派遣社員が正社員として転職を成功させるためのチェックポイント

派遣社員として働いていて、チャンスがあれば正社員になりたいという方は多いのではないでしょうか。

しかし、派遣社員から正社員になる転職には、正社員から他の会社の正社員になる転職とは異なる部分があります。

この記事では派遣社員と正社員との違いから、派遣社員から正社員への転職の実践編まで、転職成功のためのチェックポイントをくわしくご紹介していきます。

派遣社員から正社員を目指している方は、ぜひご一読ください。

派遣社員は3種類

派遣社員から正社員への転職の話をする前に、まず派遣社員について説明します。

派遣社員には、以下の3種類があります。

派遣社員の種類

  • 登録型派遣
  • 常用型派遣
  • 紹介予定派遣

登録型派遣

一般的に派遣社員といわれているのは、この登録型派遣になります。

登録型派遣では、まず派遣会社に派遣を希望する労働者として登録します。

次に、派遣会社に紹介された中から派遣先となる企業を選び、その派遣先と有期雇用契約を結びます。

派遣先では契約で定められた業務のみを行います。

派遣先で働いている期間中は給料を受け取ることができますが、派遣期間の終了後は無給となります。

アルバイトより時給が高く、派遣先を変えるなどの融通も利きやすい傾向があります。

常用型派遣

常用型派遣では派遣会社の社員となり、案件ごとに派遣会社から派遣された派遣先で仕事をします。

登録型派遣との大きな違いとして、常用型派遣では派遣先での派遣期間修了後も、雇用主である派遣会社から給料が支払われることがあります。

常用型派遣は、ITエンジニア、R&D(研究開発)、生産管理のような技術職のほか、人事、管理、薬剤師、介護職のような専門性の高い業種や職種で多く行われています。

常用型派遣は登録型派遣よりも専門性が高く、派遣会社の社員であるために安定性も高い傾向があります。

なお、平成27年の労働者派遣法の改正により、平成30年9月30日からは特定労働者派遣での常用型派遣は行われなくなり、一般労働者派遣(許可制)での常用型派遣(無期雇用派遣)に一本化されました。

平成27年の労働者派遣法の改正については以下をご参照ください。

厚生労働省|「(旧)特定労働者派遣事業」を行っている事業主の皆さまへ

紹介予定派遣

紹介予定派遣は、派遣先での社員雇用を前提として行われる、派遣会社による就職支援のようなかたちの派遣です。

最長6ヶ月の派遣期間内に双方が合意すれば、派遣先企業の社員としてその後も継続して働くことができます。

派遣期間中はお互いにとってのお試し期間であり、双方のミスマッチの可能性を少なくする意味合いがあります。

ただし、正社員になるための書類選考や面接があったり、正社員ではなく契約社員の場合があったりというような注意点もあります。

正社員と派遣社員の違い


正社員と派遣社員の雇用形態の違いや、それぞれのメリットとデメリットについてみていきましょう。

これらを理解することで、派遣社員から正社員に転職するメリットとデメリットについてみえてくる可能性があります。

雇用形態の違い

正社員と派遣社員には、雇用形態に大きく2つの違いがあります。

1つ目は、直接雇用か間接雇用かです。

正社員は企業に直接雇用されており、業務に関する指揮命令の権限はその企業の上長にあります。

いっぽう、派遣社員の所属先はあくまでも派遣会社であり、派遣先の企業に間接雇用されているかたちになります。

派遣先の企業は業務指示を行うことがありますが、勤怠や雇用に関する判断は派遣会社が行っています。

2つ目は、無期雇用か有期雇用かです。

正社員は企業との間で期間の定めのない(無期)雇用契約を結んでおり、なんらかの余程の事情がないかぎり、継続してその企業で就業できます。

しかし、派遣社員では、3ヶ月、6ヶ月などのような、期間の定めのある(有期)雇用契約となっています。

雇用期間が過ぎたときに無給にならないためには、契約を更新したり、新たに契約を結んだりする必要があります。

なお、契約社員は比較的長期とはいえ、有期雇用となっています。

派遣社員のメリットデメリット

派遣社員のメリットとデメリットについて、以下に列挙します。

派遣社員のメリット

  • 時給制である
  • 残業や休日出勤や転勤はないことが多い
  • 派遣先との交渉は派遣会社が行ってくれる
  • 仕事を選びやすい
  • 未経験OKな求人がある
  • 仕事内容が限定される
  • 責任が少なめである

