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「手を動かして」覚えた情報を効率よく 取り出す|情報整理の達人術

いいアウトプットは、下準備が決め手

ここで記憶のプロセスを分解してみましょう。

大きく分けて3つの段階を経て、人間の脳は記憶を活用します。

人の記憶の3段階

  1. まず、体験した出来事が頭に記録されます。
    これは「記銘」と呼ばれ、コンピューターで言えば「インプット」のところです。Google 検索で言えば、検索キーワードを入力する部分に当たります。
  2. 次に符号化された情報が保管されます。
    これを「保持」と言い、コンピューターで言えば「メモリ」や「ハードディスク」です。
  3. 保持されていた情報を思い出すことを「想起」と言います。
    つまり「アウトプット(出力、成果)」です。Googleの例では検索結果になります。

言うまでもなく、重要なのはインプット(記銘)でも、メモリ(保持)でもありません。

いかに効率よくアウトプット(想起)できるようにするかが勝負なのです。

情報が詰まっていても、取り出せないものは価値がありません。

Googleが後発であったのにもかかわらず、インターネットの検索分野で一番になれた理由。
それは「効率的にアウトプット」できるしくみが素晴らしかったからです。

記憶も同様に、1つのインプットで、ほかの記憶が簡単に取り出せるようにしておくのがポイント。

そのためには何が必要なのでしょうか? そこに図解式勉強法のカギがあります。

記憶のプロセス3段階

記憶のプロセス3段階
人間の記憶のプロセスというのは、体験した出来事を記録するそれを脳に保持しておく必要なときに取り出すという3段階のプロセスを踏みます。

なんといっても大事なことは、いざというときに必要な情報を引き出せるかどうか、です。

芋づる式に記憶がよみがえる!

優れたアウトプットができるようにするためには、記憶を「芋づる式」に取り出せるようにしておくことです。

芋づる式は、サツマイモなどの芋の蔓をたぐると、次々と芋が連なって出てくるさまをイメージするとわかりやすいでしょう。

そのための方法は意外とシンプル。
記憶する際にあらかじめ「芋づる式」にしておくことです。

つまり、理解や記憶の段階で芋を蔓でつなげておく。

断片的な情報を「自分で編集して」「つなげて」「1つのストーリーにまとめる」ということなのです。

「受け身」の勉強は消化不良に

たとえば、本に書かれている情報をそのまま理解・記憶しようとする人がいます。

このような受動的なインプットはオススメできません。

食事にたとえれば、調理をせずに、生のまま素材を食べているようなものです。

もちろん、調理せずとも生のままいただいて美味しいものもありますが、基本的には食べづらかったり、消化不良に陥ってしまうものが多いはず。

勉強においても同じ。勉強の消化不良とは、覚えられない、理解できていないということです。

「そのまま覚える」ではなく、「加工しながら覚える」といい

本当に身になる勉強というのは、素材を自分なりに加工し、別の形に昇華させるような主体的な活動です。

素材を別の素材と組み合わせたり、調味料で味付けしたり、火を通したり、と手を加えることで記憶は強化されていきます。

本来は、すべての勉強は料理と同じようにクリエイティブであるべきだ、というのが私の考えです。

見て覚えるのでなく、手で書いて覚える、できるだけ自分で情報を整理し、そこにストーリーをつくってみる、これが大切ではないでしょうか。

この記事で提唱する「図解式勉強法」は、そのための効率的なメソッドです。

工夫して覚えたものほど定着する

学習の基本は、短期記憶として保持された瞬間的な情報を、いつでも後から取り出せる長期記憶に変えていくことです。

そして前述のとおり、自分で工夫を凝らしたものほど、長く、しっかりと長期記憶に保持されます。

しかし、具体的にどのような方法でやればよいのでしょうか?

