経理・財務・会計職|人事採用担当が教える本当に良い職務経歴書の書き方

経理・財務・会計職は有無や前職での経験が求められる傾向にありますが、職務経歴書にはどのような点に気を付けて記載すれば良いのか、わからない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、経理・財務・会計職の仕事内容や求められるスキルをご紹介するとともに、職務経歴書の記載例をもとに、自己PRの書き方や書く際に気を付けるポイントなどを解説していきます。
これから転職をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
経理・財務・会計職の仕事内容
経理・財務・会計職はそれぞれお金に関する業務を担いますが、具体的な業務内容は大きく異なっています。
まず、経理とは、「経営管理」の略称であり、会社の中でも公的なお金の流れを管理する業務のことを指します。
具体的には、伝票の起票や請求書などの発行、帳簿記帳、税金の処理、決算書の作成などがメインとなります。ある程度の規模の会社であれば、経理部など、独立した部が存在することが大半です。
一方、財務の仕事は、融資や株式発行など、金融機関からの資金調達を担当したり、投資やM&A業務を担います。財務担当には金融機関との折衝が多く、大きな予算を動かすことになりますが、中小企業では財務担当者を置くケースはまれです。
会計の仕事は、「管理会計」と「財務会計」の大きく2つに分かれます。
管理会計の仕事は、売上の管理やコスト管理、売上の分析などを担います。
「財務会計」とは、決算書等の社内の会計情報を公的なルールに従いステークホルダー(利害関係者)へ報告するための役割を担います。
具体的には、請求や支払い、税金の申告などのお金の流れをまとめて決算書を作成することが主な仕事です。
経理・財務・会計職に求められるもの
経理・財務・会計職に求められるスキルや資格は、それぞれの業務内容に合わせて微妙に異なります。ここでは、それぞれの職に求められるスキルをご紹介していきます。
簿記資格等はあった方が有利
社内のお金に携わる職の場合、日商簿記は王道の資格だと言って良いでしょう。
新卒の場合を除いて、経理や財務、会計職に転職する場合は簿記の資格は保有しておいた方が内定獲得に有利です。
3級は基本的な賃借や仕分けについての知識を問われ、2級では工業簿記・商業簿記、原価計算などの知識が問われます。
3級であれば合格率は4割程度とそれほど難関ではないため、資格に不安がある場合はあらかじめ取得を目指して勉強しておくと良いでしょう。
事務職の経験がある場合はアピールしよう
経理・財務・会計職は、会社によってそれぞれカバーする業務の範囲が微妙に異なります。
そのため、単に資格や知識をアピールするだけではなく、前職での事務経験をアピールポイントに加えることも大切です。
例えば、「他部門からの伝票の遅れに問題意識を持ち、各部門と調整しフローの見直しを行った」など、経理・財務・会計職の業務にとらわれず、フレキシブルな対応を行った経験などをアピールしておくと採用側もあなたの職場での活用法をイメージしやすくなります。
職場によっては職種による日々の業務内容がそれほど明確化されていない場合もあるので、現場の課題に対して臨機応変に対応できる能力をアピールすることができます。
財務は高レベルな知識・資格が求められる
財務職では金融機関からの融資を受けるために様々な知識が必要となるため、高度な知識を要求されます。
先ほどご紹介した簿記資格が重要であることは言うまでもありませんが、近年では「FASS」と言われる資格も重要視されてきています。
FASSは経済産業省の委託で日本CFO協会が実施・運営している資格であり、決算や税務、資産管理などの実務的な知識が問われる資格となっています。
財務担当が大企業で大きな予算の管理を任されるポジションだということを考慮すると、通常の経理担当への転職よりもハードルが高いことは事実です。
他のライバルに勝つためには、簿記資格にプラスアルファとなる資格があると有利になります。
実例で見る「経理・財務・会計」の職務経歴書の書き方
ここからは、採用担当者の目に留まる職務経歴書の書き方をご紹介します。
ここで紹介する内容を参考に、自分の実績を効果的に伝える書き方を考えていきましょう。
職務経歴書の基本 5W1Hを正確に記載しよう
職務経歴書の実績や自己PRを書く際には、5W1Hを明確に伝える必要があります。
いつ(西暦表記・在籍期間・担当期間)、どこで(所属部署・常駐先)、どのように(与えられた役割・責任)、誰に(社内・社外関係者)、どのくらい(業務範囲・予算規模等)の仕事をしてきたのか、具体的に記載できるように心がけましょう。
5W1Hを明確にすると、採用担当者はあなたの過去の仕事ぶりを具体的にイメージしやすくなります。また、自分の実績を正しく把握するためにも重要な工程です。
