年収よりも企業文化?Glassdoor調査で半数以上が収入より企業文化を優先すると回答

仕事内容、勤務地、企業文化など、転職やキャリアアップのタイミングで、企業に対し求めるものは数多くあります。

海外ではどのような項目が重視されているのでしょうか。

本記事では米Glassdoor社が、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの4カ国実施した、企業文化と企業ミッションに関する意識調査の結果を紹介します。

企業活動におけるミッション(mission)とは、企業と従業員が共有すべき価値観や果たすべき社会的使命などを意味します。従来の「経営理念」や「社是・社訓」がこれにあたりますが、そうした自社の根本原則をより具体化し、実際の行動に資する指針・方針として明文化したものを、とくに「ミッションステートメント」(mission statement)と呼びます。
引用:日本の人事部|人事キーワード|ミッションステートメント

企業文化とは経営学用語の一つ。ある企業が有している独特の価値体系や行動規範のことを言う。企業文化の現われとなっているものには、その企業の長年の伝統であったり、現時点での経営陣の経営方針などが存在する。

これは企業での社員の行動様式にも現れる事柄であり、例えばその企業が減点重視の方針を採っているならばその企業の社員は守りを重視した仕事をするようになり、逆に加点重視の方針を取っているならば社員は積極的に進もうとする傾向が高くなるわけである。

また企業文化というのは外部からその企業を見た場合のイメージに結びつく事柄であるため、社員はそうでない人間が自社を見たならばどのような印象を持つかと言うことも考えておくべき事柄である。
引用:Wikipedia|企業文化

欧米4カ国の約5,000人を対象に実施した、企業の文化とミッションに関する意識調査

アメリカのGlassdoorは、欧米4カ国で、企業文化と企業ミッションに関する意識調査を行いました。

Glassdoor社は、求人企業に関するレビュー(口コミ)や給与情報等に関する膨大なオンラインデータベースを求職者に提供することで求人企業の透明性を高めたことで知られ、オンライン求人サービスの領域において最大級の規模と成長率を有する世界有数の企業です。
引用:株式会社リクルートホールディングス|Glassdoor, Inc.の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの4カ国において、オンラインで実施された調査です。
調査期間は2019年6月10日から13日、18歳以上の成人5,113人を対象としています。

各国の調査人数の内訳はアメリカが2,025人、イギリス1,041人、フランスが1,027人、ドイツは583人です。

さらに、調査対象者中、2,757人がフルタイム、パートタイム、自営のいずれかの形態で在職中であり、内訳はアメリカ937人、イギリス582人、フランスは583人、ドイツ655人です。

すべての国で企業文化が重視されている

調査対象者の3/4にあたる77%が応募する前に企業の文化を検討すると回答しています。これは企業文化にネガティブな点を感じた場合、その求人への応募に重大な影響を与えることもあることを示唆していると言えます。

また、仕事の満足度という点においては、大多数が年収よりも企業文化が重要であると答えており、さらには若者の間でその影響が大きいことも、調査結果により明かになっています。

今回調査した4カ国のうち、アメリカとイギリスのミレニアル世代は、45歳を超える世代に比べ、収入よりも企業文化を重視する傾向がありました。アメリカのミレニアル世代が65%に対し、45歳以上では52%、イギリス66%に対し、45歳以上は52%でした。

米国で、2000年代に成人あるいは社会人になる世代。1980年代から2000年代初頭までに生まれた人をいうことが多く、ベビーブーマーの子世代にあたるY世代やデジタルネイティブと呼ばれる世代と重なる。
引用:コトバンク|ミレニアル世代

また、約4/3(73%)が個人の価値観と企業の価値観が一致しない場合、その企業に応募することはないと回答しています。

有能な人材を求めている企業にとって、企業はその価値観を明確に定義づけ明らかにして、さらには、それを実行することの重要性を表していることにもなります。

勤続期間という点で見ると、約2/3(65%)は、企業の文化がその企業に在籍を続ける、主な理由の1つになると回答しています。

フランスの69%という数字はイギリス(63%)、ドイツ(61%)を上回っています。

4カ国の10人中7人(71%)を超える在職者は、現在の企業文化が損なわれれば、別の仕事を探すと答えています。

この結果に関しては、ドイツが67%が最も低い数字で、フランスでは75%、アメリカでは74%という結果が出ています。

会社に求めるのは、明確なミッション

10人中9人(89%)と、圧倒的な人数が、企業は明確なミッションと目的を持つことが重要であると考えており、調査対象の国すべてが同様の結果となっています。

10人中8人(79%)が、応募の前に企業ミッションを検討すると答えており、企業にとって採用時に明確なミッションを示すことが重要であるということを示しています。

また、在職者の2/3(66%)は、職場に強い企業ミッションがあることで、モチベーションが上がり、会社へのエンゲージが上がるとも考えています。また64%は、企業ミッションがその職にとどまる主な理由の1つであるとも回答しています。