先の記事で詳しく説明しますが、ポイントは、バラバラの情報をつなげて1つのストーリー図にしてみることです。

自分なりの発見や楽しい演出も加えてみるといいでしょう。図を使って、どんどん情報を整理し、ノートに書き込んでいくのです。

このような学習方法のメリットは年齢に左右されないことです。

強制的な反復学習による記憶法は中学生くらいをピークに衰えていくと言われています。

一方で、自分で工夫して、編集する、この方法には年齢制限はありませんから、一生使える素晴らしい勉強の習慣となることでしょう。

受け身で本を読むだけでは、自分の知識やノウハウとして昇華していきません。

でも、自分なりに編集・加工するプロセスを踏むことで、情報の本質を自然とつかむことができるのです。

そういう意味では、勉強は私たちが考えるよりも、もっとクリエイティブなものなのかもしれません。

POINT!

記憶の3段階

  • 記銘(インプット)
  • 保持(記憶の保存)
  • 想起(アウトプット)
    • 記憶の3段階で一番大事なのは、想起(アウトプット)です!
      ストーリー化することで、短期記憶が長期に残ります。

図解式勉強法実践コラム① 年齢とともに最適な勉強法は変わる。その理由は?

ここから話が変わりますが、年齢を経るごとに最適な勉強法は変わってきます。
その理由を、筆者の経験とともに紹介していきます。

なかなか頭に入らない」はなぜ起こるのか

随分昔ですが、私が中学の頃はとても勉強ができました。

しかも、テスト前の一夜漬けでもいい点数がとれたため、勉強というものを侮っていたのです。

しかし、高校に進学して一変。成績は下から数えたほうがいいくらいで、本を読んでもなかなか頭に入ってきません。

それまでは、なんでもかんでも、まるごと本にある情報がスーッと水が染み込むように入っていたのが嘘のよう。

いったい何が起こったのでしょうか?

それは、理解や記憶といった脳のプロセスが人間の成長とともに大きく変わるからです。

つまり、それまでは「丸暗記型」で記憶していた脳が、年齢とともに「論理的記憶」に変わったのです。

このことは脳科学者である池谷裕二さんの『最新脳科学が教える高校生の勉強法 東進ブックス』(ナガセ)で詳しく解説されています。
興味のある方はぜひご一読されることを勧めます。


最新脳科学が教える高校生の勉強法 東進ブックス

脳のプロセスを解説した、池谷裕二氏の著作
『最新脳科学が教える高校生の勉強法 東進ブックス』

つまり、年齢を重ねると、記憶のメカニズムは「論理的につながっているものであれば記憶するが、脈絡のないものは排除しようとする」わけです。

無理やり、数字や文字の羅列(これらを断片的情報と呼んでいます)を脳に入れようとする。

でも、入り口には厳格な門番がいて、通してくれません。
だから、門番に論理的なつながりがあることを示して、通してもらう必要があるのですね。

この一連の脳の仕組みは以下の記事で詳しく確認してください。

「ひたすら復習」はムダ!脳の強みを生かす勉強法|情報整理の達人術

年齢とともに得意な覚え方は変わっていくのです。

年齢で変わる最適な勉強法

「丸暗記」は大人になると苦手になり、エピソードや論理で覚えるのが得意になります。

参考図書

永田 豊志

株式会社ショーケース 代表取締役社長

永田豊志(Toyoshi Nagata)
知的生産研究家、株式会社ショーケース 共同創業者・代表取締役社長。

リクルートで新規事業開発を担当し、出版事業の立ち上げに参画。その後、コンピュータ系雑誌の編集長や、キャラクター版権管理ビジネス会社社長などを経て、2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケースを共同設立。

新規創業9年目で東証マザーズへ上場、その1年半後には東証一部へ上場。現在は、商品開発やM&Aなど経営全般に携わっている。

また、ライフワークとして、ビジネスパーソンの知的生産性研究に取り組んでおり、そのノウハウを広めるべく執筆活動や講演などを行う。

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