派遣社員のメリットは、自由であることといえるでしょう。

やりたい仕事を選びやすく、仕事内容も限定され、仕事の責任は少なめです。

また、時給制であるために、みなし残業制の正社員よりも手取り収入が多くなることもあります。

派遣社員のデメリット

  • 期間終了で無給になる可能性がある
  • 同じ職場で長期間働き続けるのが難しい
  • 昇給の幅が少ない
  • 賞与はない場合が多い
  • 交通費などが支給されないことがある
  • 福利厚生面が薄い
  • 責任が重い仕事を任されにくい

派遣社員のデメリットは、やはり不安定なことでしょう。

有期雇用の期間満了のタイミングで無給になってしまうリスクがあります。

また、仕事内容が限定され責任が少なめなことは、キャリア形成の上ではデメリットにもなりえます。

給与面のほか、福利厚生などの待遇面でもあまり恵まれていないのもデメリットといえます。

正社員のメリットデメリット

正社員のメリットとデメリットについて、以下に列挙します。

正社員のメリット

  • 月給制のため安定している
  • 期間に期限がない無期雇用である
  • 社会的な立場が安定する
  • 賞与があることが多い
  • 社会保険などの福利厚生が手厚い
  • 仕事の裁量が大きい
  • キャリアを形成しやすい

正社員のメリットは、とにかく安定していることです。

無給になってしまうリスクが低いために社会的な立場が安定し、各種ローンを組みやすくなることもあります。

長期雇用が前提のため、仕事のスキルアップやキャリア形成においても有利です。

正社員のデメリット

  • 部署の異動や職場の転勤がある
  • 自分の意思では仕事を選びにくい
  • 仕事の範囲が広めである
  • 仕事の責任が重めである
  • 残業や休日出勤などが多い
  • 時給換算すると薄給になることがある
  • 人間関係への配慮が求められる場面が多い

正社員のデメリットは、会社の都合に縛られがちなことです。

安定している反面、それは時として足かせにもなりえます。

やりたくないことを引き受けたり、長時間の労働をしたりしなければならなくなることを覚悟しなければなりません。

派遣に関連する法制度の改正

ここで3つほど、派遣に関する法制度のトピックをご紹介します。

無期雇用派遣について

平成25年4月に、労働契約法の改正が行われました。

これにより、「同一の事業主のもとでの有期雇用派遣が複数回の更新がされて通算で5年以上となった際には、派遣社員からの申込みにより、無期雇用派遣とすることができる」ことになりました。

派遣社員は基本的には有期雇用でしたが、「無期雇用派遣」という期間が定められていない契約で働く派遣形態ができたことになります。

無期雇用派遣は、冒頭で紹介した常用型派遣にあたります。

平成25年4月の労働契約法の改正に関しては以下で確認いただけます。

厚生労働省|労働契約法の改正について

3年ルールと専門26業務について

平成27年9月30日から、労働者派遣法改正法が施行されました。

これにより、「派遣先企業は3年以上同じ職場で働く派遣社員を直接雇用に切り替えないといけない」ことになりました。

3年働いた派遣社員をそこの正社員にすることが本来の目的でしたが、3年を目前にした「雇い止め」の問題が発生しています。

また、技術者や通訳などの「専門26業務」といわれる専門職では、以前は派遣期間が定められていませんでしたが、この改正により、専門26業務でも派遣期間が最長で3年間となりました。