自己PRの書き方
職務経歴書の自己PR欄は、採用担当者に自分の経歴をアピールする最も重要な部分です。
自己PRは、経理・財務・会計に求められるスキルに照らし合わせながら、アピールすべき内容を絞り込んでいくことが重要です。また、具体性を持たせるためにストーリーで語ることも必要です。
自分の成果・実績を具体的に記載しよう
自分の成果や実績は具体的に書く必要があります。以下のようにアピールしていきましょう。
例)
- 新卒で入社後、法人経理について一から学び、簿記2級を取得した
- 毎月の予算管理、月次決算、四半期決算を担当した
- 法人税、固定資産税などの税務申告に関する業務を担当し、会社の節税対策に貢献した
- 決算処理担当として、決算報告書、事業報告書、確定申告書等の各種報告書の作成を担当した
経理担当の場合は、決算書の作成は基礎的な業務ですので、是非実績として示しておきたいところです。
この際、決算は月次、四半期、半期、年次、連結のうちどの範囲まで経験があるのかも明確に示しておくことが重要です。
連結決算は専門的な知識が求められる業務であるため、経験があるのであれば特に明記しておくべきでしょう。
また、財務担当の場合は、法人税などの税務申告に携わった経験は高く評価されます。このような経験があれば積極的にアピールしていきましょう。
あたなが「達成したこと」をストーリーで語ろう
職務経歴書には「実績」と「達成したこと」を分けて書くことが効果的です。
実績は上記のように携わった業務を淡々と記載すれば良いですが、達成したことは社内の業務を効率化したり、プロジェクトを成功へと導いた「具体的なエピソード」を記載する必要があります。
例えば、以下のようなストーリーが有効です。
・月次処理の遅れが課題となっていたため、処理を5営業日から3営業日内に改善した
・自社開発の会計システムのメンテナンスを担当し、経理部門の業務効率を時間換算で1割アップさせた
・主任として新人や部下の指導を任され、簿記資格取得や伝票処理などの日常の悩みについての相談を受けたり、報告書作成前にミーティングを開き各自の分掌を確認するなど、チームのサポートに徹し、結果として報告書が役員会で評判になった
このように、達成したことを示すには、単なる事実の羅列ではなく、「課題の発見→課題解決への取組→達成」という一連の流れを意識して記載する必要があります。
また、達成内容は必ずしも経理などの業務にこだわる必要はなく、部下の指導や日常の業務全般など、あなたの仕事ぶりが理解できるエピソードであればどんな分野でもアピール材料となります。
達成したことを記載する際には、先のご紹介した5W1Hを意識して書くようにしましょう。これによりエピソードに具体性が増し、採用担当者に伝わりやすくなります。
転職理由はポジティブなものにしよう
面接では必ずと言っていいほど転職理由について尋ねられます。この際、理由はポジティブな内容にすると印象が良く、採用担当者に自分のやる気を示すことができます。前職での経験をアピールしつつも、より高度なスキルを身に着けたいことをしっかりと伝えましょう。
採用側に好印象を与える転職理由は、以下のような内容が考えられます。
・前職では四半期決算までが業務範囲だったが、連結決算などのより高度なスキルを身に着けたいと考えた
・会計簿記をある程度習得したため、税務申告等の業務スキルも新たに身に着けたい
・企業会計の知識を生かし、中期経営計画などの事業企画の立案等に携わってみたい
このように、これまでの知識を生かし、転職先の部署でより高度な目標を達成しようとする姿勢を示すことが重要です。
決算業務などはレベル別に業務が分かれており、どこの企業でも連結決算などは高度な業務として位置づけられています。
そのため、このような業務を担当したことがなくても、「これまでの経験を生かし、より高度な業務へチャレンジしてみたい」ということを伝えることができれば、前向きな転職理由として受け止められます。
経理・財務・会計職の職務経歴書は「自分の強み」を明確に伝えよう!
経理・財務・会計職の転職では、それぞれ前職での経験や身に着けた専門的な知識が求められることが多く、採用担当者に上手に自分の強みをアピールするプレゼンスキルが必要になってきます。
単なる実績や経験業務の羅列ではなく、自分の強みを相手に印象付けるよう、5W1Hやストーリー形式でのアピールを心がけると良いでしょう。
また、必ずと言っていいほど尋ねられる転職理由に関しては、ポジティブな内容を心がけるとともに、より高度な目標のための転職であることを採用担当者に印象付けましょう。
経理・財務・会計職は専門的な知識が求められる職種ですが、内定を獲得する要因は単なる資格の有無や実績だけではありません。
この記事を参考にしながら、これまでの自分の業務を振り返り、自分の強みを存分に伝えられるメッセージを考えていきましょう。