AIテクノロジーは障害者を差別しない!今後の人事・総務のありかた

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これまで、障害者の就労環境は一般社員の補助的な業務が中心でした。

しかし、Aiやテクノロジーの発達により健常者と同じような仕事ができる可能性が広がってきており、企業も多様な働き方の一つとして障害者を受け入れるようになりました。

今回の記事では、障害者雇用の現状と、AIテクノロジーによって障害者が企業で活躍している事例、企業が障害者を雇用する場合のポイントをご紹介していきます。

AIテクノロジーは障害者を差別しない!今後の人事・総務のありかたの要約

3行要約
  • 障害者雇用の現状と障害者雇用機会の増加
  • AIテクノロジーを活用した障害者雇用の事例
  • 障害者雇用を見据えた人事・総務の動き

障害者雇用の現状

障害者雇用の現状

  • 障害者雇用とは
  • 人材不足と雇用環境の変化
  • 障害者雇用率制度について
  • これからの障害者雇用の方向性

障害者雇用とは

障害のある方でも活躍できる社会を創るための仕組みづくりは昭和35年の「身体障害者雇用促進法」によってスタートしました。

この法律では企業の従業員数あたりの障害者雇用数を設定する「障害者雇用率」の努力義務が課されました。

その後、昭和51年には障害者雇用率が義務化され、雇用率を達成していない企業から納付金を徴収する「身体障害者雇用納付金制度」が創設され、企業の障害者雇用が進みます。

そして昭和62年に、これまでは身体障害者のみであった雇用率の対象に知的障害者を加え、「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」と改名されました。

平成30年には精神障害も加えられるなど、段階的に制度の拡充が図られています。

これまでの障害者雇用政策の対象は大手企業が主な対象となっていましたが、平成21年の改正以降、障害者雇用納付金制度の対象が徐々に中小企業へと拡大を見せています。

雇用対象に精神障害者も追加されたことからも、障害者雇用は多くの企業で取り組むべきテーマとして認識されるようになってきました

人材不足と雇用環境の変化

民間企業の雇用状況は厚生労働省の「障害者雇用状況の集計結果」によると企業の障害者雇用数は560,608人で16年連続で過去最高を更新しています。

業界別には「鉱業・採石業・砂利採取業」と「金融業・保険業」を除く全ての業種で前年より増加しており、障害者を取り巻く雇用環境は着実に進歩しているといえるでしょう。

近年は人手不足が顕著になりつつあり、令和元年平均の有効求人倍率が1.60倍と、高水準で推移しています。

こういった背景からも障害者雇用に人材確保の活路を見出す企業も増えてきました。

またダイバーシティの推進や働き方改革など雇用環境の変化に伴い、障害者だけでなく、高齢者や女性、外国人の採用に乗り出す動きも進んでいます。

このように人手不足が多様な働き方を推進しており、確実に生産年齢人口が減少していく日本の労働環境は、ますます多様化していくと見られています。

厚生労働省「障害者雇用状況の集計結果(令和元年)」

厚生労働省「一般職業紹介状況(令和元年12月分及び令和元年分)について」

障害者雇用率制度について

障害者の雇用が拡大している背景には、人手不足以外の要因として昭和51年から義務化された障害者雇用率制度の存在が挙げられます。

これは一定数以上の従業員を雇用している事業主は従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にしなければならないという制度です。

従業員を45.5人以上雇用している事業者は障害者を1名以上雇用することが義務付けられており、91人で2人、136.5人で3人の障害者を雇用する必要があります。

法定雇用率を達成していない事業者に対しては行政指導が入り、「雇入れ計画作成命令」の作成が命令され、計画を達成できない企業には「雇入れ計画の適正実施勧告」が実施されます。

それでも障害者雇用率を達成しない場合には企業名が公開されます。

また、障害者の雇用に伴うバリアフリー工事などの経済的負担を軽減するために、障害者雇用率が未達の従業員100人超の企業から不足数1人あたり毎月5万円の「障害者雇用納付金」を徴収します。

