワークで再就職手当支給申請書を受け取ります。ただし、再就職手当を受給できる要件を満たしていない場合は、申請書を受け取れないため注意してください。
そして、再就職先に入社後、再就職先に再就職手当支給申請書の事業主欄を記入してもらいます。残りの申請者本人が記入する項目を埋めて完成させましょう。
再就職手当支給申請書の本人記入欄と事業主欄を埋め、ハローワークへ必要書類と共に申請・提出すれば手続き完了です。申請が受理されれば、指定した口座(失業手当と同様)に振り込まれます。
再就職手当支給申請前に知っておきたいポイント
会社を退職して転職活動を開始する前に知っておきたい、再就職手当支給申請に関するポイントを紹介します。
再就職手当支給申請前に知っておきたいポイント
- 再就職手当を受け取れないケースもある
- 早めに再就職するほど支給金額が増える
再就職手当を受け取れないケースもある
再就職手当支給申請の手続きが順調に進んでいても、受給者側に満たしていない要件があれば、再就職手当をもらえません。
再就職手当がもらえない原因となる要件不足として多いのが、「支給残日数の不足」です。転職活動が難航して失業手当の受給期間が長くなれば、支給残日数が不足してしまいます。
再就職手当の受給要件
就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
例えば、雇用期間が10年未満の場合、所定給付日数は90日です(※)。つまり、転職活動の期間が2ヶ月(60日)を経過してしまうと再就職手当が受け取れなくなってしまいます。
他にも、雇用期間が不足していることにより受給できないケースも多いです。
再就職手当の受給要件
1年を超えて勤務することが確実であること。
選考段階で雇用期間に定めがない場合でも、雇用する企業側が契約更新時期を1ヶ月や半年に設定していれば、他の要件を満たしていても再就職手当を受け取ることはできません。
早めに再就職するほど支給金額が増える
基本手当の支給残日数によって決められる給付率は、次の通りです。
- 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の場合:
→所定給付日数の支給残日数×70%×基本手当日額 - 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の場合:
→所定給付日数の支給残日数×60%×基本手当日額
支給残日数が多いほど、金額が大きくなるだけでなく支給率も高くなるため、なるべく早く再就職した方が受け取れる金額が大きくなります。
つまり、支給残日数と基本手当日額が同じ方でも、所定給付日数の期間によって受給率が変わるため、受け取れる金額が変わります。
例えば、支給残日数が60日で基本手当日額が6,000円であったとしても、所定給付日数が90日のAさん(60歳未満)と所定給付日数が180日のBさん(60歳未満)では以下のように受取金額がかわります。
再就職手当受給金額の計算例
- Aさん:基本手当日額(6,000円)×支給残日数(60日)×受給率(70%)=252,000円
→支給残日数が3分の2以上であるため - Bさん:基本手当日額(6,000円)×支給残日数(60日)×受給率(60%)=216,000円
→支給残日数が3分の1以上であるため
再就職手当支給申請書の注意点
最後に再就職手当申請書の準備や提出に関する注意点を紹介します。
再就職手当支給申請書の注意点
- 自己都合で退職した場合の注意点
- 再就職手当支給申請には期限がある
- グループ会社への再就職に注意
自己都合で退職した場合の注意点
再就職手当の申請者本人が前職を自己都合や懲戒解雇などで退職し、7日間の待機期間が満了してから1ヶ月以内に再就職する場合は、ハローワークか職業紹介事業者の紹介で就職しなければ再就職手当は受け取れません。
自己都合や懲戒解雇など、申請者本人の原因により退職した場合、3ヶ月間は給付制限期間となります。(法改正により、令和2年10月1日以降は、5年間のうち2回まで給付制限期間が3ヶ月から2ヶ月に短縮されます。)給付制限期間中は、失業手当だけでなく再就職手当も受け取れません。
また、待機期間の7日間に再就職先を決めてしまった場合も同様です。再就職手当を適切に受け取るためには、失業手当の手続きを行うときにハローワークでよく確認しておくと良いでしょう。
再就職手当支給申請には期限がある
再就職手当の申請には期限があり、基本的な期限は再就職した翌日から起算して1ヶ月です。以前までは1日でも申請に遅れると再就職手当は受け取れませんでした。
現在では、申請期限が過ぎても時効期間が設定されており、再就職した翌日から2年間は申請して受理されれば再就職手当を受け取れます。
グループ会社への再就職に注意
再就職手当を受け取る要件に「離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと(資本・資金・人事・取引等の状況からみて、離職前の事業主と密接な関係にある事業主も含みます。)」というものがあります。
もちろん一度辞めた会社に再就職すると、再就職手当の不正受給になる可能性が高いです。グループ会社に再就職した場合も同様です。
そのため、大きなグループを形成している会社に勤めていれば、知らずの内に関連している会社に再就職していることもあるでしょう。このようなケースでは、場合によって再就職手当を受け取れないこともあるため注意が必要です。
再就職手当申請は注意点を押さえて適切に申請しよう
再就職手当は、失業手当を受け取っている人であれば受け取れることが多いです。しかし、実際には手続きの方法などを知らない人は多くいます。
早期に再就職先が決まったとしても、受け取れるはずだった失業手当に近い金額を受け取れるため、申請するのがおすすめです。
必要になるものや申請書の書き方、注意点を押さえて適切に申請しましょう。
また、再就職手当を受給した人の中には、就業促進定着手当受給の対象になる場合もありますので、以下の記事も参考にしてください。