ただし、過半数労働組合の意見を聞けば、3年を越えて繰り返し派遣期間を延長できます。

平成27年の労働者派遣法改正については以下でご確認ください。

厚生労働省|平成27年 労働者派遣法改正法の概要

退職金支給などの待遇改善について

政府が推進する働き方改革により制定された「同一労働同一賃金の原則」に従い、労働者派遣法が改正され、2020年4月より施行されることになります。

これにより、派遣社員の退職金が支給されるなどの待遇改善が見込まれることになります。

同一労働同一賃金の原則や派遣社員の待遇の変化について、くわしくはこちらの記事をご参照ください。

平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>

2020年から派遣社員も退職金支給|改正労働者派遣法のポイント解説

派遣社員から正社員になるための3つのルート


派遣社員から正社員になるためには、3つのルートが考えられます。それぞれについてみていきましょう。

派遣先か派遣元で正社員になる

派遣先に派遣社員を直接雇用するしくみ(正社員登用制度)があれば、正社員になれる可能性があります。

ただし、ここで気をつけたいことは、直接雇用には正社員と契約社員の2種類があることです。

契約社員は登録型派遣に比べると雇用期間が若干長めですが、有期雇用であることには変わりがありませんので注意してください。

また、常用型派遣や派遣会社のスタッフになるなど、派遣元の派遣会社の社員になる方法も考えられます。

紹介予定派遣で正社員になる

紹介予定派遣は、一定期間後(最長6ヶ月)に正社員として雇うことを前提とした派遣の形態です。

実際に一定期間働くなかでお互いに適性や相性をみきわめられるため、ミスマッチが起こりにくくなっています。

派遣社員と派遣先の双方にメリットのある方法といえるでしょう。

一般の転職で正社員になる

現状の派遣という枠組みの延長にとらわれることなく、一般の転職によって正社員になる道も、もちろんあります。

一般の転職と同じですので、転職サイトや転職エージェントなどのサービスを活用しながら転職活動をすすめていくことになるでしょう。

転職市場でアピールできるスキルや実績をお持ちであれば、正社員への転職に成功する可能性が高いです。

正社員への転職チェックポイント<タイプ診断編>


正社員への転職の検討材料として、2つのチェックリストをご用意しました。

ご自身があてはまる項目がいくつあるか、試してみてください。

正社員になったほうがいい人と派遣社員のままのほうがいい人

正社員になったほうがいい人と派遣社員のままのほうがいい人のチェックリストです。

正社員と派遣社員で、どちらが自分に向いているのかの参考にしてみてください。

正社員になったほうがいい人

  • 収入や社会的立場の安定が欲しい人
  • 成長意欲やキャリア形成意識が高い人
  • 所属する組織への忠誠心が強い人
  • 仕事にやりがいや責任を求める人

正社員であることがメリットになるのは、多少不自由であっても安定であることを望む人でしょう。

また、給与アップやキャリアアップに関心の高い人は正社員向きといえます。

派遣社員を継続したい人

  • 安定よりも自由を求める人
  • 仕事の責任や長時間労働を避けたい人
  • 自分のやりたい仕事を突き詰めたい人
  • 働ける時間や場所が限定される人

派遣社員の方がメリットを感じられるのは、不安定であっても自由さを望む人です。

必ずしも全ての面において正社員が上で派遣社員が下とはかぎりません。

派遣社員の働き方が合っているのであれば、あえて正社員にならず、派遣社員のままでもいいでしょう。

派遣社員から正社員に転職できる可能性が高い人と低い人

派遣社員から正社員の転職で、転職が成功する可能性の高い人と低い人ではいったいどんな違いがあるのでしょうか。

派遣から正社員に転職できる可能性が高い人

  • 専門性の高いスキルのある人
  • 経験や実績がある人
  • 短期間での離職歴が少ない人
  • コミュニケション能力が高い人
  • 年齢が若めの人

スキルや実績があるなど、転職市場において市場価値の高い人は、転職できる可能性が高いです。

それに、新しい職場になじめるなどの対応力やコミュニケーション能力がある人、人間的な魅力や個性がある人は面接をパスしやすい傾向があります。

派遣から正社員に転職できる可能性が低い人

  • スキルや実績が物足りない人
  • 内心で正社員を諦めている人
  • 理想が高すぎる人
  • コミュニケーション能力が低い人
  • 年齢が高めの人

どうせ派遣社員だから無理だと思っている人は、実際に無理になってしまうことが多いです。

逆に、正社員になりたいからと、希望や理想を高くしすぎても成功しづらいです。

最後に年齢ですが、一般的に転職は30代半ば以降から難しくなる傾向があり、これは派遣社員から正社員への転職でも同様です。

正社員への転職チェックポイント<実践編>


派遣社員から正社員への転職をするときの、書類の書き方や面接の答え方での注意点をご紹介していきます。

派遣社員から正社員の転職では、正社員から正社員への転職とは異なる独特の部分がありますので、念のため確認しておいてください。

履歴書の書き方(職歴、志望動機)

履歴書の職歴欄には、正社員からの転職の場合では以下のように記入します。

<職歴>
○○年○○月 ○○会社に入社
○○事業部に配属 ○○に従事
○○年○○月 一身上の都合により退職

このように入社から退職までを記入していきます。

しかし、派遣会社から派遣先に派遣されて働く派遣社員では、派遣元と派遣先がわかるように記入する必要があります。

派遣社員としての職歴を記入する場合、以下のようになります。

<職歴>
○○年○○月 △△派遣会社に派遣登録
派遣社員として下記の業務に従事
○○年○○月 派遣先A社○○部に派遣社員として就業(○年○ヶ月間または○○年○月まで)
○○の業務を担当
○○年○○月 派遣先B社○○部に派遣社員として就業(○年○ヶ月間または○○年○月まで)
○○の業務を担当
○○年○○月 派遣期間満了のため退職
○○年○○月 □□派遣会社に派遣登録