この資金を障害者を雇用している事業主に調整金や報奨金という形で支給します。

令和2年現在の法定雇用率は民間企業で2.2%、国や地方公共団体団体は2.5%、都道府県等の教育委員会は2.4%の雇用率を義務付けられており、令和3年には全ての事業主に対して法廷雇用率を0.1%引き上げられることが予定されています。

障害者雇用率制度について、詳しくは厚生労働省のページからも詳しくご確認いただけます。

障害者雇用率制度|厚生労働省

これからの障害者雇用の方向性

今後も政府によって障害者雇用の制度は拡充していく方針が打ち出されています。

前章で述べた通り令和3年4月には法定雇用率が0.1%引き上げられ、それ以外にも以下のような制度の実施が見込まれています。

1.週所定労働時間20時間未満の障害者雇用に対する支援

現在の障害者雇用率制度では週あたりの所定労働時間が20時間に満たない障害者は法廷雇用率でカウントされません。

一方で平成30年から精神障害者が雇用義務の対象者に追加されたものの、障害の特性上として週に20時間以上の就労が難しい障害者への対応が問題視されるようになりました。

そこで、週所定労働時間が20時間未満でも雇用率にカウントするように制度を拡充するように調整が進んでいます。

2.自宅や就労支援施設等での障害者の就業機会の確保

ICT技術の進歩に伴い、健常者でも在宅ワークが可能な環境が整っている現在、障害者に対しても自宅や就労施設での就労を障害者雇用率制度に加算できるような制度も検討されています。

これまでは障害者の自宅や就労支援施設での就労は企業での就労の訓練として捉えられていました。

しかし、在宅ワークやテレワークが認められるようになりつつあるので、障害者の在宅や就労施設での仕事を雇用による正規就労として認めることが求められており、制度の拡充が期待されています。

AIテクノロジーの活用による障害者雇用機会の増加

AIテクノロジーの活用による障害者雇用機会の増加

  • AIテクノロジーの企業への導入
  • テクノロジーによる障害者支援の現状
  • AIテクノロジーによる障害者雇用の普及
  • これからの障害者雇用の方向性

AIテクノロジーの企業への導入

制度面で障害者雇用の拡充が進むなかで、企業ではテクノロジーの導入によってグローバル化やダイバーシティ、生産性向上や働き方改革への対応を進めています。

具体的にはテレビ会議システムやeラーニング、社内無線LANやタブレット端末の導入、ペーパレス化などが代表的な例です。

これらのテクノロジーの導入により、社内の生産性向上を目指す動きが大手企業を中心に進んできました。

一部の企業では AI や腕や頭部など身体に装着して利用するウェアラブル端末、画像の文字情報を自動でテキスト化する技術となるOCR、音声の自動テキスト化やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による定型業務の自動化など先端的なテクノロジーが導入されつつあります。

世界最大規模のコンサルティングファームであるアクセンチュアが日本を含む20カ国、20業界における8300社以上を対象にした調査によると、テクノロジーを活用する企業は業績が顕著に延びることが明らかであると発表しています。

この調査結果からも、先端技術の導入が企業に高い成果をもたらすことが明らかになりました。

特に業界を牽引する企業の多くはイノベーションを起こすために、システム間の互換性や人と機械やAIなどのプログラムの間にある境界線を取り払うようなサービスの開発を進めています。

人間との自然な対話や見聞きしたことが理解できるシステムを構築することで人間と機械の違和感の無いやり取りの実現を目指しています。

このようなシステムは健常者だけでなく障害者も活用できるシステムであり、テクノロジーの進歩によって障害者の社会参画の可能性が大きく広がってきました。

日経リサーチ「テクノロジーの活用で業務の効率化と残業時間削減を実現」

アクセンチュア「テクノロジー活用で先行する企業の収益成長率は、出遅れた企業の2倍に上ることが判明」

テクノロジーによる障害者支援の現状

これまでは、働く意欲があっても障害があることを理由に就労が困難な方々が多く存在していました。

しかし、前述のとおりテクノロジーの進歩により、障害者が社会で活躍できる環境が整いつつあります。

特にAIやロボット技術の活用は、障害者の社会参画の可能性を広げる技術として高い期待が寄せられています。

具体的に上げていきます。

視覚に関する障害を持つ人を支えるテクノロジーとして、スマートフォンと連動して時刻やメッセージの着信状況などを点字で表示するスマートウォッチが登場しました。

Dot Watch- In touch with the world. From your wrist.(英語サイト)

