インドの大手IT企業、日本進出のため従業員トレーニングに注力

日本市場における技術需要の高まりにインドの大手IT企業が注目

今年4月、経済産業省が発表した調査結果によると、2030年にはIT人材が45万人不足すると予測されています。

経済産業省発表「IT 人材需給に関する調査」

このような日本におけるIT人材の需要を受け、インド企業は日本に注目をしています。

本記事では、インドのIT企業が行っている、日本進出と日本での事業拡大に向けた取り組みに関するニュースを紹介します。

IT人材不足だけでなく、ビザや地理的要因からもインド企業が日本に注目

日本におけるIT人材需要の高まりを受けて、現在インドの大手IT企業の多くが、日本市場に注目しています。

TCSInfosysTech Mahindraに次いで、インドのIT業界第4位のWiproも例外ではありません。日本での顧客獲得や日本語や文化といったソフトスキルの習得に投資を行っています。

参考記事:Top 10 Information Technology (IT) Companies in India 2019

現地の日本語学校Hayakawa Japanese Language School & Cultural Centreと提携を行い、従業員教育として、言語と日本人に接する際の心構えなどの指導を行っています。

日本は徐々にインドにとって重要な市場であると認識されてきました。インドのエンジニアが好む国であること、また、IT企業が日本における大きな技術需要の高まりを認識したこと、ビザの問題、地理的問題などが背景にあります。

日本のIT市場は、アメリカと中国に続く巨大市場です。

インドのIT企業が日本の巨大なポテンシャルに注目するのも、不思議なことではありません。

Wiproで事業開発と営業戦略を統括する社長のAnand Padmanabhan氏は、インドのニュースサイトMoneycontrolに対し、以下のように語っています。

Wipro社長のAnand Padmanabhan氏のコメント

多くの日本企業がグローバル化しつつあります。日本のIT市場には、技術的アウトソーシングに対する高い需要と事業変革のチャンスがあるのです。

日本は我々にとって重要な地域であり、今後も注目し続け、日本での成長を推し進める事になるでしょう。

Wiproは日本市場での収益は開示していないものの、既に大手企業数社が同社の顧客であるとPadmanabhan氏は明かしています。

現地子会社となるWipro Japanは、コネクテッドカーや自動運転、 遠隔医療へのIoT技術の活用のためのシステムを開発しています。

コネクテッドカーは、インターネットへの常時接続機能を具備した自動車である。
引用:Wikipedia|コネクテッドカー

遠隔医療とは医師と患者が距離を隔てたところでインターネットなどの通信技術を用いて診療を行う行為。遠隔診療。細かく見ると「遠隔診断」と「遠隔診察」とに分けられる。
引用:Wikipedia|遠隔医療

自動車業界だけでなく、銀行やエンジニアリング、小売り、サイバーセキュリティなどの分野にも進出のチャンスがあると見ています。

言語習得だけでなく、日本の文化と慣習を尊重した教育

Wiproは日本進出とともに、言語の習得、オフショアの拠点、バイリンガル人材の保持にも投資しています。

Wiproの日本市場向けの投資には、従業員の言語、日本のマナー習得も含まれています。

従業員が日本の言語と文化の微妙な感覚を学ぶトレーニングプログラムを実施しています。こういった研修を実施することで、顧客だけでなく、従業員にとっても快適な環境を確保することができると考えているようです。

日本文化のルールを具体的に学ぶ

Wiproは現在研修中の従業員数は明かしていません。

日本語の基本以外にも、この研修では従業員が日本に早くなじむことができるためのノウハウとして、買い物、箸の正しい使い方、PCでの日本語のタイピング法なども、指導しています。

前述のHayakawa Japanese Language School & Cultural Centreの清水氏は次のように語っています。

Hayakawa Japanese Language School & Cultural Centreの清水氏のコメント

日本の文化はインドとは異なっており、インドで普通だと思われていることも、攻撃的であり、ビジネスチャンスを失う可能性さえ出てきます。欧米とは違いがあるのです。

一番最初の指導は、時間管理。インド人が正しく理解していない日本文化でもあります。時間厳守か時間前に行動すべきです。

バスや電車も時間通りに動いていおり、決まった時間を守れないことで、ビジネスチャンスを失うこともあります。

また、名刺交換の際には、互いに十分に敬意を示す必要があります。

インドでは当たり前であるような、すぐに名刺をしまう行為はNG。インドでのようにふるまってしまったなら、日本では担当者を怒らせる可能性もあります。

優先するのは、個人でなく常にチームであり、インド人もそれに従わなければなりません。

英語では「Thank you」と訳される「ありがとうございます」という言葉を正しく使う事も難しい事です。

同校のインド人日本語教員によると、日本人は幅広い意味でこの言葉を使用し、相手にもそう期待しているといいます。

謝罪の言葉についても同様のルールがあることも指導しています。

日本においては序列がとても重要な意味を持っており、インド人もそれを学び、尊重する必要があります。

日本文化に慣れることと同様に、日本語を使うことが日本でビジネスを行うコツであるとも指導しているようです。

日本でビジネスを円滑に進めるコツ

なによりも、日本語を話そうとすること。これこそが、ビジネス上の関係を構築するのに大きく役立つことであり、最も重要なことでもあります。

インドだけでない、外国人IT人材が業界発展のキーになるか

日本では今後深刻な人材不足が予想されているIT業界。

前述の経済産業省による調査でも、「外国人IT人材の供給を増やしていくことも IT人材供給力強化の方策の一つ」と明記されていました。

今後の日本における業界の発展には、今回取り上げたインドだけでなく、世界中からの人材受け入れがキーになりそうです。

参照記事
https://www.moneycontrol.com/news/business/konnichiwa-big-it-investing-in-language-soft-skills-as-japan-emerges-favourite-onsite-market-4401721.html