派遣会社および派遣先の企業名と期間と担当業務内容について、時系列で簡潔に記入していきましょう。

また、履歴書の志望動機の欄には、今まで派遣社員だった理由と正社員として働きたい理由の2点について記入します。

今まで派遣社員だった理由では、さまざまな仕事を経験したかったなどの、前向きな内容にするとよいでしょう。

家族の介護のためなどの理由の場合は、現在はその事情が解消されていることを付け加えるのを忘れないでください。

正社員として働きたい理由では、やりたい仕事があることをアピールするようにしましょう。

給料が良いから、安定しているからというのは、あまりおすすめしません。

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職務経歴書の書き方

職務経歴書には、履歴書よりも具体的に職務の内容などを記入していきます。

<職務経歴>
○○年○○月 △△派遣会社に派遣登録
○○年○○月 派遣先A社に派遣社員として勤務
【期間】○年○ヶ月間または○○年○月まで
【配属部署】○○部
【職務内容】○○の業務を担当
【挙げた成果や身についたスキルなど】○○○○
○○年○○月 派遣先B社に派遣社員として勤務
【期間】○年○ヶ月間または○○年○月まで
【配属部署】○○部
【職務内容】○○の業務を担当
【挙げた成果や身についたスキルなど】○○○○

上記は時系列式の書き方ですが、下記のようなキャリア式の書き方もあります。

<職務経歴>
○○業務について
【職務内容】○○の業務を担当
【期間】○年○ヶ月
【挙げた成果や身についたスキルなど】○○○○

○○業務について
【職務内容】○○の業務を担当
【期間】○年○ヶ月間
【挙げた成果や身についたスキルなど】○○○○

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面接でよく聞かれること

派遣社員から正社員への転職での面接では、派遣であったことに関連する厳しい質問が飛んでくる可能性が高いです。

例えば、以下のような質問です。

<面接での質問例>
Q:現在、正社員ではなく派遣社員として働いているのはなぜですか?

Q:どうして最初の就職活動で正社員になれるところを受験しなかったのですか?

Q:正社員について、派遣社員時代にはどんなふうに思っていましたか?

Q:派遣社員と正社員では何が違うと思いますか?

Q:正社員では仕事での要求レベルが上がりますし、責任も重くなりますが、大丈夫ですか?

具体的な回答内容は人によって異なるでしょうが、このような質問を想定して事前に対策を立てておく必要があります。

転職エージェントを利用すれば、このあたりの面接対策も期待できます。

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派遣社員を退職するときの注意点

最後に、派遣社員を退職するときの注意点です。

派遣社員から転職して正社員としての職場に移るには、現在の派遣契約を解約しておく必要があります。

現在の派遣契約を解約しないままに転職してしまうと後日トラブルを招くおそれがありますので、絶対に忘れないようにしてください。

派遣契約の解約を申し出る相手は、派遣先の管理職や人事担当者ではなく、派遣会社の営業担当のほうになります。

解約を申し出る時期は、業務引継ぎの期間を考慮すると、退職予定日の1ヶ月ほど前が望ましいでしょう。

派遣社員から正社員への転職を成功させよう

派遣社員から正社員への転職についてみてきました。

以下がこの記事のまとめです。

派遣社員から正社員への転職について知っておくべきこと

  • 派遣社員には登録型派遣と登録型派遣と常用型派遣と紹介予定派遣の3種類がある
  • 派遣社員は自由だが不安定という特徴がある
  • 正社員は安定だが不自由という特徴がある
  • 派遣社員から正社員になるには3つのルートがある
  • 正社員向きの人、正社員になれる可能性の高い人がいる
  • 履歴書や職務経歴書の書き方や面接対策に注意する

派遣社員から正社員への転職は、正社員から正社員への転職と比べて難しいところもありますが、決して不可能ではありません。

自分には正社員の働き方が合っていると思われるなら、転職活動してみてはいかがでしょうか。

その際に転職エージェントサービスを利用すると、転職成功の可能性が高くなるでしょう。