エンゲージメントとは、社員の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」を表すものと解釈されますが、より踏み込んだ考え方としては、「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」のことをいいます。
引用:日本の人事部|人事キーワード|エンゲージメント

国によって意見は異なるものの、フランスの在職者は他の国と比較して、在職中の企業にとどまる理由として、企業ミッションが重要であると答える割合が高い傾向があります。フランスは70%に対し、イギリスは60%、アメリカは63%、ドイツは63%でした。

全体の77%が採用や人材保持に対して、企業ミッションを大切にするべきと考えており、この数字は転職希望者が企業ミッションを重視している事を示唆しているとも考えられます。

従業員の満足度を左右するのも企業文化

今回の調査と同時期に、Glassdoor Economic Researchは5カ国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ)の社員満足の推進力に関するレポートを発表しました。

調査を行った5カ国中4カ国で、企業文化と組織の価値感は、従業員満足度の最も強力な判断材料という結果が出ており、幹部の統率力とキャリアチャンスがこれに続いています。

ドイツでは、幹部の統率力が、従業員満足度の一番の判断材料であるという結果が出ています。

アメリカでは、公的機関と非営利団体、教育機関の3つの業界で、前述の結果と異なる数字が出ました。

アメリカ全体の結果と比較しても、公的機関の従業員は、文化や自分が働く組織の価値感よりもワークライフバランスを重視してていると、数字により示されています。

また、アメリカの女性従業員は、男性よりもわずかにワークライフバランスを重視するという結果が出ており、男性の従業員は収入と福利構成を重視しているという結果が出ています。しかし、男女の違いはわずかな数字にとどまっています。

以上の結果を受け、GlassdoorのチーフエコノミストのAndrew Chamberlain氏は次のように述べています。

Andrew Chamberlain氏のコメント

「現代の企業に共通する誤認は、収入とワークライフバランスが従業員満足度を決めるうえでの上位に来る要因だと考えている点です」

「この結果に対する裏付けは見いだせてはいません。採用と人材確保を強化したいと考えている企業は、企業文化の構築と評価システムを重視すべきであり、それと同時に、幹部の統率力を強化し、従業員に対して明確なキャリアチャンスを提供しなくてはなりません」

人の価値観はそれぞれ、自分の価値観と合う企業を見つけることが需要

以上の調査結果を見てみると、調査対象となった4つの国では、企業文化とミッションは転職時と在職期間に影響を及ぼしていること、さらには個人の価値観と企業の価値観が一致することを求めている人が多いことが明らかになりました。

日本で実施された、転職時動向調査によると、転職時の決め手として上位となるのは「勤務地」「生活のゆとり」「収入」でした。

一見すると、今回のGlassdoorの結果とは差異があるようにも見えます。
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もちろん、これは転職者に限定した調査であり、調査項目も違い、さらには在職者も含まれる今回の調査とは容易に比較することはできません。

近年日本でも、育児や介護による離職の問題から、働き方に対するダイバーシティ(多様性)の問題は度々話題に上がっています。

市場の要求の多様化に応じ、企業側も人種、性別、年齢、信仰などにこだわらずに多様な人材を生かし、最大限の能力を発揮させようという考え方。
引用:日本の人事部|人事キーワード|ダイバーシティ

欧米のように多種多様な働き方が当たり前になれば、今回の結果のように、収入よりも企業ミッションや企業文化を優先する人が上回ってくる可能性もあります。

今回の結果を参考にし、すでに自分自身のライフパスやキャリアビジョンを明確に持っている人は、それに合うミッションや文化を持つ企業を探すことも、大切なことではないでしょうか。

いずれにしても、転職活動を開始したら、企業文化やミッションは調べておくべき重要な項目であることは確かだと言えそうです。

参照記事
https://about-content.glassdoor.com/en-us/workplace-culture-over-salary/
https://www.glassdoor.com/research/studies/employee-satisfaction-drivers/