ハローワークのジョブ・カードとキャリアコンサルティングとは?メリットと取得手順

ハローワークでキャリアコンサルティングを受けられることをご存知ですか?

キャリアコンサルティングを受け、キャリアの棚卸を事前にすることによって、転職後に「やはりやりたい仕事ではなかった」という悩みを防ぐことができます。申し込めば利用者は受けることができるのですが、事前にジョブ・カードの記入が求められます。

ここでは、ハローワークでキャリアコンサルティングを受けるメリットとジョブ・カードの取得手順をご紹介します。

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ハローワークでキャリアコンサルティングを受けるメリット

キャリアコンサルティングの役割

ハローワークでのキャリアコンサルティングの役割はいくつかあります。

  1. 求職者がよりよい就職活動をするため
  2. 雇用型求人に応募するため
  3. 公共職業訓練各種を受講し、受講中、受講後に訓練の成果を確認するため
  4. 専門実践教育訓練を受講するため


ハローワークでキャリアコンサルティングを受けるメリットはキャリアコンサルティングが無料や大幅な補助が出る教育訓練と一体になっている点です。

キャリアコンサルティングを受けないと応募できない教育訓練も多くあり、受講には必須となっています。

ジョブ・カードは現状では一般企業に浸透せず、厚生労働省管轄下の施設や施策中心に使われていますが、こうした教育訓練とセットになったキャリアコンサルティングに必須のツールとなっています。

就職・転職のため

ハローワークで行われるキャリアコンサルティングとはどのようなものでしょうか?

実は通常の転職エージェントで受けるキャリアコンサルティングとほとんど変わりありません。求職者の要望を聞き、職務経験の棚卸しや自己理解の促進を図り、適切なアドバイスをするという役割があります。

またハローワークではキャリアコンサルティングと共にジョブ・カードの入力や作成が求められます。完成までに時間が掛かりますが、一般企業には浸透しておらず、ハローワーク以外の求人で使い道がないこともあり、就職・転職活動ではあまり使われない傾向があります。

ただし、正社員の職歴があまりなく、転職エージェントのキャリコンサルティングを受けられない場合はメリットがあります。フリーターからの転職を計画している方はキャリアコンサルティングとジョブ・カードの作成にチャレンジされることをおすすめします。

雇用型訓練求人に応募するため

「トライアル雇用」と「有期実習型訓練」が一体型になった求人です。フリーターが長かった若者に正社員雇用への道を開こうという目的で作られました。

トライアルの雇用期間は3か月です。ジョブ・カード作成、キャリアコンサルティングを終了した若者をハローワークが企業に紹介します。事前にキャリアコンサルティングを行っていることで雇用後のミスマッチが起きにくいというメリットはあります。

ただ試行雇用奨励金とキャリア形成促進助成金いう2種類の助成金が企業側に出るので、こちらを目当てにした悪質なケースもあるという口コミがいくらか見られるので注意が必要です。就業後、何度もジョブ・カードの提出を企業側から求められた場合はハローワークの職員やキャリアコンサルタントと相談した方が良いでしょう。

この場合は注意!

雇用契約を何度も更新する
ジョブ・カードの提出を何度も求められる

公共職業訓練を受講するため

就職、転職の他に公共職業訓練を受ける際にもハローワークではキャリアコンサルティングが行われます。公共職業訓練は通常3-6か月間です。訓練期間中全部で3回ほど(コースやハローワークによって回数の差はあります)訓練がスムーズに行われているか、訓練の成果はどうかを確認するためにキャリアコンサルティングが行われます。

引用元:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

こちらは予約の必要がありませんが、受けることが義務化されています。

公共職業訓練はほぼ無料で受けることができ、また訓練中は雇用保険の失業手当(基本手当)の受給日数が延長される利点がありますので、やむを得ない一面があります。

デュアルシステム(公共職業訓練)コース受講のため

2004年からスタートしました。「働きながら学ぶ、学びながら働く」ことにより育成する職業訓練システムです。

具体的には、企業内での実習訓練と教育訓練機関での座学(企業における実習訓練に関連した内容)を並行的に実施します。デュアルシステムは、厚生労働省と文部科学省が連携して実施しています。