他にも周囲の状況を超音波で捉えて振動で伝えるデバイス、振動の強さによって進むべき方向を教えてくれるベルトも開発されました。

feelSpace(英語サイト)

また、書類に記載された文字情報を一瞬で点字に変換して印刷できる技術も確立しています。この技術が普及すれば点字を理解できない人でも自分の意思を素早く簡単に視覚障害者に伝えられ、円滑にコミュニケーションがとれるようになります。

また、Webサイトの文字情報を音声で読み上げるツールも開発が進んでおり、視覚情報を素早く音声に変換して視覚障害者に届けるための試みが続けられています。

聴覚障害のある人向けのテクノロジーとしては、 音声情報をリアルタイムでテキストに変換してスマートグラスやヘッドマウントディスプレイに表示する技術が開発されています。

さらに、聴覚障害でも車の運転ができるように、車の周囲の音声情報をディスプレイで表示したり、音声情報をハンドルを振動させることでドライバーに伝える技術も開発されています。

現代自動車、聴覚障害者向けの運転支援技術を発表|日経電子版

AIテクノロジーによる障害者雇用の普及

2019年の11月にアメリカのITコンサルティング企業ガードナーはAIを始め、AR( 拡張現実)やVR(仮想現実) などのテクノロジーの普及により2023年には障害者雇用の機会が3倍に増えるとの予想を発表しました。

日本ではALSなどの重度身体障害者が自宅から遠隔操作するロボットが店舗で接客するカフェ「分身ロボットカフェDawn」の実証実験がスタート

肉体的な制約があってもロボットを操作することで働くことができるようになると、障害者雇用へのハードルが大幅に下がることから実用化が期待されています。

このように、AIやテクノロジーによって障害者雇用が普及する未来がすぐそこまで近づいており、大手企業を中心に実証実験の受け入れや先行導入が進行中です。

IT部門およびユーザーに影響を与える 2020年以降に向けた重要な展望を発表|ガードナー

AIテクノロジーを活用した障害者雇用の事例

AIテクノロジーを活用した障害者雇用の事例

  • アクセンチュア株式会社
  • NTTグループ
  • 株式会社LITALICO
  • SBテクノロジー株式会社

アクセンチュア株式会社


世界最大規模のITコンサルティングファームであるアクセンチュアは、テクノロジーの活用によって障害による障壁をなくすための技術開発が進められています。

障害の有無に関わらず、意欲的な人材を採用する同社では、最先端のテクノロジーの導入によってこれまでには挑戦できなかった役割を障害者が担えるような製品やサービスの開発を障害者自身が行っています。

例えば、 聴覚に障害がある社員がユーザーの視点で意見を出しつつ、AIが発話内容をリアルタイムに字幕表示するミーティング用のツールの開発を進めています。

実用化されれば健常者と聴覚障害者が手話を用いずにリアルタイムで意見交換をすることが可能になります。

障がい者採用情報|アクセンチュア

NTTグループ


NTT グループでは、障害者によるオフィスでの受付業務を2020年2月よりトライアルで開始しています。

体が不自由であったり、外出困難な方がロボットを遠隔操作して来訪者の受付や会議室への案内等を実施

始まったばかりの取り組みではありますが、障害を持つ人がロボットを遠隔操作してオフィスで勤務するという初めての試みに注目が集まっています。

採用情報|NTTクラルティ

株式会社LITALICO

LITALICO
障害者雇用促進事業を行っているLITALICOは、地方在住の障害者の雇用の機会の創出のためにLITALICOが展開する地方拠点の中のオフィススペースを雇用企業に貸し出し、そこで企業から雇用された障害者が働ける環境を提供。

仕事は主にクラウド環境を用いて進めていきます。

LITALICOが提供するオフィスには、バリアフリー設備や障害者への対応に慣れているスタッフが支援してくれるので、導入企業も本人もストレスなく業務に取り組むことが可能です。

LITALICOワークス

SBテクノロジー株式会社

SBtechnology
ソフトバンクグループのIT部門を担うSBテクノロジーでは、テクノロジーを活用して障害者が働きやすい環境を創出しています。

例えば、IoT 技術を使ってトイレの空室状況をリアルタイムで提供するなど身近な課題をテクノロジーで解決できるシステムを提供しています。

また当事者として障害者が働きやすい環境を作るためのシステムやサービスの開発などを担うことができ、仕事を通して障害者が働きやすい環境を作ることができます。

障がい者採用 募集要項|SBテクノロジー

障害者雇用を見据えた人事・総務の動き

障害者雇用を見据えた人事・総務の動き

  • 自社の障害者雇用の今後を見据える
  • どのような技術を導入できるか検討する
  • 社内の受け入れ態勢を構築する

自社の障害者雇用の今後を見据える

人手不足やダイバーシティーの観点から、企業が障害者雇用を拡大する流れは継続していくでしょう。

また法定雇用率の拡大によって障害者雇用の検討を始める企業も今後は増加します。

経営陣の考え方を把握し、自社の障害者雇用が今後どのように進んでいくかを見据えることが重要です。

既に障害者雇用を実施している企業であれば受け入れの余地や依頼できる業務があるのかを棚卸ししておきましょう。

初めて障害者雇用に取り組む場合には、そもそも障害者雇用体制の構築についてハローワークなどで相談するところからスタートします。

自社の状況に合わせてどのようなポジションでどのような仕事ができるのかを企業内で検討しておき、受け入れ態勢を構築することが重要です。

どのような技術を導入できるか検討する

障害者を雇用する上で、どのようなテクノロジーが活用できるかを検討することも必要です。

最もイメージしやすいのはクラウド技術を活用した在宅勤務です。この場合は障害者側も通勤の負担がなくなるので仕事に就くハードルが下がります。

そもそも在宅ワークを取り入れていないという場合には、在宅ワークの導入を検討することから始めることから始めると良いでしょう。

他にも、定型文をクリックするだけでメールが簡単に送信できるシステムなど、業務をサポートするシステムを導入するかを検討します。

社内の受け入れ態勢を構築する

障害者の雇用が決定したら社内での受け入れ体制の構築をしなければなりません。

企業によっては総務関係の部署に配属をして様々な仕事を任せるケースがありますが、中には現場の管理職の下で勤務に従事させる場合もあります。

そのような場合には、障害者雇用の重要性や合理的配慮についての教育や啓発活動を行いましょう。

全ての従業員が障害者雇用に理解があるわけではないので、障害者雇用の重要性や合理的配慮の必要性をしっかりと説明して受け入れに協力してもらう必要があります。

また、現場に配属する場合には、障害の状況に合わせて適切にサポートすることができる人員や相談先を用意するなど、障害者のケアを怠らないようにしましょう。

テクノロジーの活用によって、誰もが活躍できる社会へ

近年、テクノロジーの活用によって障害がある方でも社会で活躍できるような環境が整ってきました。

AIやテクノロジーは障害者を差別せず社会と関わる機会を提供します。

障害者が働きやすい会社は、誰にとっても働きやすい会社です。

多様化が進む社会のなかで、誰もが働きやすい環境を整備することは障がい者だけでなく高齢者や出産前後の女性社員など、様々な社員にもメリットをもたらすでしょう。

環境の整備は生産性向上や離職率の低下につながり、引いては売り上げや企業ブランドの向上に繋がる可能性を含んでいます。

今後は障害者をうまく雇用できる企業が競争力を高めていくと見込まれています。

障害者雇用は雇用の人数よりも離職率が重視されます。当事者の目線に立ち、より働きやすい就業環境を構築していきましょう。