ハローワークにおいてはフリーターからの正社員雇用への道を開くために設置された支援策の色が強いです。


引用元:厚生労働省日本版デュアルシステム

長期高度人材育成コース(公共職業訓練)受講のため

従来の公共職業訓練枠内に2018年に新設されたコースです。
1年-2年と長期の職業訓練を受けるコースです。雇用保険に加入していたかは問われませんが、加入していた場合は失業手当の他に受講手当・通所手当が支給されます。

2014年にできた専門実践教育訓練が座学を多く含むコースが多いのに比べ、こちらはIT技術取得、介護福祉士、社会福祉士、保育士資格取得など実務的なコースが多いのが特徴です。

専門実践教育訓練が人材の育成が急務な分野に対象を絞り、雇用のミスマッチ解消や人材の中長期的なキャリアアップを目指していたのに比べ、こちらの長期高度人材育成コースの対象は派遣やフリーター経験が多く正社員歴が少ない若者や、出産、子育てでキャリアが途絶えてしまった女性です。基本45歳未満という制約があります。

就職後6か月間、定着指導やフォローアップの支援を重点的に行います。

応募条件は以下の4つを満たすことを求められます。

  1. ハローワークの求職者
  2. 概ね45歳未満(※ただし個々の特性に応じて45歳以上も可
  3. 安定就労経験が乏しい又は出産・育児等により長期離職していた女性など訓練の必要性が高い方
  4. ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングにより訓練の受講が認められた場合


引用元:厚生労働省訓練企画室

求職者支援訓練を受講するため

求職者支援訓練とは公共職業訓練と同じく、離職者が職業訓練を受講できるシステムですが、公共職業訓練が雇用保険に加入していた方が対象なのに比べ、求職者支援訓練は、アルバイトやパート、自営業等として働いており、雇用保険に入れなかった方が対象です。

求職者支援の実践コースはジョブ・カードの作成とキャリアコンサルティングが必要です。
訓練内容は3-6か月で
特定の職種の職務に必要な基礎的並びに実践的な技能等を習得を目指します。

  • IT分野
  • 営業・販売・事務分野
  • 医療事務分野
  • 介護福祉分野

などがあり、専門的な職業訓練を受けることができます。こちらもコース受講中に数回キャリアコンサルティングが行われ、受講をきちんと行っているか、成果は出ているか確認が行われます。

専門実践教育訓練を受講するため

2014年に拡充された教育訓練給付金のうち、専門実践教育訓練は中長期のキャリアの形成の為に平均で2年、6か月から3年までの専門的な教育訓練を受講できるシステムです。期間が長く、支援額も大きいので、訓練開始前にキャリアコンサルティングを受ける必要があります。

原則訓練開始1か月前までにコンサルティングを受けなければいけないのですが、ジョブ・カードの提出とフィードバックで平均で2回ほど掛かるので、できるだけ早めに済ませた方が良いでしょう。

外部のキャリアコンサルタントに委託される場合も多く、公共訓練支援や求職者訓練支援より、経験と専門性の高いキャリアコンサルタントが担当するケースが多いようです。

専門実践教育訓練は支援額も大きく、キャリアチェンジにはかなり有用な支援なので、支援を受けたい場合は、時間が掛かってもジョブ・カードの作成とキャリアコンサルティングを済ますことをおすすめします。

キャリアコンサルティングは早めに済まそう!

平均で45-60分を2回実施、予約を含め意外に時間が掛かります

ジョブ・カードについて

ジョブ・カードとは?

具体的には以下の4つのシートからなります。記入例にリンクを張っています。

  1. キャリアプランシート
  2. 将来どのような仕事をしたいのか、今までの仕事の経験と今後なりたい自分についてキャリアプランを作成します。

  3. 職務経歴シート
  4. これまでどのような仕事をしてきたのか、その経験を記入していきます。どの部署でどのような仕事をしていたのか、部署には何人いたのか等具体的に記入します。

  5. 職業能力証明(免許・資格)シート
  6. 自動車免許、パソコンスキル等保持している資格を記入します。

  7. 職業能力証明(学習歴・訓練歴)シート
  8. これまで受けてきた訓練の履歴を記入します。ハローワークで訓練を受けた方はその内容を記入します。

これらをキャリアコンサルタントとの面談の際に提出します。

ジョブ・カードの作成を通じて、キャリアコンサルタントと一緒に将来に渡ってどのようなキャリアを形成すべきか検討し、青写真を作ります。

ジョブ・カードの記入事項は職務経歴書や履歴書に近い部分もありますが、一方で過去の経験を問い、どのような仕事をしていた時にやりがいを感じたのか、仕事を通じて知った自分の強みや弱みを分析する項目がたくさんあります。

転職エージェントで受けるキャリアコンサルティングよりも、性格分析からの適職分析に近い部分もあり、深い自己分析と理解が求められます。かなり労力が掛かる作業で、考えながらの入力が求められ、平均で作成に3-5時間程掛かります。

仕事の忙しさにかまけて普段意識化していなかった自己の強みと弱みについての熟考が求められ、記入作業によって自己の強みを生かし、将来に渡ってどのような仕事をしていきたいのか、はっきりと明確化されるメリットがあります。

フリーターでの就労が中心で、今までに職務経歴書を作成したことが無かった方は、コンサルタントに手伝ってもらいながらジョブ・カードを作成することでキャリアプランの構築しやすくなるメリットがあります

ジョブ・カードのダウンロード種類

ジョブ・カードの作成には下記の3つの方法があります。

  

1.ジョブ・カード作成支援WEB/ソフトウェアを使って作成 ジョブ・カード作成支援WEB/ソフトウェアには入力補助のジョブ・カード作成支援機能や、履歴書出力機能があります。
2.様式(PDF)を使って作成 印刷して手書きで作成するための様式です。
3.様式(Excel)を使って作成 ジョブ・カードのソフトをPCにインストールせずに、Microsoft Excelを使ってジョブ・カードを作成します。

この中で一番作りやすいのは、作成支援の補助機能を使った1です。ソフトをインストールする方法もあるのですが、.NET Framework 3.5の事前インストールを求められてしまいます。ソフトをインストールするとじっくり時間を掛けながら何度もやり直すことができますので、その場合は、インストールマニュアルに従って.NET Framework 3.5をインストールした方が良いかもしれません。

パソコンの操作が苦手な方は、あまり混雑していない「わかものハローワーク」でやり方を教えてもらいながら入力しても良いですし、その場で印刷してもらって後で手書きで書きこんでも良いでしょう。

ジョブ・カードのひな型はジョブ・カード総合サイトにあります。総合サイト内はページ数が多いこともあり、入手場所がややわかりにくい所にあります。ここではサイト内からジョブ・カード作成支援WEBを利用してカード入力する方法をご紹介します。

ジョブ・カード作成支援WEBから入手するには?

  1. ジョブ・カード制度の総合サイトからジョブ・カード作成支援WEB/ソフトウェアへ移動します。
  2. すると以下の画面が出ます。
  3. 5つの質問に回答すると、①の「ジョブ・カード作成支援WEB利用開始」が選択できるようになります。
  4. クリックすると以下の画面が出ます。
  5. ①を押すと作成が始まります。

作成手順

まず最初は③の職業能力証明(免許・資格)シートもしくは④の職業能力証明(学習歴・訓練歴)シートから作り始めるとやりやすいでしょう。見本を見ながら書き、わからないところは後でキャリアコンサルタントに相談しましょう。

その後、②の職務経歴シートを作成し、過去に経験した仕事内容を振り返りながら記入します。今までに経験した仕事を元に将来の青写真であるキャリアプランを作成する①キャリアプランシートの記入をすると整理しやすくなります。

キャリアコンサルタントとの相談前にある程度、自分で考えて完成さすことが必要ですが、必ずしも無理に全部埋めなくても大丈夫です。慣れない場合はキャリアコンサルタントと相談しながら作成しましょう。

キャリアコンサルティングを受ける流れ

ハローワークで求職相談をします。相談の結果、訓練を希望する場合は該当する訓練を紹介をしてもらいます。その後キャリアコンサルティングを受ける為にジョブ・カードを作成します。わからない部分は空欄にしてキャリアコンサルティング(1回目)の際に聞いても良いでしょう。記入を終えたらキャリアコンサルティングの事前予約をします。

キャリアコンサルティング後、訓練を受けて正社員への就職を目指す場合、全体の流れのイメージ図は以下の通りです。

引用元:「長期高度人材育成コース」新潟ハローワーク

キャリアコンサルティングの予約方法

キャリアコンサルティングは業務委託されており、予約方法はハローワークで確認するのが一番確かです。例えば2019年現在は一括して以下のサイトを運営する会社に委託されており、WEBから予約できるようになっています。

ジョブ・カード作成支援予約専用サイト

申し込み手順

  1. エリアを選択
  2. 『予約』ページより、支援を希望する地域からハローワークを選択

  3. 申込み
  4. 予約画面が出たら希望日時を選択して申込み記入

  5. 日時確定
  6. 申込み後、担当者より電話もしくはメールにて連絡があります。連絡後予約日時が確定します。

  7. 予約した日時・ハローワークにて相談実施

キャリアコンサルティング1回目

作成したジョブ・カードを元に抜けている部分やわからなかった部分を相談しながら埋めていきます。初めて職務経歴書を書く方や初めてキャリアコンサルティングを受ける方は慣れない為、1回60分では終わらないかもしれません。転職を何度か経験したことがある方は作成も慣れているので1回目で終わる可能性が高いです。

キャリアコンサルティング2回目

1回目で指摘された部分を埋め、内容をキャリアコンサルタントに相談しながら確認してもらいます。職務経歴書や学習歴・訓練歴を記した職業能力証明シート、保持資格、過去の職歴から今後のキャリアプランをコンサルタントと相談しながら練り、どのような仕事が向いているのか、やりがいを感じるのはどのような仕事なのかを明確にさせ、今後の資格取得も含めて将来はどのような仕事をしたいのか形にしていきます。

訓練の受講を希望する場合は、4枚のシートを完成させた後で、キャリアコンサルタントが訓練を受講しても問題がない旨をジョブ・カードに記入します。

こちらをハローワークの窓口で提出し、訓練受講前キャリアコンサルティング実施証明書を代わりにもらいます。訓練中の受講でしたら、職業能力証明書(訓練成果・実務成果)シートに記入がされ、訓練を続けても問題がない旨が保証されます。

まとめ

ハローワークで行われるキャリアコンサルティングのメリットは、さまざまな教育訓練とセットになっている点です。教育訓練を受けるにも、受講を続ける為にもキャリアコンサルティングは必要です。

ジョブ・カードは一般企業では普及しておらず、ハローワーク経由の求人中心に使われる傾向があります。職務経歴書や離席書の作成より書き込み量が多く時間が掛かり、下書きを完成させるには半日、その後予約を取り、コンサルタントと相談しながら完成させなければなりません。

訓練を受講するには意外に手間のかかる作業が待っています。

ただし、フリーターでの就労が多く、今まで職務経歴書を書いたことが無い方には、将来どのような仕事をしたいのか経験者に手伝ってもらいながら、プランを練られるメリットがあります。

希望する仕事が自分に向いているのか、その仕事に就くには具体的にどのような資格が必要であり、どのような訓練がどれぐらい必要なのかはっきりとわかります。ハローワークでキャリアコンサルティングを受けるのは無料ですので、正社員を希望する方は一度試されることをおすすめします。

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